猫歴78年その4にゃ~
我が輩は猫である。名前はシラタマだ。79歳は80歳だよね~?
「「「違いますぅぅ~」」」
らしいです。
久し振りにララと会って年齢のことに言及したら、カレンとエマも加えてかしましくなってしまった。このままではいつララがわしの秘密を暴露するかわからないので、ヨイショだ。
「てか、みんにゃお若いですよにゃ~。まだまだ50代でも通じますにゃ~」
「「「……50代??」」」
「よ、40代……」
「「「もう、お婆ちゃん捕まえてやめてよ~」」」
ヨイショが足りなかったみたいだけど、その差もよくわかりません。訂正しただけで、そんなに嬉しいモノなのか?
「てかにゃ~……いまさらにゃんだけど、みんにゃ若すぎにゃい? わしと同年代なんにゃろ? うちの世界のお婆ちゃんは、しわくちゃにゃよ??」
「「「あぁ~……」」」
よく見たら、こいつらはおかしい。80歳でピンピンしているし、おばちゃんで通じる見た目。厚化粧を疑って藤田カレンのガングロを触ろうとしたら、噛まれました。それは犬飼エマがやることじゃね?
わしが次の獲物に視線を持って行ったらエマは「ぐるるぅぅ」とか唸っているけど、やっぱり名は体を表すのね。ちょっと面白いから指を前に出したら、ララに「ケンカすんな」と止められました。
「これ、あなたのおかげよ?」
「わしはアンチエイジングにゃんかわからないにゃ~」
「違う違う。あなたが持ち込んだ物よ。薬草とか、俗に言われている超高級お肉ね。その成分を研究していた人が、老化防止の薬を作ったのよ」
「にゃんですと? てことは、不死の世界に足を突っ込んだってことにゃ??」
「ちょっとだけね。老化を遅らせているだけよ。たぶん私たちは、150歳前後まで生きられる予定よ。ま、その時にならないとわからないけどね」
「にゃ~……そんにゃ薬、もっと早くにあったらにゃ~」
オニヒメが死ぬ前にあったらと、わしは悔やむ。ただ、まったくわしは欲しくない。必要ないのは置いておいて、自然の摂理を曲げたくないからだ。
「てか、この世界の人は、みんにゃ使ってるにゃ? わしはあまりよくないことに思えるにゃ~」
「まだ実験段階だから販売はされていないわ。この島にいる人だけで実験してるの」
「にゃ? まさかこれも、総理の姉ちゃんの差し金にゃ??」
「ううん。医学会に相談されたから、やっちゃう?って決まったしぃ」
「それを差し金と言うんにゃ……」
「みんな喜んでくれたしぃ!」
「当たり前にゃろ!?」
人類の彼岸が叶っているのだから、喜ばないワケがない。しかし、まだ謎が残っている。
「その顔は整形にゃ?」
そう。この島で極秘に使っているなら、使い出したのは60代。若い60代もいるだろうけど、それにしては若すぎる気がする。
「「「違いますぅぅ~」」」
「うんにゃ。みんにゃはそれでいいから、皮膚を蘇らせる研究だけ教えてくれにゃ~」
なんとか聞き出した医療技術は、なんちゃら細胞を使った皮膚の若返り方法。女性に大人気で、何年もの順番待ちが起こっているらしい。ちなみに天皇陛下も手術を受けたから、あんなに見た目が若いんだって。
「やっぱり……」
「「「違いますぅぅ!!」」」
かしましいララたちの若さの秘密は、半分しか聞き出せないわしであった。もう全部聞いたようなモノだけどね。
それからはわしへの質問タイムに移行して、ランチには広瀬家、犬飼家、藤田家大集合。他にもララの幼馴染という家族が集まり、めっちゃモフられましたし、超高級肉をガッツリ取られました。
久し振りの元女房の料理は「こんな味だったかな?」と思ってエミリに作らせた煮物を出して食べ比べたら、ちょっと違う。ララは世界中を飛び回っていたから、舌の感度が変わっていたみたい。なんで自分の昔の味で懐かしんでるんじゃろ?
エミリの家庭料理も奪われ、お腹いっぱいになったら50代ぐらいに見えるイケオジ、ジュマル80歳と余興だ。
「フッフッフッ。剣道でもチャンプになった俺に勝てると思うなよ!」
「メ~ンにゃ~」
「なんでいま当たったんだ!?」
「「「「「あはははは」」」」」
ジュマルは自信満々でわしにリベンジしたかったみたいだけど、優しい剣の奥義で一本! そんなジュマルを初めて見た一同は大爆笑だ。
「おお~。先の先も後の先も上手いにゃ~。わしの孫より使えてるにゃ~」
「なんで当たらないんだ~~~!!」
「「「「「あはははは」」」」」
わしがバシバシ面を決めていたら、ジュマルから「攻撃させてください」と泣きが入ったのでやらせてあげたけど、掠りもしない。また笑われて自信喪失だ。
「ゼェゼェ……」
「にゃはは。ちょっとは負ける楽しみを感じてもらえたかにゃ?」
「ゼェゼェ……ああ。あんただけだ。俺に土をつけられるヤツは。ゼェゼェ……」
「にゃはは。初めて戦った時を思い出すにゃ~。もう、ララに無茶振りされて大変だったにゃ~。にゃははは」
「俺もまさか負けるなんて思ってなかった。わはははは」
ここからは思い出話。わしは大の字になっているジュマルの隣に座って、昔のことを語らうのであった……
余談だが、ジュマルの子供は猫っぽさがひとつもないんだって。でしょうね。ララの子供は、イギリス人とのハーフだってさ!
懐かしい話は、夕暮れ時になると終了。皆と別れの挨拶をしたら、最後はララだ。
「今回は大荷物はないにゃ?」
「大荷物??」
「またついて来るつもりにゃろ?」
「ないない。いくつだと思ってるのよ。もう歩き回る元気はないわ」
「79歳にゃ……」
「あのこと言うわよ?」
「すいにゃせん……」
いつも第三世界に来たらララに付け回されていたからの疑問。ボケで返されたと思ったけど、ララに睨まれたので平謝りだ。
「たぶんこれで最後になるかもにゃ~……元気に暮らせにゃ」
「ええ。あなたも……」
ララも歳だ。もう会えるかどうかは、わしにもわからないからお互い感慨深い。およそ150年の付き合いだからな。
「いや、150年生きるにゃら、また来ようかにゃ? まだ70年もあったにゃ~」
「それは予定と言ったでしょ」
「パパさんもママさんも、100歳超えてるのに元気にゃ。きっと上手くいくにゃ」
「そうね。実験の成果、見せてあげるわ。また会いましょう」
最後は、再会を約束して握手。
「あ、わしの血とかオーガの血とかあるけど、欲しいにゃ?」
「なにそれ!? 早く言いなさいよ!!」
言い忘れを思い出したわしは、ララに研究素材を奪い取られてからホテルに帰るのであった……
「これはどういうことですか~?」
「浮気ニャー?」
「それは総理の姉ちゃんに挟まれただけにゃ~~~!!」
カレンはあの歳でもまだ動画配信をしていたらしく、抱っこされて巨乳に挟まれているところを配信してくれやがったので、リータとメイバイに浮気を疑われるわしであったとさ。
てか、昔はパット入れまくっていたのに巨乳になっているということは、胸も整形してやがったのか……
カレンのせいで、子供や孫たちからも冷たい目で見られていたけど、わしたちは忙しい身。インターネットやVRゲームをしないのかと聞いたら、焦ってやり始めた。
わしはというと、爆買いしていた物をブラックカードで支払い。次々と次元倉庫に入れて、天皇陛下が買い集めてくれていた、大型の機械類や医療関係の論文や機器も次元倉庫へ。
そういえばまだ今回の迷惑料を払っていなかったので、それも進呈だ。
「また面白そうな小説ですね」
猫王様シリーズの小説だ。
「内容はにゃ~……」
「どうかしたのですか?」
「ゴーストライターに書かせたんにゃけど、脚色が凄いんにゃ。オーガ探索はそうでもないんにゃけど、惑星探索がにゃ~……戦闘はなかったのに、にゃんか宇宙人と戦ってるんにゃ」
「今回はフィクションが多いということですか。どちらにしても、私からしたらフィクションに見えますけどね」
「だにゃ。わしもこの世界はフィクションにしか見えないにゃ~」
確かに科学の世界と魔法の世界では、視点が違い過ぎて、違う世界の住人からしたらフィクションにしか見えない。わしだってこの50年の、元の世界の進化について行けなかったしな。
「こっちも参考用に渡しておくにゃ。日記の写しも用意しておいたにゃ」
前回渡した日記は纏めた物で、小説に関係ありそうな部分しか載っていなかった物。今回は一切加筆、減筆なしの原本の写しだ。
「それはそれで興味深いですね。シラタマ王の日常が知れるなんて……お昼寝ばっかりしてません?」
「そこは飛ばしてくれにゃ~」
その後発売された小説は、残念なことに惑星探索はフィクションなのであまり売れなかったとのこと。といっても前回ほどってだけで、何十億冊も売れたらしいけどね。
ただ、本当に残念なのは、わしの日記が十倍も売れたこと。王様らしい仕事をせずに、お昼寝したり王妃から怒られたり、子供や孫と遊んでばっかりなので、ほのぼの読まれたんだとか。
そうこうゲームしたりインターネットしたりしている皆を観光に連れ出したりしていたら、予定していた1週間を4日も過ぎて、なんとか帰る日の前日。
わしは初日と同じく、玉藻、家康、アンジェリーヌと共にスタイリッシュな国立競技場にて感想を述べる。玉藻たちが「素晴らしい」と褒めて大歓声があがるなか、勝手について来たノルンが「まったくなってないんだよ」と苦言。
ノルンみたいな高性能ロボットがないから怒っていたけど、そもそもノルンもロボットじゃなくてゴーレムだからな?
とりあえずノルンを黙らせたら、わしの感想だ。
「いや~。国連総会でも言ったけど、素晴らしいの一言に尽きるにゃ。やっと技術は追い付いたと思っていたのに、この50年でこんにゃに引き離されるとは思ってなかったにゃ~」
わしまでベタ褒めしているので、世界中の権力者は安堵のため息を吐いたらしい。
「こんにゃことにゃら、第三世界を平和にするんじゃなかったにゃ~。もう好きにしていいにゃ。戦争してミサイル撃ちまくって、人々を殺してくれにゃ。進化を停滞してくれにゃ。その間に、わしたちが追い越すにゃ~」
この発言には拍手は起こらず、権力者だけはガッツポーズしたらしい……
「ま、酷い世界になってたら、わしも滅ぼしやすいからにゃ。にゃ~はっはっはっはっ」
でも、わしが滅ぼすと言ったことで、権力者は上げた手を静かに下ろしたんだとか。こうして大多数の民から大歓声を受けて、記者会見は終わるのであった。
本心なワケなかろうが……
別れの記者会見の翌日は、朝早くからUFOは離陸。皇太子殿下とその子供を乗せて世界中を飛び回り、UFOを世界中の人々に見せてあげる。
どこを飛んでも笑顔で手を振る人々ばかりなので嬉しくなり、未来的な都市があったらちょっと寄り道。なんとか夜までに日本に戻って来たら、皇太子殿下たちを降ろしてUFOは第三世界から消えるのであった……
「ねえ? 毎回私の家を溜まり場にしないでくれない??」
「いや~……にゃはは。みんにゃまだ帰りたくないとうるさくてにゃ~……ま、ご家族も喜んでくれてるからいいんじゃにゃい?」
「島民も集まって来てるのよ!?」
第三世界から消えたのではなく、東京から消えただけ。ララの住む島なら情報は表に出ないからって、わしたちは島民と3日も触れ合ってから帰るのであったとさ。




