表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫王様の千年股旅  作者: ma-no
猫歴50年~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

138/182

猫歴79年その2にゃ~


 我が輩は猫である。名前はシラタマだ。水の惑星の討伐対象って……アレ?


「デカすぎにゃい?」

「「「「「うにゃ~~~……」」」」」


 水の惑星に着いてから討伐対象を探してみたら、オーストラリア大陸ぐらいの巨大な生物が海面から飛び跳ねたので、わしたちは呆気に取られるのであった……



 時は(さかのぼ)り、水の惑星に転送された直後。UFOの中では密航者のノルン捜索。探知魔法にも反応がないから誰かにくっついているのかと一番怪しいコリスの体を全員でまさぐったら、ノルンが毛に絡まって苦しそうにしてた。


「にゃんですぐ出て来ないんにゃ~」

「見ての通り、絡まってたからなんだよ」

「そこに隠れてたのはわかってるんにゃ……」

「ノルンちゃんも、本当は水の惑星に着いてから驚かせたかったんだよ~」

「反省しろにゃ! スサノオは怖いんにゃよ!!」


 ノルンには反省の色が見えなかったので、殺されていた可能性もあったと懇々と説教。皆も同じように怒ってくれて「悪かったんだよ」と謝罪を引き出したら、水の惑星について語る。


「にゃんというか……水しかないにゃ」

「ホントに……水の惑星っていうから、地球みたいな惑星かと思っていたわ」


 UFOの機能をベティが使って外を360度見えるようにしてもらったけど、水しかない。地球も水の惑星と呼ばれていたけど3割ぐらいは陸地があったから、ベティの意見にわしも賛成だ。


「とりあえず、陸を探してみようにゃ。ベティ、ノルンに仕事やれにゃ」

「ま、ここしか出番ないか」

「ノルンちゃんも戦えるんだよ~」

「密航者は、ごはん抜きにゃよ?」

「じょ、冗談なんだよ~」


 UFOの操縦は、キャプテンベティからノルンにチェンジ。皆からも怒られた手前、ノルンも素直に従ってくれている。

 ひとまずノルンには、いまの高高度を維持して空を飛ばせてみたけど、陸地なんてゴマすら見付からない。北から南に一周したら、だいたい地球の3倍はある惑星と判明したが、陸地の発見には至らなかった。


「こんな所に、惑星を滅ぼせるような生き物なんているのですかね?」


 陸地どころか何も見付からないので、リータも不思議に思っている。


「いるから連れて来られたんにゃけどにゃ~……次は東に一周してくれにゃ」

「あいあいにゃ~だよ~」

「馬鹿にしてるにゃ?」


 ノルンは完全にわしを馬鹿にしていたけどUFOは進み、元の位置戻っても陸地は見付からず。なので北東に一周の指示を出して、見逃しがないか全員で陸地を探す。


「これだけ探してないとすると、討伐対象は海の中が濃厚だにゃ~」

「海の中だと戦いにくいんだよニャー……ニャ! アレ、陸じゃないニャー?」

「あ、本当だにゃ。でも、あんにゃ所に陸にゃんてあったかにゃ?」


 縦と横は(くま)なく見たのだから、現在の位置も見えていたはず。そんな疑問をわしがメイバイに投げ掛けていたら、不思議なことが起こった。


「にゃあ? わしの気のせいかにゃ? あの陸地、大きくなってにゃい??」

「私もそう思う」


 そう。見付けた時は、日本の本州ぐらいの大きさだったのに、倍は太くなっている。イサベレの目にも同じように見えているのだから、わしの気のせいではなさそうだ。


「にゃんか、オーストラリア大陸ぐらいになったんにゃけど……」

「飛んだよ~?」

「てことは……アレが討伐対象……デカすぎにゃい?」

「「「「「うにゃ~~~……」」」」」


 コリスの暢気な声のあとに、冒頭のセリフに到達。魚らしき形の、超弩級生物にわしたちは呆気に取られることになったのであったとさ。



「さて……どうしたものかにゃ……」


 スサノオが一目見てわかると言っていたのだから、大陸が敵。いまから大陸と戦わなくてはいけないなんて、完全に想定外だ。


「アレはどうですか? 空間断絶魔法は」

「攻撃範囲は広がってるんにゃけど、50メートル程度なんだよにゃ~……アイツがオーストラリア大陸の大きさだとしたら、全長4500キロメートルにゃ。ウロコの厚みにも足りないかもにゃ~」

「数字にすると、凄い大きさですね……」

「ま、生き物にゃんだから、死なないことはないにゃろ。ちょっと調査して来るにゃ~」


 討伐対象がデカ過ぎるので、まずは調査。空気はあるとは聞いているけど怖いから、空気魔法を使いながらわしはUFOから飛び下りた。

 この惑星ではスマホが使えないし、距離が離れると通信魔道具も難しい。なのでわしは、スマートウォッチのタイマーで30分になったら浮上。光魔法を空に放って生存を知らせる。


 潜ったり浮かんだりと繰り返し、3時間が経てば、ランチしながら会議だ。


「わしの攻撃でも、まったく歯が立たなかったにゃ~。モグモグ」


 まずは皆が一番気になる情報、わしがやった攻撃を全て報告したけど、暢気すぎるとベティに睨まれた。


「よくそれで暢気にしてられるわね。スサノオ様に、倒せませんでしたで通じるの? 帰してもらえないかも知れないじゃない。こんなことなら、ついて来るんじゃなかった~」

「モグモグ。別に倒せないにゃんて言ってないにゃろ」

「はあ? 攻撃も通じないって言ったじゃない??」

「ベティ以外はわかってるみたいにゃから、その他の報告を先にするにゃ。モグモグ」

「食べる暇があるなら、先に秘策を教えてよ~」


 二度手間は時間の無駄なので、モグモグ討伐対象の生態を説明だ。


「敵の正体は、ジンベイザメみたいにゃ生き物にゃ。知ってる人は~……ノルンちゃんだけかにゃ?」

「ノルンちゃんは高性能だから説明もできるんだよ」


 ベティは知っておけよと思ったけど、ノルンの完璧な説明にわしは拍手だ。


「プランクトンってのは、理科で習ったにゃろ? ここのジンベイザメからしたら、クジラぐらい大きくてもプランクトンサイズにゃ。さらに、吸い込んだりできるみたいでにゃ~。海藻とかも、根刮ぎ吸い込んで食ってたにゃ。つまり、大食い過ぎるジンベイザメのせいで、生態系は消滅する一歩手前の状態みたいにゃ~」


 討伐対象はジンベイザメに似た生き物だけど、顔の形が違うので『大陸サメ』と命名。見たまんまなので、誰からの反対もなかったよ。

 いちおう調査の過程でビデオも回していたので、大陸サメの口に次々と吸い込まれる生き物の数々を見せて証拠とする。


「ねえ? シラタマ君も食べられてない??」


 あと、わしが大陸サメに食べられる恐怖映像も。ベティはなんだか幽霊でも見る目してるけど、猫又は妖怪だよ?


「うんにゃ。近付き過ぎて吸い込まれちゃったにゃ」

「なんで生きてるのよ!?」

「ピノキオさんも、サメに食べられて生きてたにゃ~」

「アレは童話だから……あっ!?」


 ここでやっとベティも気付いた。


「体内に入って直接心臓を叩くのね!」

「おっそいにゃ~……ヤマタノオロチでやったにゃ~」

「そんなこと書いてたっけ?」

「ボケたにゃ?」

「あ、あの当時は覚えること多かったから……そう! ユーラシア大陸に戻ったら、変な国があって変な生き物が王様してるんだも~ん」

「それ、わしのことだよにゃ?」


 ベティがわしを愚弄するので喧嘩に発展しそうになったけど、イサベレが先の先で抱っこしたので喧嘩できず。


「どうやって中に入るの?」

「UFOに乗ったままでいけるにゃ。調査のついでに小部屋を作っておいたから、食休みしてから行こうにゃ~」

「さすがダーリン」


 わしはデキる猫。調査以外の先の仕事もしていたので皆もチヤホヤしてくれたけど、食休みは必要ないみたいなのでUFOは海中に潜るのであった。



 UFOは海の中に入っても、機能はまったく変わらない。宇宙空間でも動くのだから、水中でもお手の物だ。


「なんだか不気味ですね」

「生き物がほとんどいないもんにゃ~。ノルンちゃん、ソナーを使いながら南に向かってくれにゃ」

「あいあいにゃ~だよ~」

「普通に言ってくれていいんにゃよ?」


 リータの発言の後、わしはノルンに指示したけどムカつくな。それでもUFOは海中を凄まじい速度で進み、すぐに大陸サメを発見。

 わしは1人で海中に出ると、先行して大陸サメの顔まで案内する。


「アレって猫掻きかしら?」

「猫のクセに、ペンギンに近い泳ぎ方なんだよ~」

「じゃあ……猫ペン?」

「「「「「ププププ……」」」」」


 わしの泳ぎ方が変だと笑われながら……ベティ&ノルンは、本当にムカつくな。ちなみにわしは、スーパーマンみたいだと思ってるよ。


 大陸サメの横顔まで近付いたら、わしはハンドサインで「ショックに備えろ」と指示。UFOのボディに丸が表示されたら、わしは手招きしながら先を泳ぐ。そんな機能までついてたのね……

 それから口元に近付くと、急に吸引力が強くなるから、わしたちは錐揉みしながら大陸サメに飲み込まれるのであった。



 大陸サメの体内に侵入したわしは、食道辺りで足をバタバタして踏ん張って、UFOをガッシリキャッチ。ハンドサインで、ゆっくり前進ってやっだけど、なかなか返事が来ない。UFOの中は錐揉みしても大丈夫なはずなのに酔ったのかな?

 2分後ぐらいにUFOのボディに「〇草」と出たけど、あまり意味がわからない。ただ、ゆっくり前進はし出したのでわしはUFOに腰掛けて、穴を開けた場所まで案内する。


 土魔法のフタを発見したら、UFOを「オーラ~イ」と御案内。その空洞に入ってフタをしたら、一番奥まで連れて行くのであった。


「「「「「プッ……ププププ……」」」」」

「にゃんで笑ってるにゃ? わしの顔ににゃんか付いてるにゃ??」

「「「「「あはははは」」」」」

「にゃ~??」


 どうやらUFOをキャッチした時に、わしの顔がUFOのボディに当たってベチャッてなってたから、皆で大笑いしてたんだとか。だから返事が遅かったのか……

 わしもスマホで撮った写真を見たけど、いつもとたいしてかわりません……悲しいので、シャキッとして指示だ。


「え~。攻撃法方をご説明させていただきにゃす。大き過ぎて、レントゲン魔法でもどこに心臓があるかわかりにゃせん。にゃので、みんにゃで体内を掘削して探したいと思いますにゃ~」


 おそらくこれが、人数制限があった理由。わし1人では時間が掛かると思って、スサノオがサービスしてくれたのだろう。


「では、張り切って参りにゃしょう!」

「「「「「にゃ~~~!!」」」」」


 斯くして、わしたち猫クランアンクルチームは、気合いを入れ直して大陸サメとの死闘を繰り広げるのであった……


「ねえ? これって鉱夫の仕事じゃない??」

「まさかトンネルを掘りに他の星に来るなんて……」

「戦いに来たはずなのに……」

「これじゃあ、シラタマ殿みたいニャー!!」


 ただし、白魔鉱で作ったスコップで掘れども掘れども心臓は見付からないので、ベティ、リータ、イサベレ、メイバイ、の集中力が続かないのであった。


「あんまり美味しくないね」

「お腹壊すかもしれにゃいから、ペ~っしようにゃ。にゃ?」


 コリスはコリスで、大陸サメの切り身をモリモリ食うのであった。


「プッ……これのどこが討伐依頼なんだよ~。鉱山奴隷の間違いなんだよ~。キャハハハハ」


 もちろんノルンは、皆を度々イラッとさせるのであったとさ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ