第7話 プリンセスの聖地でティーパーティー!最後のロイヤルクリスタル!
ある日の放課後、つぼみは横中プリンセスガーデンにいた。
「すごくきれいな花ね!」
つぼみが、美しく色とりどりに咲いている花たちを眺めていると、
「咲いた 咲いた」
「チューリップの花が」
「並んだ 並んだ」
「赤 白 黄色」
「どの花見ても」
「綺麗だな」
「揺れる 揺れる」
「チューリップの花が」
「風に揺れて」
「にこにこ 笑う」
「どの花見ても」
「可愛いな」
「風に揺れる」
「チューリップの花に」
「飛ぶよ 飛ぶよ」
「ちょうちょが とぶよ」
「ちょうちょと花と」
「遊んでる」
突然怪しい歌声が聞こえてきた。
「あなたは誰なの!?」
「私よ、私」
すると、謎の女がつぼみの目の前に現れる。
「近頃新しくできたプリンセスの聖地とされる横中プリンセスガーデンで心を込めて精一杯おもてなしさせていただきます。しかしながら、その前に私のことを紹介いたしますね。私のお名前は、ヴァーナロッサム・イースターでございます」
黒いマントと仮面をとった謎の女の正体は、ネメシス財団の幹部であるイースターだった。
「蝶のように舞い、ハチのように刺す。それこそ私のモットーでございます。どちらの輝きが本物なのか、ここで確かめましょう」
「分かったよ」
イースターからの勝負を、つぼみは引き受けた。
「さあ、変身よ」
つぼみは、プリンセスミラーでラブリーピンクに変身する。
「ピンク・ジュエル・パワー!ドレスアップ!」
つぼみをピンクの光が包む。
「愛のプリンセス・ラブリーピンク、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」
ラブリーピンクが現れると、
「さあ、ティーパーティーを始めましょう。あなたをもてなす準備ができましたから」
イースターはラブリーピンクを連れて、ある場所へと向かう。
「ちょうちょ ちょうちょ」
「菜の葉にとまれ」
「菜の葉に飽いたら 桜にとまれ」
「桜の花の 花から花へ」
「止まれよ 遊べ 遊べよ 止まれ」
「起きよ 起きよ」
「ねぐらのすずめ」
「朝日の光の さしこぬ先に」
「ねぐらを出でて 梢に止まり」
「遊べよ すずめ 歌えよ すずめ」
向かった先は、さまざまなスイーツが並べられたテーブルがあるカフェテリアスペースだ。
「本日のメニューはこちらでございます。ピンクのストロベリーショートケーキ、ショコラミントアイスクリーム・ソーダシャーベットミックス、蜂蜜風味のカスタードプリン・キャラメルソースがけ、ガトーショコラにブルーベリーソースを添えて、完熟リンゴのアップルパイ、レインボーパルフェ、輝くジュエルのフルーツタルト、湖に浮かぶスワンのシュークリーム、紅茶のマフィン、おまじないフォーチュンクッキー、おめかしカップケーキ、ベルギー生チョコレート、シナモンチュロス、フルーツたっぷりゼリー、イチゴ大福、ホイップとカスタードのミルクレープ、メロンのパンケーキ、水色のムース、シロクマのかき氷、12色のグミ、スイートケーキポップ、天使と悪魔のロールケーキ、チョコバナナミルフィーユ、ファンシードーナツ、それにカラフルマカロンです。だけれども、そう簡単に召し上がることはできません」
「えっ、そんな!」
イースターに厳しい条件を突き付けられたことに戸惑うラブリーピンク。
「ロイヤルローズヒップティーはいかがでしょうか?ミルク・レモン・ストレートと種類はありますが?」
イースターによって、プリンセスガーデンで開かれたティーパーティーの準備は整ったかのように見えた。
だが、その時だった。
「ちょっと待て!」
「何でしょう、この青いチワワちゃんは…」
突如としてチララがイースターの目の前に現れた。
「チワワじゃないよ、チララだよ!ボクはいつもこのような食べ物に飢えている。だから、ボクは我慢強くないんだ!」
「このチンチラちゃん、しゃべっていますね…」
チララがイースターのそばからマカロンがある皿の元へ向かうと、バニラのマカロンを加えて、
「これをお見舞いしよう!」
「何ということでしょう、チンチラちゃんが攻撃を仕掛けてきましたとは…」
チララはイースターに向かって体当たりする。
「さあ、今がチャンスだ!」
「うん!」
ラブリーピンクに指示を送る。
「心の輝きを信じて。絶対、大丈夫だよ」
ラブリーピンクは、ルビーのマジカルストーンをプリンセスミラーにセット。その力をプリンセスバトンロッドに授けると、
「プリンセスステージ、ライブスタート!」
ラブリーピンクによるイースターの撃退が始まった。
「Tell me 私に」
「愛の本当の意味を」
「答えてくれるのなら」
「きっと変わるはず」
「たとえ遠く離れても」
「会えなくなってしまっても」
「心の中でつながっている」
「君に向けて I love you」
「向かい風に吹かれても」
「君を感じて I feel you」
「私だけのLove Song」
「ルビーの輝きでパワーアップ!乙女の愛!ルビー・スイート・ハート!」
プリンセスバトンロッドでマゼンタのハートを描き、イースターに向かって放つ。イースターは混乱状態に陥った。
「まだ行くよ」
「何かしら?」
今度は、ローズクォーツのマジカルストーンをセットして、イースターが持っている闇の力の浄化に挑む。
「きれいごとは完全に」
「耳を向けないで」
「ずっと心の中に」
「正義があるよ」
「君が語る言葉に」
「なぜか 勇気が」
「湧いてくる」
「It’s all right.」
「一人じゃない」
「仲間がいる」
「喜び抱きしめて」
「It’s all right.」
「La la la…」
「It’s all right.」
「その先の未来へ」
「見果てぬ世界へ」
「歩いていこう」
「It’s all right.」
「ローズクォーツの輝きでパワーアップ!乙女の愛!ローズクォーツ・スイート・ハート!」
プリンセスバトンロッドでパステルピンクのハートを描き、イースターに向かって放つ。すると、イースターはみるみる力を失っていき、ペンダントとして身に着けていた闇の石が粉々に砕けた。
「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」
とチララは闇の石から出てきたマジカルストーンの気配を察知した。マジカルストーンが落ちていく方に行くと、
「キャッチ!」
とチララがマジカルストーンを回収することに成功した。それをつぼみのプリンセスミラーに認識して、
「ちゅちゅ!これは、ロイヤルクリスタル・ピンク!強い力を持つプリンセスジュエルだ!これでロイヤルクリスタルはすべて揃った!」
「それではまた次回、輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」
ラブリーピンクが勝利宣言する一方で、
「それでは、これにてティーパーティーはお開きとさせていただきます。本日は長い間ありがとうございました」
イースターが倒れようとしたところを現場に駆け付けた警察にとらえられ、そのまま現行犯で逮捕された。
それから、つぼみとチララは改めてティーパーティーを行う。
「四天王がいなくなったことだし、ロイヤルクリスタルをすべて取り戻したことだし」
「ティーパーティーを再開しよう」
「では、いただきます」
「いただきます」
「私がロイヤルローズヒップティーで」
「ボクは星空ソーダを飲むよ」
つぼみがピンクのストロベリーショートケーキを食べると、
「すごくおいしい!ピンクのホイップクリーム、どうやってできたのかな?」
説明しよう。このピンクのホイップクリームは、泡立てた生クリームにイチゴのジャムを加えて混ぜたものである。
「このマカロン、プリンセスドールズのイメージカラーと同じだ!」
マカロンが大好物であるチララは何かに気づいた。そう、マカロンの風味がフランボワーズ・ミント・シトロン。ブルーベリー・カシス・バニラの六種類となっているのだ。
「一体、誰が作っているのだろう?」
つぼみがこう疑問を感じると、
「ぴかっと閃いた!ボクのものがカラフルマカロンとすれば、つぼみのものがピンクのストロベリーショートケーキ、沙奈のものがショコラミントアイスクリームとソーダシャーベットミックス、アリスのものが蜂蜜風味のカスタードプリン・キャラメルソースがけ、蘭のものが、ガトーショコラにブルーベリーソースを添えて、琴音のものが完熟リンゴのアップルパイ、カレンのものがレインボーパルフェ、晴斗のものがチョコバナナミルフィーユ、プラチナとチャミィのものがファンシードーナツ、お姉ちゃんのものが食後のキャンディというものなのか!これで分かった!」
チララはこれらのスイーツに隠された謎を解明した。
そんな中、つぼみのスマートフォンにカレンから一通のメールが届く。
「大変だよ、つぼみ!もうすぐネメシス財団の発表会が始まってしまう!今すぐ横中スタジアムにきて!」
これを読んだつぼみは、
「行くしかない!」
と力強く言って、野球専用の大型スタジアムである横中スタジアムへと急行する。
そこにたどり着くと、カレンたちとチャミィの姿があった。
「一体何を発表するの!?」
「まだ知らない。マスコミ各社には、『ネメシス財団の発表会が横中スタジアムで開催される』とファックスで伝えただけだからね」
チャミィはつぼみたちに発表会が開かれる経緯について語る。
するとそこに、ドクターの姿が選手入場口から現れた。
「世界中のすべての皆さん、長い間待たせたな。これより、我々ネメシス財団の発表会を始めるとしよう」
国内外問わず多くのマスコミがここに集結し、テレビの生中継やインターネット生配信が行われるなど注目度の高さがうかがえる中で、ネメシス財団の発表会の幕が上がった。
「プリンセスドールズ、お前たちに大切なことを教えてやろう」
するといきなり、ドクターが重大発表を行う。
「我が本当の名前は、ネメシス・オメガ。我こそがネメシス財団の生みの親で最高責任者だ。それまでは諸般の事情により偽名で名乗るべく我の名をドクターと呼んでいた。そう、ドクターという名前は仮の名前だったのだ」
なんと、ドクターの本名がネメシス財団のボスであることからネメシス・オメガであることが判明した。
そして、
「今日は何しに来たのか?」
「あなたと戦いに来たの!あなたの幹部たち全員を倒したのだから!」
オメガとつぼみがこう交わすと、
「さあ、戦いの時だ。機は熟した。三度目の正直を必ず成し遂げて見せる」
「あなたの好きにはさせないよ」
「準備はできたか?」
「はい!」
二人はこうやりとりをした。こうして、プリンセスドールズとオメガとの仁義なき戦いの火蓋が切られたのであった。




