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Let's Go! ドールプリンセス 2020  作者: 見習いさん
第1章 ネメシス財団編
7/50

第6話 悲しみ、乗り越えて。踊って、バレリーナ

 ある日の放課後、沙奈は一人の幼い少女がさみしく歩いているのを見かけた。

「あなたの名前は?」

「右片マイ。今からバレエのレッスンに行くの」

「私もついて行っていいの?」

「うん、いいよ」

沙奈とマイはダンススタジオに行く。


 だが、レッスンスタジオに入ると、マイはおびえてしまう。

「こ、怖いよ…」

「どうしたの?」

「上手に踊れない…」

そんな二人の目の前に、謎の男が現れる。

「がっかりして、めそめそして、どうしてしまったのかい?私のことが怖いのかい?」

「マイを怖がらせたのは、あなただったのね!」

「そう、私の正体を教えてあげよう。サマー・サウスターだ」

謎の男が黒いマントと仮面を取ると、ネメシス財団の幹部、いわゆる四天王の姿になった。

 「この子を救いたいのであれば、私と勝負してみろ」

「分かったわ」

マイの運命をかけて、沙奈はサウスターとの戦いに挑む。

 「今できることをやるしかないわ」

沙奈はプリンセスミラーを使ってアクアブルーに変身する。

「ブルー・ジュエル・パワー!ドレスアップ!」

青い光が沙奈を包む。

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 アクアブルーが現れると、

「そこのお嬢さん、踊りたくない理由を言ってみろ!」

「え、え、えっと…」

サウスターに強要されたマイはなぜ踊れなくなったのかを思い出せずにいる。

 すると、アクアブルーが、

「ねえ、理由を言ってみて」

と舞いにそっと語りかけると、

「うん」

とマイはうなずいた。


 その後、マイはあの時のことを思い出す。

 それは、今から二か月前のこと。もうすぐ小学校に入学するマイは、五つ年上で小学五年生のミイと仲良く暮らしていた。

「じゃあ、行ってくるね」

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

ある日、ミイは友達の家に行くために外出をする。

 だが、その道中でのこと。

「もうすぐ信号が赤になっちゃう!急がなきゃ!」

ミイは横断歩道を渡ろうとしたところ、通りかかってきた自家用車にはねられてしまう。

緊急搬送先である横中総合病院で、

「あなたの娘は、幸い命を取り留めることができましたが、その代償として生涯にわたり車いすを必要とする大けがを負ってしまいました」

「そんな…」

「嘘でしょ…」

足が不自由となってしまったミイの診断結果に両親は言葉を失い、

「お姉ちゃん…」

マイは思わず大泣きしてしまった。それ以降、マイは踊ることが苦手になってしまった。


 苦い記憶を思い出したマイは、

「あの日のこと、私は絶対に忘れない!もう一度踊って見せる!」

と力強く語る。すると、マイはステップを踏んだ。

「行くよ、お姉ちゃんの分まで」

軽やかにダンスを踊りだすと、本来の輝きを取り戻したマイ。

 「フィニッシュ、決めて見せる!」

マイは三回転半のターンを決めると、フィニッシュのポーズも完璧に決めた。

「やったね!」

「よかったよ!」

「何があったのか…」

アクアブルーとマイは喜び合い、サウスターは茫然自失となった。


 アクアブルーはサファイアのマジカルストーンをプリンセスミラーにセット。その力をプリンセスバトンロッドに授けると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

アクアブルーによるサウスターの撃退がはじまった。

「青い夏の空の下で」

「君が自転車を進んでいく」

「ペダルをこいだ先には」

「私が待っているから」

「幼い頃 二人で見ていた」

「あの景色を見てみたいから」

「もう一度」

「思い出の海」

「青く澄んだ世界が」

「忘れられない」

「ここをたとえ離れても」

「ずっと頭の中に…」

「思い出の海よ…」

「サファイアの輝きでパワーアップ!乙女の美しさ!サファイア・プリズム・ブリザード!」

アクアブルーがプリンセスバトンロッドで藍色のダイヤを描くと、サウスターは混乱状態に陥った。

 「まだまだ行くわよ」

「何だこれ!?」

今度は、アクアマリンのマジカルストーンをセットして、サウスターが持っている闇の力の浄化に挑む。

「どうしたの?今日はらしくないね」

「疲れているみたい 落ち着こうよ」

「辞書に載っていない 魔法の言葉」

「あなたの心の中で支えとなっているわ」

「Do your best」

「いっぱい食べたい」

「ほしいもの買いたい」

「そう やることたくさん」

「I’m little girl」

「憧れの舞台へ」

「目指していくだけ」

「Let’s try!」

「キラキラ キララ 輝け」

「みんなで力合わせて」

「キラキラ キララ ときめく」

「もっとがんばれるはず」

「Go for it」

「キラキラ キララ きらめく」

「私がついているわ」

「キラキラ キララ キラキラ」

「青空のキセキ」

「アクアマリンの輝きでパワーアップ!乙女の美しさ!アクアマリン・プリズム・ブリザード!」

アクアブルーがプリンセスバトンロッドで水色のダイヤを描き、サウスターに向かって放つ。すると、サウスターはみるみる力を失っていき、ペンダントとして身に着けていた闇の石が粉々に砕けた。

「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

とチララは闇の石から出てきたマジカルストーンの気配を察知した。マジカルストーンが落ちていく方に行くと、

「キャッチ!」

とチララがマジカルストーンを回収することに成功した。それを沙奈のプリンセスミラーに認識して、

「ちゅちゅ!これは、ロイヤルクリスタル・ブルー!強い力を持つプリンセスジュエルだ!」

「それではまた次回、輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

アクアブルーが勝利宣言する一方で、

「私としたことが…」

サウスターが倒れようとしたところを現場に駆け付けた警察にとらえられ、そのまま現行犯で逮捕された。


 それから数日後、沙奈はつぼみとともに横中市民ホールで開催されるバレエの発表会へ行く。

「今日は、バレエの発表会よ!」

「楽しみだね!」

つぼみと沙奈は、発表会に待ちきれない。

 そんなワクワク感を膨らませながら、発表会の幕が上がった。

「私たち保護者会は、日々、著しいステップアップを遂げる子供たちに無限の可能性を感じつつ、本日の発表会を心待ちにしてきました。この舞台を目指して、豊かな成長ぶりを見せてくれた子供たちとの時間は、私たち保護者にとってかけがえのない宝物です。常に真心あふれる指導をしてくださる先生方のもとで、一生懸命、レッスンを重ねてきた子供たちに、どうぞ温かい声援をお寄せください。最後になりましたが、本日の舞台を支援してくださいました関係者のみなさまに、保護者会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます」

「桜の便りが聞かれ始めるこの季節に、今年も『齋川バレエスタジオ的発表会』が盛大に開催されますことを心よりお喜び申し上げます。また齋川バレエスタジオにおかれましては、日ごろよりバレエ芸術を通じて、地域の文化振興のために多大なご尽力をされていますことに、深く敬意を表する次第でございます。バレエは見る人の心に美しさや清々しさ、時に笑いなどさまざまな感動を与えてくれます。練習生のみなさんが心をひとつに鍛錬を重ねて来られてこその感動を、毎年楽しみに拝見しています。どうか教室生のみなさまには、練習の成果を十分に発揮していただき、素晴らしい演技を披露されますよう心から念願いたしております。本日の盛会と齋川バレエスタジオをはじめ、関係者の皆々様が来年もますますご発展、ご活躍されますよう心からお祈り申し上げて、祝辞といたします」

「本日はお忙しい中、ご来場いただき、誠にありがとうございます。恒例となりました齋川バレエスタジオの発表会を、7回目となる今年も無事開催することができ、生徒一同、とても嬉しく思っています。年長者が年下の生徒の面倒をよく見るのが、私たち齋川バレエスタジオの特徴です。この発表会に向けても、協力してレッスンを重ねていく中で、個人がさらに輝き、向上してきました。今日は、バレエが大好きな私たちが、踊ることができる幸せを噛みしめながら舞台に臨みます。どうぞ最後までごゆっくりお楽しみください」

「ご来場の皆さん、大変長らくお待たせいたしました。ただいまより、齋川バレエスタジオ定期発表会を行います」

するとそこに、マイの姿があった。

「これより、小学校低学年の練習生によるダンスを行います」

「マイちゃんが出てきた!」

「頑張って!」

マイは、同世代の子供たちとともにダンスを踊る。

「ソソラ ソラ ソラ うさぎのダンス」

「タラッタ ラッタ ラッタ」

「ラッタ ラッタ ラッタラ」

「脚で 蹴り 蹴り」

「ピョッコ ピョッコ 踊る」

「耳に鉢巻」

「ラッタ ラッタ ラッタラ」

「ソソラ ソラ ソラ 可愛いダンス」

「タラッタ ラッタ ラッタ」

「ラッタ ラッタ ラッタラ」

「とんで 跳ね 跳ね」

「ピョッコ ピョッコ 踊る」

「脚に赤靴」

「ラッタ ラッタ ラッタラ」

 踊り終えると、会場は大歓声に包まれた。

「良かったよ!」

「素敵なダンスだったわ!」

つぼみと沙奈は、マイにスタンディングオベーションを送る。

 「本当に素晴らしかったね!」

「緊張もしていなかったのだから」

発表会の後、つぼみと沙奈は、感想を語る。

「私の今の気持ち、キュンキュンしてる…!」

その時、つぼみの胸には、ある思いを秘めていた。


 一方その頃、プラチナの家では、チャミィとカレンがピュアロイヤルメイクドレッサーの方を見ていた。

「今日、沙奈がロイヤルクリスタル・ブルーをネメシス財団の手から取り戻すことができた。イエロー・パープル・レッドとなると、あとはロイヤルクリスタル・ピンクを手にするだけ」

「これでピュアロイヤルメイクドレッサーの真の力を取り戻すことができる!」

と喜んでいる中で、ピュアロイヤルメイクドレッサーの三面鏡に何かが映った。

「これは何?」

「新たな魔獣であるかもしれない。横中に向かって近づいていることが分かる」

 すると、ドクターからの手紙がカレンとチャミィの元へと送られてきた。

「プリンセスドールズとその仲間たち 2020年の横中でいかがお過ごしであるのだろうか?そんなお前たちにある情報を教えてやろう」

と綴られた手紙の中には、

「忠告しておく。近いうちに我々ネメシス財団による発表会を開催する。場所は横中スタジアムだ。我々はダイヤモンドのマジカルストーンとパールのマジカルストーンをここで失ってしまった。古くからの言い伝えである『二度あることは三度ある』といわされまいと我々は日々努力を続けている。その日を覚悟しておくれ ドクター」

と、ネメシス財団による三回目の発表会を予告するような内容が書かれていた。

 これについて、チャミィとカレンは、

「今度の発表会でネメシス財団は何を繰り出すのかわからない。ダイヤモンドのマジカルストーンとパールのマジカルストーンをより強さはだてじゃないのだから」

「心を一つに、やるしかない」

と、決意を新たにするのであった。

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