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猫王様の千年股旅  作者: ma-no
猫歴50年~

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猫歴81年にゃ~


 我が輩は猫である。名前はシラタマだ。昔は一番賢かったのは本当だよ?


 さっちゃんがわしの顔と頭を馬鹿にして来るのでケンカしていたら、ウロに止められた。わしが大人気(おとなげ)ないんだとか……


「さっちゃんは、魂年齢90歳超えてるにゃよ?」

「うっ……それはサンドリーヌ様にも……」

「シラタマちゃんは、魂年齢180歳だよ?」

「ダブルスコアーで、サンドリーヌ様の勝利です」

「やった~~~!!」

「わしは精神年齢の話をしてるんにゃ~~~」


 ここにいるメンバーは転生者なのだから、全員90歳超え。大人どころかジジイやババアなのに、さっちゃんはまだ若いと主張して勝利をもぎ取るのであった。

 でも、ウロが生温い目をして見ていたから、そこまで喜べないさっちゃんであったとさ。



 この日から、たまにウロがさっちゃんとわしの密会に参加して、第三世界やスサノオの依頼の話、猫の国の展望なんかを話す。

 といってもウロが参加するのは本当に少しなので、だいたいわしはさっちゃんにモフられて、その間はお昼寝。この日もゴロゴロ喉を鳴らして寝ていたら、隠れ家の扉が勢いよく開いたどころか飛んで行ったので、わしは跳び起きた。


「へ~。最近変だなと思っていたら、少女をたぶらかして、そんなことしてたんですか~?」

「そんな小さい子と何してるニャー!」

「これ、誘拐監禁事件なのでは?」


 リータ、メイバイ、イサベレの登場だ。2人はわしの浮気を疑って超怖い。イサベレのその発言も通報されそうで超超怖い。


「ち、違いますにゃ~。これにはよんどころのない事情がありにゃして……」


 あまりにも怖いので、わしはシドロモドロ。


「家にいたらさらわれて……私に撫でろと言うんです。うっううぅぅ」

「「やっぱり……」」

「通報する? したほうがいい??」


 そこにさっちゃんの嘘泣き。リータたちは信じちゃったよ。


「さっちゃん! ウソはやめろにゃ!? このままじゃ逮捕されちゃうにゃ~~~!!」

「「「……さっちゃん??」」」

「だから私はそんな名前じゃないって言ってるのに……プッ」

「頼むから本当のこと言ってくれにゃ~。てか、笑ってるにゃ!? 笑ってるにゃろ??」

「あははははははは」


 わしの必死の訴えは、さっちゃんのツボに入る。さっちゃんが大声で笑ってくれたので事件性はないと判断されて、リータたちの殺気は消えたのであった。



「というわけで、この子は輪廻転生したさっちゃんにゃ。黙っていてゴメンにゃ~」

「みんな、久し振り。シラタマちゃんには、まだ秘密にしてもらっていたの。だから怒らないであげて」


 わしとさっちゃんが改めて挨拶したら、3人はまだ鳩が豆鉄砲くらったような顔。これは信じていないというより、驚いている顔だ。

 いちおうさっちゃんしか知らないようなことを質問させてみたけど、ラビットランドのウサギさんの名前が出て来る出て来る。わしは1人も知らないのに、みんな凄いな。引退したナンバー1ウサギのことで盛り上がっているよ。


 これでリータとメイバイは完全に信じたみたいだけど、イサベレは(ひざまず)いてる。


「女王陛下。ご帰還、おめでとうございます」

「やだな~。もう女王じゃなくて、ウサ耳みっちゃんなんだからやめてよ~」

「しかし……」

「今日から私とイサベレは友達よ。いっぱい遊んでいっぱい楽しいことしよ。ね?」

「……はっ!」

「堅い堅い。あははは」


 イサベレも信じたみたいだけど、堅すぎる。さっちゃんと本当の友達になれるかは、いつになるかわからないな。


「そんじゃ、ま、さっちゃんとの再会を祝して、かんぱいにゃ~」

「「「「かんぱいにゃ~!」」」」


 別れてから8年。それほど積もる話はないけど、お喋りは止まらなくなるさっちゃんたちであった。


「お酒はダメにゃよ? うち、18歳からなんにゃ」

「シラタマちゃんのケチ~」

「その串焼きもダメにゃ。家でごはん食べられなくなるにゃ」

「もう! なんのために輪廻転生したかわからないよ~~~」


 ただし、さっちゃんは美味しいパーティーメニューを食べられないので、怒りながら帰路に就くのであったとさ。



 リータたちにバレてしまっちゃあ仕方がねぇ。さっちゃんに輪廻転生のことをどこまで言うかは決定しているのかと質問したら、とりあえず王妃と猫兄弟までは知らせるとのこと。

 コリスがやや怪しいので、コッソリとさっちゃんに会わせて「秘密にするんだよ?」とお願い。最初は信じていなかったけど、撫で方で「さっちゃんだ!」ってなってた。猫兄弟も一緒。


「私、そんなに特徴的なの?」

「うんにゃ。気持ちいいは気持ちいいんにゃけど、リータたちの気持ち良さとにゃんか違うんにゃ。手付きがイヤらしいというか……」

「なんていうか……ゴメン」


 さっちゃんのモフリ方にはエロも入っているので、初めて聞かされたさっちゃんも何故か謝罪。セクハラしてる自覚が芽生えたんだね。

 コリスも「秘密にするぐらいワケないよ」と言っていたので信じることにして、ここからは名前呼び。ミテナだから、わしはみっちゃんと呼んで、会う時はキャットタワーに御案内だ。


「ねえ? 何そのかわいい子。誘拐して来たの??」

「マスターの隠し子なんだよ~」

「そんにゃワケないにゃろ!」


 アンクルチームでも、ベティとノルンは口が軽そうだから秘密。案の定、キャットタワーでは隠し子の噂で持ち切りだ。

 でも、リータたちは否定してくれるし怒ることもないので、隠し子騒動はすぐに収束。ベティ&ノルンは嘘つき扱いされてる。ざまぁみろ!


 ちなみにエティエンヌたち実子や孫には、寿命が来る前まで秘密にしてくれと頼まれている。でも、ミテナを実子に会わせたらいつもウルウルするので、すぐにバレるんじゃないかな~?


 ミテナの両親には「やはり天才だった」と、ミテナのやった100点満点の計算問題を見せたので、わしが預かる許可は出ている。

 ミテナは「これぐらい簡単よ~」とやったけど、本当は半分以上も不正解だったから成績操作するしかなかったの。中三レベルだったのにと呆れていたけど、ミテナは義務教育も受けてなかったの忘れてた。


 とりあえず許可は貰っているので、ミテナには王族居住区立ち入り許可証や、タクシー乗り放題というかわしに請求が来るカードをあげたので、迎えに行かなくても勝手にやって来る。たまに姉も来てるよ。

 週末にはお泊まりまでして、わしをモフリまくったり高級料理を食べまくっているから、太らないか心配だ。そんなことしてないで勉強しろよ。親にバレるじゃろうが……


 猫歴80年はさっちゃんの輪廻転生というビッグニュースがあったので、猫クラン活動は少し(おろそ)かに。わしはミテナと遊んでいたら、あっという間に時が過ぎて猫歴81年のワンヂェンの誕生日になった。


「「「「「100歳の誕生日、おめでとうございにゃ~す」」」」」

「みんにゃ。ありがとにゃ。ありがとにゃ」


 そう。この世界ではエルフやイサベレ、特殊な人種以外到達できない年齢にワンヂェンが突入したので、いちおう盛大に祝っている。


「こんにゃお婆ちゃんに、ここまでしてくれて、本当にありがとうにゃ~」


 我が猫家では親世代の誕生日会は、基本的に合同が多い。だってもう、わしの子供たちでも子持ちの年寄りだもん。派手にやられたら恥ずかしいし、家族も多いんだから、孫とか小さい子のほうに力を入れようと決定したのだ。

 ただし、今回の誕生日会は節目の歳。10歳刻みは単独で祝うことになっていたから派手に開いたけど、涙目で喜ぶワンヂェン以外は微妙な顔だ。


「みんにゃ。どうしたにゃ? にゃんか暗くにゃい? こんにゃお婆ちゃん、本当は祝いたくなかったんだにゃ……」


 その顔に気付いたワンヂェンはテンションが下がったので、周りから押されたわしが慰めてあげる。


「いや~……めでたいとは思うにゃよ?」

「にゃにその言い方……」

「いや~……めでたい席でこんにゃこと言うのわしも気が引けるんにゃけど……ワンヂェンって、いくつまで生きるつもりにゃの?」

「酷いにゃ!? シラタマは必死に生きてるこんにゃお婆ちゃんに、早く死ねと言ってるにゃ~。お~いおいおい……」


 ワンヂェンが泣いてしまったけど、皆が「トドメを刺せ!」って目をしているのでわしも鬼になるしかない。


「ワンヂェンはいつも自分のこと年寄り扱いするけど、それ、本気で言ってるにゃ?」

「100歳は老人にゃ~」

「まぁそうにゃんだけど……こにゃいだ、お昼にウナギ屋行ってたよにゃ?」

「老人は特上ウナギも食べちゃダメにゃの!?」


 わしが酷いことばかり言うので、ついにワンヂェンも怒った。でも、特上食ってたのか……


「そういうことじゃなくてにゃ。ウナギ屋から出たあとに『遅刻にゃ~!』とか言って走ってたよにゃ?」

「ウナギ屋は治療院まで遠いんにゃから、仕方ないにゃろ。にゃに? 好物食べちゃダメにゃの?」

「そういうことじゃなくてにゃ。車道を爆走してたにゃろ? 車も追い抜いてたにゃ~……普通の老人は、そんにゃことできないにゃよ?」


 そう。ワンヂェンの身体能力が100歳には見合わないから、わしは問い詰めているのだ。


「そ、それぐらい、元気にゃ老人にゃら……」

「できないにゃ。ギョクロも、もう走るのしんどいって言ってるにゃ」

「で、できるよにゃ~?」


 第二陣の子供は63歳。もう老人の域に入っているので、ワンヂェンの問いには目を伏せて首を横に振ってる。


「つまりにゃんだけど、ワンヂェンって、エルフ化してるにゃろ?」

「にゃ……」


 わしがというか、皆が思っていたことはこれ。薄々は気付いていたけど、ワンヂェンが老婆みたいなフリを続けるので、言い出しにくかったのだ。


「エルフって……ウチが……にゃんで……」


 でも、ワンヂェンはまだ認めてくれない。


「気付いてなかったにゃ?」

「うんにゃ。ウチ、猫クランク研修受けてにゃいし」

「たぶんにゃけど、わしの教えた吸収魔法のせいにゃ。一時期、治療院は患者で溢れていたにゃろ? ワンヂェンは無理して全員診ていたにゃろ?」

「それが仕事にゃし……」

「普通の治療師は、10人も診れば魔力切れだってにゃ。そんにゃことを続けたから、エルフ化してしまったんにゃ」

「にゃ……だからこんにゃに元気なんにゃ……」


 わしの説明で、ワンヂェンもようやく現状を飲み込めたようだ。


「てことは……まだ子供は望めるにゃ!? 結婚できるにゃ! にゃっほ~~~!!」


 けど、飛び跳ねて喜び出したので、「まずは老人のフリしていたことを謝れ」と一斉攻撃したわしたちであったとさ。



 それからのワンヂェンは、婚活サイトに登録したり、結婚相談所に通ったり、ベティたちと合コンばっかりしてる。50年ぐらい禁欲生活をしてたからって、ハメを外し過ぎじゃ。

 そんなある日、ワンヂェンが暗い顔をしていたので声を掛けたら泣き出した。


「シラタマ~。また騙されたにゃ~~~」

「にゃ? 結婚詐欺にゃ??」

「あんにゃにスキスキ言ってたのに、200万ネコあげたら連絡取れなくなったにゃ~~~」

「だからやめとけって言ったのに……」

「ベティ!? お前の紹介にゃろ!! お~いおいおいおいおい……」


 どうやらワンヂェンに結婚詐欺師を紹介したのはベティらしい。顔はいいし盛り上げ役には持って来いだから、遊び相手としてはバツグンだったけど、結婚相手には向かないとベティも口を酸っぱくして言ってたんだって。


「ベティさんにゃ。いつもどんにゃ相手と遊んでたにゃ?」

「別に普通よ。ノルンちゃんやキアラちゃんたちと一緒に、男を(はべ)らせて飲んでただけ。結婚とか付き合うとか考えるより、そっちのほうが楽しいって気付いてね~」

「にゃにわしの娘にホスト遊び教えてるにゃ!?」

「ニナちゃんもアリスちゃんも、既婚者もいるわよ?」

「もうベティと付き合っちゃいけにゃせん!!」


 ベティが悪い遊びをわしの家族に教え込んでいたので、絶縁したい。エミリにも手伝ってもらってベティを叱っていたら、ワンヂェンがわしの足に絡み付いて来た。


「ウチのことも構ってにゃ~」


 どうやら慰めてほしかったみたい。それなのにベティとケンカしていたから、寂しかったみたい。


「もうシラタマでいいにゃ~。ウチと結婚してにゃ~」

「にゃにその妥協……わしもワンヂェンも、モフモフは好きじゃにゃいって……ムグッ」


 ワンヂェンがとんでもないことを言い出したので自分を思い出させてあげようとしたら、リータとメイバイがわしの口を塞いだ。


「ワンヂェンさんなら歓迎です!」

「王妃と側室、どっちにするニャー?」

「モゴモゴモゴモゴ~~~!!」

「みんにゃに悪いから、ウチは側室でいいにゃ~」

「では、決定ですね!」

「ワンヂェンちゃん、シラタマ殿、結婚おめでとうニャー!」

「モゴ~~~!!」


 こうしてわしの意見は何も聞いてもらえず、ワンヂェンの側室入りが決まったのであったとさ。


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