表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫王様の千年股旅  作者: ma-no
猫歴50年~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

139/191

猫歴80年その1にゃ~


 我が輩は猫である。名前はシラタマだ。鉱夫でも鉱山奴隷でもない。


 スサノオの依頼は討伐依頼と聞いたのに、討伐対象がオーストラリア大陸ぐらい巨大な魚では外からの攻撃は無理。中から心臓に直接攻撃しようとしているけど、肉を掘るというトンネル工事みたいになっちゃった。

 皆もこの事態にはブツブツと愚痴っているけど、終わらないことには帰れない。わしたちはせっせとせっせと白魔鉱製のスコップで掘り進み、心臓に辿り着いたのは1週間後。


 鬱憤(うっぷん)を晴らすが如く、わし以外のメンバーが心臓の中で暴れ倒して、大陸サメをブッ殺したのであった……



 大陸サメが息絶え、UFOの全自動人間洗濯機で汗を流し、お疲れ様パーティーをして外に出ようとしたら、魚の大群が喉の中を逆走中。

 ここを通るとお魚さんたちが交通事故死するので、わしだけで真上に向けて掘削。みんな、もう疲れたとか言うの。


 やっとこさ海中に出たら、魚たちの行動の理由がわかった。


「「「「「うにゃ~~~……」」」」」


 そこには、タイっぽいのやヒラメっぽいのの舞い踊り。大陸サメが死んだから、食べようと群がっていたのだ。


「にゃはは。お魚さんたちも喜んでるみたいだにゃ。頑張った甲斐があったにゃ~」

「「「「「うんにゃ~」」」」」


 色とりどりの魚の舞いに、わしたちは感無量。次元倉庫に入れていた大陸サメの肉のほとんどを各地に適当にバラ撒いてから、お家に帰るわしたちであった。



 異世界に行く渡航券の更新は上手くいったけど、家に帰ってからの猫クランアンクルチームの機嫌はあまりよろしくない。

 子供たちの質問にも睨んで返していたから、わしが斯く斯く云々と説明してあげたら「行かなくてよかった~」っと安堵のため息だ。


「お母様方の前で笑うにゃよ? わしが言ったとも言うにゃよ?」

「「「「「笑えるワケないにゃ~」」」」」


 そりゃトンネル工事させられたんだから、気分は最悪と子供たちも納得。わしより怖いから口に出せないんだろうね。


 この猫歴79年はスサノオの依頼のせいでアンクルチームの機嫌がすこぶる悪いので、できるだけ狩りの難易度が高い場所に連れ出し、ご機嫌取り。

 その他のメンバーは、残虐非道を繰り返すアンクルチームにドン引き。みんな返り血被って真っ赤だから怖いもんね~?


 おかげさまで秋頃には機嫌がよくなったので、ワイワイ楽しく暮らす。ただ、黒モフ組が難しい研究の中間発表をわしにするので、聞いているフリしてお昼寝。結果じゃないからいいのだ。

 なんだかんだ忙しくしていたら猫歴80年となり、終戦記念日も建国記念日も働かされたら、わしは脱走だ。



 どこでお昼寝してやろうかと猫市をブラブラしていたら、ウサギ居住区に入ってしまった。

 このウサギ居住区とは、その昔はウサギ族の痴漢被害というかモフり被害が多かったから、ウサギ族を隔離した一角。

 いまは緩和して誰でも入れるのだが、その当時わしが激ギレして殴り書きした看板をいまも守り神の如く設置してあるから、人族とかは配偶者以外は入りたがらないんだとか。


 一度回収しようとしたけど、ウサギのウルウルした目に負けた。外国人はたまに勝手に撫でて来るから、いつ痴漢被害が再発するかと怖いんだって。そんなこと、先祖代々受け継ぐなよ。


 もちろんわしは、モフモフだから……王様だから我が物顔で歩いても冷たい目で見られない。なんなら嬉しそうに挨拶してくれるので、右手を上げて返すだけ。

 いちおうわしを気遣って、それ以上は近付いて来ない。わしが誰かと喋っている時は「いいのかな?」とジリジリ迫って来るけどね。


 そんなウサギ居住区をブラブラ歩いていたら公園があったので、そこのベンチで日光浴。子供たちの元気な声を聞きながら、遊ぶ姿をほのぼのと見ていた。


「モフモフ~! モフモフモフモフ~!!」


 でも、1人だけ変な子供がいる。見た目は人族とのハーフらしくウサ耳の少女。年齢はおそらく小学生の低学年。ウサギ居住区には一定の割合でハーフはいるけど、そういう人はここまでモフモフに固執しないと聞いている。

 ひょっとしたら鬼ごっこみたいな遊びなのかと、ウサ耳がウサギを追い回している姿をガン見していたら、わしの目の前でウサギがウサ耳に捕まった。


「モフモフ。モフモフモフモフ」

「もう~。ミテナちゃん、こちょばい~」

「いいではないかいいではないか……ッ!?」


 なんだかミテナと呼ばれたウサ耳がお代官様みたいなことを言った直後、わしを見てギクッとした顔になった。そして気まずそうにゆっくりと後退り、ダッシュで逃走した。


「にゃあ? わしのことも撫でにゃい??」

「わっ!?」


 でも、回り込んで通せんぼだ。


「あのその……知らない人は撫でるなと親から言われてまして……」

「わしのこと、知らないにゃ?」

「お、王様…です……」

「じゃあ、知ってる人にゃ~」

「ふ、不敬にあたるかと……」


 こんなにモフモフ好きなのに、わしのことは何故か(かたく)なに撫でたがらないので、わしはミテナの両手を取った。


「ほら? ホッペた撫でたくにゃ~い?」

「い、いや……やめて……」


 なんだか少女に無理矢理いやらしいことをさせているみたいだけど、わしは容赦なく自分の顔にミテナの両手をめり込ませた。


「モ……モフモフ~~~!!」

「にゃ!? そこは……いにゃ~~~ん!? ゴロゴロゴロゴロ~」


 あんなに嫌がっていたのに、わしの頬に触れた瞬間、ミテナは覚醒。その超絶技巧の撫で回しを受けたわしはゴロゴロと喉を鳴らし、周りで見ている親御さんたちは、無言で子供の目をそっと塞ぐのであったとさ。



「ハッ!? やってしまった……」


 わしが超絶技巧の撫で回しを喰らってピクピクしていたら、ミテナは青い顔。周りのヒソヒソ声に焦ってキョロキョロしてる。その後、また逃げようとしやがったので、わしは声を掛ける。


「こんにゃところでにゃにしてるにゃ? さっちゃん」

「なんでわかったの!?」


 そう。このミテナは、元東の国の女王様、サンドリーヌ。ウサギの撫で方に既視感があったからわしの身を犠牲にしたら、完全にさっちゃんの手付きだったからわからないワケがない。


「そりゃあんにゃスケベ顔でモフモフ言うの、さっちゃんぐらいにゃもん」

「うっそ~ん。大人になってからシラタマちゃんをハニートラップに引っ掛けたら、面白いことになると思ってたのに~」

「いや、そんにゃ怖いこと考えてたにゃ? いやいや、こんにゃに近くにいるにゃら、早く会いに来てにゃ~」

「まだ8歳だもん。王様に近付けるワケないでしょ」


 さっちゃんの後半の言い分はわからないこともないけど、ハニートラップはやめてほしい。絶対に王妃様方に怒られているのを見たいんじゃろ?

 そうしてわしたちが再会を祝さず喋っていたら、サイレンの音が近付いて来た。


「何この音?」

「あぁ~……王様が襲われてたもんにゃ。誰かが警察に通報したのかもにゃ」

「えっ!? 私、捕まるの!?」

「わしに捕まるのと、警察に捕まるの、どっちがいいにゃ?」

「シラタマちゃんがいい~~~!!」


 再会の喜びは、一旦先送り。このままさっちゃんを抱いて逃げてもよかったが、スマホで撮影している人が目に入ったのでステイ。

 なので「ネットにアップしたら何をとは言いませんが消します」と脅したり、警察には「誤解があった」と説明して、この騒ぎを収拾するわしであった。



 ひとまずさっちゃんを背負って家に直行。ウサギお母さんとウサギお姉さんがいたので、「天才かも知れないからテストしたい」とさっちゃんの貸し出しを許可していただいた。

 てか、何かやらかしたとめっちゃ土下座されました。問題児なのかな? あ、ご近所さんに痴漢しまくってるのですか。でしょうね。


 またさっちゃんを背負ったら町を飛び交い、猫市の外にある猫クランの隠れ家に御案内。お茶を出して話をする。


「遅くにゃったけど、さっちゃん……また会えて嬉しいにゃ~」

「うん。私も……シラタマちゃ~~~ん!」

「さっちゃ~~~ん!」


 もう会えないと思っていたのだ。わしは嬉しくって涙の抱擁。さっちゃんのほうが泣いているから、さっきのハニートラップ発言は冗談だったのだろう。

 それからグスグスやりながら、どういう経緯で戻って来たのかの質問タイムだ。


「オニヒメたちでもまだ見付かってにゃいのに、よく戻って来れたにゃ~」

「なんかね。文化を広めた功績で輪廻転生できたみたい」

「それって……わしの功績を奪ったからじゃにゃいでしょうか?」

「それはシラタマちゃんが譲ってくれたんでしょ~。あとから文句言わないでよ~」


 確かにサッカーと芸術関連は譲ったけど、第四世界に持ち帰ったのはわしなんだから、功績はわしに入ってもよさそうなんじゃけどな~?


「てか、ここだけの話、君主は輪廻転生とか難しいみたいよ」

「どういうことにゃ?」

「ほら? 君主って人を裁く側じゃない? 下がやった裁きも、君主のカルマってのに加算されるんだって」

「冤罪のマイナス点ってことかにゃ?」

「ううん。単純に人殺し。弱者のために裁いているのに、酷い話よね~」

「まぁ……それは仕方ないにゃろ。親族にとっては、かわいい子供で大好きにゃ親にゃ。その恨みを背負うのは、君主の役目にゃ」

「プッ。私と同じこと言ってる」


 さっちゃんがそんな立派な考えができるのかと生温い目をしていたら、めっちゃモフられました。


「その体は、さっちゃんの希望にゃ?」

「ううん。希望は言ったんだけど、徳が足りないからって、どこの誰になるかは決められないって言われたの」

「それにしては、さっちゃんの希望通りの場所と親に恵まれたにゃ~。100点満点じゃにゃい?」

「うん。言った通りの場所と姿にビックリした。たぶんオオゲツヒメ様のおかげかな~?」

「オオゲツヒメにゃ??」


 どうやらスサノオは元々さっちゃんを輪廻転生させるつもりはなかったらしい。ただ、わしのことを他人の目線で聞きたいから長年付き合いのあったさっちゃんを目の前に呼び出したら、同席していたオオゲツヒメとケンカになったそうだ。


「オオゲツヒメ様、凄かったよ?」

「あぁ~。力が強いもんにゃ。わしも首を折られ掛けたことあるにゃ~」

「そういうことじゃなくて、口からピーマンをプププってマシンガンみたいに吐き出してね~」

「にゃにそれ?」

「スサノオ様、ピーマンが苦手みたいよ」

「うんにゃ。そこが問題じゃないにゃ」


 オオゲツヒメの謎攻撃は意味不明なので置いておいて、ケンカの理由はスサノオがケチだから。これほど芸術やスポーツ文化に貢献した人物を、ホヤに生まれ変わらせるなんて世界の損失だと怒ってくれたそうだ。


「プププ……さっちゃん、次の人生はホヤだったんにゃ」

「そうみたいだけど、ホヤってなに? そんなに面白い生き物なの??」

「海に生息する貝でも魚でもにゃい生き物にゃ。これにゃんだけど……」

「キモッ! キモキモキモキモッ!?」

「ちょっとグロテスクにゃけど、食べたら美味しいんにゃよ~?」

「食べないでよ!?」


 さっちゃんはホヤを知らなかったので、写真を見せたら真っ青。わしがホヤを擁護しても、食べられるだけでは怒らせただけであったとさ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ