第34話 ペガサスと光のイルミネーション
二十四節季のひとつである立冬になり、季節はもうすぐ冬を迎えようとしている。説明しよう。二十四節気は中国の戦国時代の頃、太陰暦の季節からのずれとは無関係に、季節を春夏秋冬の4等区分する暦のようなものとして考案された区分手法のひとつで、一年を12の「節気」と12の「中気」に分類し、それらに季節を表す名前がつけられている。重要な中気である夏至・冬至の二至、春分・秋分の二分は併せて二至二分と言い、重要な節気である立春・立夏・立秋・立冬を四立、二至二分と四立を併せて八節という。太陰太陽暦では、暦と季節のずれを正すために用いられる。本来の二十四節気は中国の中原を中心とした地域の気候をもとに名付けられており、日本で体感する気候とは季節感が合わない名称や時期がある。違いを大きくするものとして、日本では梅雨や台風がある。例えば夏至はまだ梅雨の真っ只中にあり、蝉はまだ鳴き始めていない。小暑では蒸し暑さは増すものの七夕を眺めるような晴れの空は期待できず、暑中ではあるのに地域によって梅雨寒となることもある。大暑は「最も暑い時候」と説明されるが、盛夏のピークは立秋の前後となる。日本ではこのような事情を補足するため、二十四節気の他に、土用、八十八夜、入梅、半夏生、二百十日などの「雑節」と呼ばれる季節の区分けを取り入れた。なお、二十四節気や雑節は、旧暦に追記されて発行されていた。旧暦の日付は、年ごとに月がおよそ1朔日間の範囲で誤差が生じるため、二十四節気の日付は毎年異なる。それでも四立や八節に加えて一年の中の季節を分ける目安としては十分であった。さらに各気各候に応じた自然の特徴が記述されるものとして、二十四節気をさらに約5日ずつに分けた七十二候という区分けもあり、二十四節気と併せて暦注などに記された。これらは現在でも農事暦や旬を楽しむ生活暦として使われ、新暦における日付とは異なるわずかな季節の変化、すなわち微妙な季節感を感じ取ることが出来る。日本は明治5年以降、太陽暦を元にしたグレゴリオ暦を採用したため、二十四節気の日付は毎年ほぼ一定とはなった一方、新暦は旧暦に対し、年初の定義の違いから来る日付のずれが発生することから、いわゆる「月遅れ」が生じることとなった。 この結果、例えば旧暦では「秋」であった「文月」が新暦では「夏」になったり、7月9日頃から8月11日頃までであった二百十日が新暦9月1日になったり、盆の節会を行う時期が地域によって新暦7月と新暦8月に別れたりするなど、月遅れによるそれまでの慣習との相違が発生しているほか、また上述のような元々の中国風の定義も絡み、現在でも若干の違和感が存在することから、日本のメディアでは「暦の上では……」 と前置きして説明されることがあるが、その暦こそが旧暦である。
そんな中、つぼみの家にもシンデレラのドールプリンセスが現れた。
「私は、ダイヤモンドシンデレラ。よろしくね。それはともかく、今、光の城が闇の力によって支配されているの」
「本当に!?」
ダイヤモンドシンデレラがつぼみにある事実を告げた途端、チララが現れた。
「大変だ!毎年恒例のけやき通りのイルミネーションに使われる電球の明かりがつかなくなってしまった!今日は、記念すべき初日だというのに!」
「けやき通りに穴があるってこと?」
「そう!」
なんと、イルミネーションに必要な光エネルギーがなくなってきているのだ。つぼみとチララは、けやき通りから光の城へと通じる穴に入る。
そこには、暗黒の世界が広がっていた。
「さあ、変身よ」
つぼみは、プリンセスミラーでラブリーピンクに変身する。
「ピンク・ジュエル・パワー!ドレスアップ!」
つぼみをピンクの光が包む。
「愛のプリンセス・ラブリーピンク、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」
ラブリーピンクが現れると、アクシアと彼女によって操られているペガサスが現れた。説明しよう。ペガサスは、ポセイドンの子を身ごもったメドゥーサが英雄ペルセウスによって倒された際、ペガサスはクリューサーオールと共にメドゥーサの首の傷口から生まれた。その後ペルセウスはヘルメスから与えられた翼のあるサンダルで、エチオピアの上空を飛んでいるときに岩に縛り付けられたアンドロメダを発見した。一方のペガサスは天に上り、ゼウスのもとで雷鳴と雷光を運ぶという名誉ある役割を与えられた。ちなみに、ユニコーンは、そのほとんどが、ライオンの尾、牡ヤギの顎鬚、二つに割れた蹄を持ち、額の中央に螺旋状の筋の入った一本の長く鋭く尖ったまっすぐな角をそびえ立たせた、紺色の目をした白いウマの姿で描かれた。また、ヤギ、ヒツジ、シカに似た姿で描かれることもあった。角も、必ずしもまっすぐではなく、なだらかな曲線を描くこともあれば、弓なりになって後ろの方へ伸びていることもあり、鼻の上に生えていることもあった。ユニコーンは、山のように大きいこともあれば、貴婦人の膝に乗るほど小さいこともあった。時には様々な動物の体肢を混合させてできた生き物であった。ユニコーンと水には医薬的、宗教的な関係があるため、魚の尾をつけて描かれることもあった。アジアでは時おり翼を生やしていることすらあった。体の毛色も白色、ツゲのような黄褐色、シカのような茶色と変わっていったが、最終的には、再び輝くばかりの白色となった。
「さーて、ペガサスちゃん、やっておしまい!」
ペガサスは、ラブリーピンクの元に襲いかかる。
しかし、ラブリーピンクはペガサスのある点を見抜く。
「どうやら、しっぽをケガしているみたい。どうして俊敏に動けるのかな」
ラブリーピンクはこう察したうえで、
「浄化するのではなくケガを治さなきゃ」
ペガサスの治癒に挑むことになった。
ラブリーピンクは、ローズクォーツのマジカルストーンをプリンセスミラーにセット。その力をプリンセスバトンロッドに授けると、
「プリンセスステージ、ライブスタート!」
ラブリーピンクによるペガサスの治療が始まった。
「It’s all right.」
「その先の未来へ」
「見果てぬ世界へ」
「歩いていこう」
「きれいごとは完全に」
「耳を向けないで」
「ずっと心の中に」
「正義があるよ」
「君が語る言葉に」
「なぜか 勇気が」
「湧いてくる」
「It’s all right.」
「一人じゃない」
「仲間がいる」
「喜び抱きしめて」
「It’s all right.」
「La la la…」
「It’s all right.」
「その先の未来へ」
「見果てぬ世界へ」
「歩いていこう」
「It’s all right.」
「ローズクォーツの輝きでパワーアップ!乙女の愛!ローズクォーツ・スイート・ハート!」
プリンセスバトンロッドでパステルピンクのハートを描き、ペガサスに向けて放つ。すると、ペガサスのケガは次第に治っていき、我に返っていった。
「それではまた次回、輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」
ラブリーピンクが勝利宣言をすると、
「プリンセスドールズ、覚えておくでざます!」
アクシアはこう嘆いてどこかへと去っていった。
すると、
「これは…。光のプリンセスハート!山吹色に輝くプリンセスハートだ!」
チララはプリンセスハートの回収に成功する。
「さあ、今こそ、心の扉を!」
「開け、光の城!」
つぼみとチララが呪文を唱えると、光の城が闇の力から解放された。ちなみに、山吹色は、往々にして小判の黄金色をこれに例える。初等・中等教育に使用される絵の具に用いられている色名であることから、色名自体は知られている。学生を主な対象として行われた調査では、9割以上の回答者がこの色名を知っており、かつ色名からイメージが可能と回答した。しかし、この色名がどのような色相・彩度・明度を持つ色を指しているかのイメージには個人差がある。また色名は本来、植物のヤマブキの色の意であるが、誤って「やまぶ黄色」と解している例もある。
すると、光の城のプリンセスが現れた。
「私を助けてくれてありがとうございます」
「ところで、『心の輝きを信じて』という言葉を知っているの?」
つぼみは光の城のプリンセスに、自分の座右の銘である「心の輝きを信じて」の意味を理解しているかについて尋ねる。すると、
「もちろん、知っていますよ。白熱電球からLEDに変わっても輝きは同じですから」
と述べた。説明しよう。白熱電球とは、電源は直流、交流のどちらでも使用可能である。瞬間的に電流が途切れてもフィラメントの赤熱は持続するため、交流電源の場合でもチラツキはない。電球の光のスペクトルは黒体放射に近く、電力の多くが赤外線や熱に変換されるため発光効率は低い。日常用いられる100Wガス入り白熱電球では、可視光の放射に使用される電力は10%程度であり、赤外放射は72%で、残りは熱伝導により消費される。一方で、一般の人工光源の中では演色性に特に優れており、写真や映画、テレビの撮影光源として広く利用される。演色性の基準となる光源は、専用の白熱電球と特殊なフィルターの組み合わせで定義されている。LEDの日本語名である発光ダイオードは、半導体を用いたpn接合と呼ばれる構造で作られている。発光はこの中で電子の持つエネルギーを直接、光エネルギーに変換することで行われ、巨視的には熱や運動の介在を必要としない。電極から半導体に注入された電子と正孔は異なったエネルギー帯を流れ、pn接合部付近にて禁制帯を越えて再結合する。再結合時に、バンドギャップにほぼ相当するエネルギーが光として放出される。放出される光の波長は材料のバンドギャップによって決められ、これにより赤外線領域から可視光線領域、紫外線領域まで様々な発光を得られるが、基本的に単一色で自由度は低い。ただし、青色、赤色、緑色の発光ダイオードを用いることであらゆる色を表現可能である。また、青色または紫外線を発する発光ダイオードの表面に蛍光塗料を塗布することで、白色や電球色などといった様々な中間色の発光ダイオードも製造されている。
科学の力によって、電灯も変化している。それでも、光は一生なくならないものであるのだから。
つぼみが光の城からけやき通りに戻ってきたころには、イルミネーションの準備が整っていた。
「もう準備万端だね!」
歩いていると、電球で飾りつかられたけやきが光輝きだした。
「とてもきれいに光っているね!イルミネーションが始まると、ようやく冬がやってきたという感じ!」
説明しよう。イルミネーションは、日本ではクリスマスツリーなどの形で広く見られるほか、観光名所としても大規模に展開されることがある。また、個人の民家においてもクリスマスシーズンに向けて、家の周りをきれいな電飾で飾ることが増えてきた。光源には豆電球やムギ球が用いられてきたが、球切れが多いこと、消費電力が多いこと、発熱が樹木に悪影響を及ぼすことなどから、コストの点にやや難点があった。近年、高出力の発光ダイオードが安価になり、耐久性や発熱面、ランニングコストが格段に改善されるようになったことから、発光ダイオードを使用したものが増えている。青色発光ダイオードや白色発光ダイオードの台頭やその圧倒的な表現力により、特に青や白が多用される傾向にある。イルミネーションが多い都市はイルミネーションシティと呼ばれることもある。また、個人家を電飾で飾って楽しむ人をイルミネーターという。またイルミネーションを専門として企画設計する人を、イルミネーションデザイナーと呼ぶ。
イルミネーションに思わずうっとりしているつぼみ。
その時、つぼみの元に一枚の羽が舞い降りてきた。
「これは…どんな種類の羽なのかな?気になるね」
つぼみは、ポケットの中に羽をしまい込んだ。
翌日の朝、つぼみの家にバニラとココアが現れた。
「やあやあ、プリンセスハートの回収は順調に行っているかい?」
「うん。昨日、光の城を解放したよ」
「それはよかった」
つぼみは、バニラとココアに例のことを報告する。
そして、
「この羽は、ペガサスのもの?」
昨日つぼみが通りで手にした羽をバニラとココアに見せる。すると、
「もちろん、ペガサスのものだ。色や形も完全に一致している」
「本当に?よかった!大切にするね」
つぼみは、ペガサスの羽を自分の宝箱に収納した。
そして、バニラとココアがつぼみの家を出ると、
「そろそろ、儀式の日付も決めなくちゃ」
「光の女神に報告しよう」
と、急いでおとぎの世界に帰っていくのであった。




