第35話 冬の始まりと雪降る夜
横中に例年より早い初雪の便りが来た。説明しよう。初雪とは、その冬の最初に雪か霙による降水があった場合を初雪とする。高山では夏に雪が降ることもあるため、「高山では、その年の日平均気温が最も高い日以降、初めて降った雪」を初雪とする定義があるが、富士山などで観測が廃止された現在は終雪から初雪まで長い期間のある観測地点しか存在せず、統計上は考慮の必要がなくなった。観測地点は、日本国内各地の有人気象観測所58か所のうち、沖縄県の4か所と鹿児島県名瀬を除く53か所、および自動観測数か所である。1997 - 2010年にかけて行われた測候所の廃止により、大幅に減少した。北海道の特別地域気象観測所数か所など、一部では計器による自動観測に切り替えて初雪の観測が続けられている所もある。
「わーっ、うっすらだけど白く染まっている!」
思わず喜ぶつぼみ。そんな中、チララが現れた。
「大変だ!富士山やアルプス山脈の雪がまだ降っていない!」
説明しよう。富士山は、その優美な風貌は日本国外でも日本の象徴として広く知られている。数多くの芸術作品の題材とされ芸術面のみならず、気候や地層など地質学的にも社会的に大きな影響を与えている。懸垂曲線の山容を有した玄武岩質成層火山で構成され、その山体は駿河湾の海岸まで及ぶ。古来霊峰とされ、特に山頂部は浅間大神が鎮座するとされたため、神聖視された。噴火を沈静化するため律令国家により浅間神社が祭祀され、浅間信仰が確立された。また、富士山修験道の開祖とされる富士上人により修験道の霊場としても認識されるようになり、登拝が行われるようになった。これら富士信仰は時代により多様化し、村山修験や富士講といった一派を形成するに至る。現在、富士山麓周辺には観光名所が多くある他、夏季シーズンには富士登山が盛んである。日本三名山、日本百名山、日本の地質百選に選定されている。また、1936年には富士箱根伊豆国立公園に指定されている。その後、1952年に特別名勝、2011年に史跡、さらに2013年6月22日には関連する文化財群とともに「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の名で世界文化遺産に登録された。日本の文化遺産としては13件目である。富士の山と呼んだとしても、「ふじやま」という呼称は誤りである。アルプス山脈は、オーストリア、スロベニアを東端とし、イタリア、ドイツ、リヒテンシュタイン、スイス各国にまたがり、フランスを南西端とする多国にまたがっている。アルプがいっぱいであるからアルプスであると考える説と、ケルト語の alp「岩山」を語源とし、ラテン語を経由したと考える説がある。最高峰のモンブランは標高4,810.9mで、フランスとイタリアの国境をなし、ヨーロッパの最高峰でもある。アルプス山脈はヨーロッパの多数の河川の水源地となっており、ここからドナウ川、ライン川、ローヌ川、ポー川、といった大河川が流れ出て、それぞれ黒海、北海、地中海、アドリア海へと注ぐ。
チララがつぼみにこの事実を告げると、
「今すぐ白銀山脈に行かなくちゃ!」
「分かった!」
つぼみたちは、白銀山脈の山麓にあるスキー場に開けた穴に入る。
そこでの気候は、気温が高く一日中昼の天候である。つまり、夏至なのだ。
「さあ、行くよ!」
「うん!」
つぼみ、沙奈、アリスはプリンセスミラーで、蘭はプリンセスムーンスターで、琴音はエースミュージックポッドで、カレンはミラクルポルテパレットで、ドールプリンセスに変身する。
「カラフル・ワンダー・ユニバース!ドレスアップ!」
虹色の光がカレンを包む。
「虹の光のプリンセス・ミラクルレインボー、見参!」
そして、ミラクルレインボーが、
「ピュアロイヤルメイクドレッサー、ワンダフルチャージ!」
を唱え、ピュアロイヤルメイクドレッサーに向けてミラクルハープアローの矢を放つ。
「友情!」
「勇気!」
「知性!」
「美しさ!」
「プリンセス・ワンダフル・マジカル!ロイヤルドレスアップ!」
金と銀の光がつぼみたちを包む。
「ロイヤルドレス・シャイニングフォーム、ここにて見参!」
「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」
ロイヤルドレスアップされたプリンセスドールズが現れると、アクシアと魔女が現れた。
「ほーれ、雪だるまの魔女ちゃん、やっておしまい!」
雪だるまをイメージした魔女によって、ひょう混じりの雨を起こす。
「みんな、気を付けて!」
「うん!」
プリンセスドールズは降ってくるひょうをよけながら魔女を攻撃する。
すると、チララも攻撃に参加する。
「ちゅ、ちゅ、ちゅるるぴ!ボクも攻撃だ!」
「何ですと!?青いチワワが出たのでざます!」
「チワワじゃないよ、チララだよ!」
チララはアクシアに真っ向から言いつけた。
「さあ、今だ」
チララはプリンセスドールズに指示を送る。
ミラクルレインボーは、アレキサンドライトのマジカルストーンをピュアロイヤルメイクドレッサーにセットする。
「ピュアロイヤルメイクドレッサー、ハートフル・スイート・チャージ!」
すると、プリンセスドールズの周りが光輝き、
「暗くて深い 闇の向こうに」
「一人さびしく たたずんでいた」
「だけどもう 怖がらないで」
「それは迷いを 断ち切ったしるし」
「春風に向かって 旅立っていく」
「さあ 夢の扉を開こう」
「輝く未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」
「愛を守るため みんなを守るために」
「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」
「あなたのそばにいる それがプリンセスなんだから」
「砂漠の街に 住んでいても」
「氷で覆われた 場所にいても」
「心はいつだって 一つだから」
「それは つながっているしるし」
「桜が舞う空 勇気を出して」
「さあ 一歩前へと踏み出そう」
「輝く今へと響く みんながつなぐメロディ」
「世界を守るため 宇宙を守るために」
「きらめく夢を目指して 一つになったハーモニー」
「みんなのためにいる それがプリンセスなんだから」
「人はみんなときめいている」
「だから ずっと忘れないで」
「心の輝きを信じて」
「輝く未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」
「愛を守るため みんなを守るために」
「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」
「あなたのそばにいる」
「みんなのためにいる」
「それがプリンセスなんだから」
プリンセスハーモニーを歌い終えた途端、
「ロイヤルドレス・ハートフルフォーム、ここにて見参!」
シャイニングフォームからハートフルフォームにフォームチェンジしたプリンセスドールズが現れた。
「今こそ、みんなの力を一つにするとき」
プリンセスドールズは、ピュアロイヤルメイクドレッサーのタッチペンから変化したマイクを手に取り、ミラクルハープアローをハープ状に構えると、
「プリンセスステージ、ライブスタート!」
ピュアロイヤルメイクドレッサーでロイヤルドレスアップしたプリンセスドールズによる魔女の浄化がはじまった。
「どうして」
「夢の終わりを祈るのは」
「荒れた大地にも」
「光は射すのに」
「白き光と」
「黒い暗闇」
「輝きは世界に」
「満ち溢れるのに」
「間違ったことを終わらせて」
「愛の意味と希望を」
「私に」
「新しい夢を描こう」
「君と一緒に」
「虹色の光を授けて」
「優しく 安らかに」
「生きたいという希望がある」
「さあ」
「心のメロディー」
「最後の歌を今」
「強き者だけの」
「世の中じゃないから」
「Brand New World」
「愛のメッセージ」
「今こそ、力を一つにするとき!プリンセス・ハートフル・シンフォニー!」
プリンセスドールズが反時計回りにぐるぐる回ってフォーメーションを形成して、魔女にマイクを向ける。すると、プリンセスドールズが、
「アンコールはお断り」
と言って、魔女は光でできた立方体に包まれる。その輝きで魔女は消えていった。
「それではまた次回、輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」
プリンセスドールズが勝利宣言をすると、
「プリンセスドールズ、覚えておくでざます!」
アクシアはこう嘆いてどこかへと去っていった。
すると、
「これは…。雪のプリンセスハート!水色に輝くプリンセスハートだ!」
チララはプリンセスハートの回収に成功する。
「さあ、今こそ、心の扉を!」
「開け、雪の城!」
つぼみとチララが呪文を唱えると、雪の城が闇の力から解放された。説明しよう。雪は、数種類ある降水現象の1つである。固体の形態としての降水は雪だけではなく、あられ、ほかにひょう、凍雨、ダイヤモンドダストがある。なお、みぞれは雨と雪が混在して降る天気をいう。
雪及び細氷は「氷の結晶」、霰・雹・凍雨は「氷の粒」という違いがある。またあられ・ひょう・凍雨は、いずれも雪片が落下するまでの間に融解や凝固を経ることで生成されるため、雪片では微細な規則性のある結晶構造が発達し密度が比較的低いのに比べ、あられ・ひょう・凍雨の粒は規則性のない結晶から構成され密度が高いという違いがある。そして、雪は「雲から落下してくる」のに対して、ダイヤモンドダストは「晴れた空から落下してくる、氷の微小な結晶」という違いがある。細氷の大きさは普通直径30 - 200 μm程度であり、雪に比べて非常に小さい。「天気」としての雪は使用する場面によって、他の現象を含んだり、さらに細かく分類されたりする。気象庁が観測・記録する際の15種天気では、「雪」に細氷が含まれる。また、国内気象通報の日本式天気図における21種天気では、細氷を含めた上で、雪は強さと降り方により区分され、降ったり止んだりで強度変化の激しいものを「にわか雪」、1時間降水量3mm以上を「雪強し」、1時間降水量3mm未満を「雪」とする。さらに、雪片の大きさにより区分する場合があり、雪片の直径が1mm未満のものを「霧雪」、1mm以上のものを「雪」とする。切片の大きさによる区分は国際的に統一されており、国際気象通報式で用いられる。天気予報の予報文では、凍雨や雪あられは雪、氷あられは雨として扱う。ただし予報と観測では分類が異なり、実際に凍雨や雪あられが降った場合でも、観測上は雪が降ったとはされない。また、暴風雪、豪雪、大雪、小雪、にわか雪などは、気象庁により予報用語として定義されている。また、各地の気候を見る資料の1つとして、その冬初めての雪やその冬最後の雪を記録しているところがある。日本では現在気象庁が有人気象観測点や雨雪判別機能付き自動気象観測装置設置点で記録をとっている。この場合には、霙も雪に含めて考える。さらに気象庁は、各地の気象台から主要な山の積雪を目視で観測しており初冠雪として記録している。普通、ある時点における積雪の深さを積雪量や積雪深といい、雪尺や積雪計により観測する。また、一定時間に積もった雪の量を降雪量や降雪の深さという。降雪の量を液体に換算することも行われており、雪を溶かして降水量として観測する。空から降る雪片の形や大きさは様々であり、直径1cmに満たないような小さなものを「粉雪」、綿状に集まったものを花のボタンになぞらえて「牡丹雪、ぼたん雪」などと呼ぶ。こうした違いは雪が成長してくる過程で生じるもので、気温や湿度などに大きく左右される。なお、雪は天然に産出する無機質の結晶構造を持つ物質であるため、鉱物の一種と分類されることがある。
すると、雪あられが降ってきたとともに、雪の城のプリンセスが現れた。説明しよう。あられとは、結晶の表面に凍った霧の粒が付着していることが多いため、あられの小粒を観測することには困難が伴う。さらに、被写界深度の限界があるためマイクロスコープを用いても同様。しかしながら、雪の結晶の観測同様、低温用のSEMを用いれば、明確に結晶の表面が観測できる。ひょうは雪と異なり、プレート、樹枝状結晶、コラム、及び針という4つの基本的雪の結晶形状全てが混在した状態から成るため、規則正しい結晶構造は観測できない。
「私を助けてくれてありがとう」
雪の城のプリンセスがつぼみたちに礼を述べると、夜になった。
「一日中、夜の世界よ。当時は一年で夜が長いからね」
その時、雪の城のプリンセスが、
「みんなで、雪を楽しもう」
と、つぼみたちを誘う。
「ボクたちは、雪合戦をしよう!」
「そうしよう!」
チララとコロンは、チャミィやプリズムフェアリーとともに雪合戦をしたり、
「初めてにしては、きれいなシュプールです」
「たった短時間でこんなに滑れるなんて、すごいわ!」
沙奈とアリスがスキーを楽しんだり、
「ジャンプ!」
「高くてダイナミック!」
蘭と琴音は、スノーボードを楽しんでいた。
その頃、つぼみとカレンはあるものを発見した。
「あっ、珍しい雪の結晶!」
「しかも、ちょっと変わっている!」
説明しよう。結晶とは、原子や分子が空間的に繰り返しパターンを持って配列しているような物質である。より厳密に言えば離散的な空間並進対称性をもつ理想的な物質のことである。現実の物質の大きさは有限であるため、そのような理想的な物質は厳密には存在し得ないが、物質を構成する繰り返し要素の数が十分大きければ結晶と見なせる。この原子の並びは、X線や電子線など、可視光線と比べて短い波長の電磁波に対して回折格子として働き、X線回折あるいは電子回折と呼ばれる現象を引き起こす。このため、固体にX線を当てて回折することを確認できれば、それが結晶していると判断できる。現実に存在する結晶には格子欠陥と呼ばれる原子の配列の乱れが存在し、これによって現実の結晶は理想的な性質から外れた状態となる。格子欠陥は、文字通り「欠陥」として物性を損ねる場合もあるが、逆に物質を特徴付けることもあり、例えば、一般的な金属が比較的小さな力で塑性変形する事は、結晶欠陥の存在によって説明される。準結晶と呼ばれる構造は、並進対称性を欠くにも関わらず、X線を回折する高度に規則的な構造を持っている。数学的には高次元結晶の空間への射影として記述される。また、液晶は3次元のうちの一つ以上の方向について対称性が失われた状態である。そして、規則正しい構造をもたない物質をアモルファスと呼び、これは結晶の対義語である。
それは、カラフルな雪の結晶だった。




