第32話 消えた星空、チララとコロンの里帰り
「兎追いしかの山」
「小鮒釣りしかの川」
「夢は今もめぐりて」
「忘れがたき故郷」
「如何にいます 父母」
「恙なしや 友がき」
「雨に風につけても」
「思いいずる故郷」
「志を果たして」
「いつの日にか帰らん」
「山は青き故郷」
「水は清き故郷」
チララとコロンは、故郷が恋しい。
「星の城に行きたいよ…」
「パパとママに会いたい…」
そう、チララとコロンの生まれ故郷は星の城なのだ。
すると、つぼみがポートフロンティア学園から帰ってきた。
「大変!夜空に星がなくなっちゃった!」
「これも魔女の仕業なのか?」
「そう!今すぐ海が見える丘へ!」
「分かった!」
つぼみは仲間を呼んで、チララとコロンを連れて海が見える丘に向かう。
「今すぐ中に入ろう!」
「うん!」
つぼみたちが星の城へと通じる穴に入った先には、黒い雲で覆われた世界だった。
「さあ、行くよ!」
「うん!」
つぼみ、沙奈、アリスはプリンセスミラーで、蘭はプリンセスムーンスターで、琴音はエースミュージックポッドで、カレンはミラクルポルテパレットで、ドールプリンセスに変身する。
「カラフル・ワンダー・ユニバース!ドレスアップ!」
虹色の光がカレンを包む。
「虹の光のプリンセス・ミラクルレインボー、見参!」
そして、ミラクルレインボーが、
「ピュアロイヤルメイクドレッサー、ワンダフルチャージ!」
を唱え、ピュアロイヤルメイクドレッサーに向けてミラクルハープアローの矢を放つ。
「友情!」
「勇気!」
「知性!」
「美しさ!」
「プリンセス・ワンダフル・マジカル!ロイヤルドレスアップ!」
金と銀の光がつぼみたちを包む。
「ロイヤルドレス・シャイニングフォーム、ここにて見参!」
「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」
ロイヤルドレスアップされたプリンセスドールズが現れると、アクシアと魔女の姿が現れた。
「ほーれ、鏡の魔女ちゃん、行くでざます!」
しかも、魔女の脳には、固い殻で覆われたコアが埋め込まれている。
「誰か助けてくれ…」
すると、コアの中から声が聞こえてきた。
「みんな、まずはコアを壊そう」
「魔女の浄化はそれからだよ」
プリンセスドールズは、コアに向けて攻撃をする。そうしていくうちに、中から人が出てきた。
「今、助けるからね」
チララが救助したのは、一人の男性だった。
「助けてくれてありがとう。僕の名はタビビト。見ての通りチララとコロンの実の父親だ」
その正体は、チララとコロンの父であるタビビトだった。
「チララ、コロン、魔法を使うんだ」
タビビトは、チララとコロンに指示を出す。
「おひつじ座、おうし座、ふたご座、かに座、しし座、おとめ座…」
説明しよう。おひつじ座は、ギリシャ神話によると、ボイオティア王アタマスの息子プリクソスと双子の妹ヘレが、継母イノの悪巧みによって生贄にされそうになったときに、ゼウスが遣わして二人を乗せて逃げた金の皮を持つ羊だという。妹は羊が走る途中に海に落ちおぼれて死んだ。プリクソスは逃亡先のコルキスでこの羊を生贄に捧げ、皮を当地の王アイエテスに贈った。この羊の皮を手に入れるための冒険がアルゴー号の冒険、アルゴナウタイ神話である。おうし座は、古代オリエントでの、繁栄と富の象徴としての牛信仰に由来するとされる。紀元前4千年紀には「天の牡牛」「アヌの牡牛」と呼ばれるようになった。ギリシャ神話では、ゼウスがニンフのエウローペーに恋をした。ゼウスは誰にも分からぬよう、牡牛に化けてエウローペーに近づいた。ゼウスは正体を明かし、2人はクレタ島に行って子を儲けた。ふたご座は、ギリシャ神話の双子ディオスクーロイが星座になったといわれる。この双子はスパルタ王妃レーダーの息子で、兄のカストールの父はスパルタ王テュンダレオース、弟のポリュデウケースの父は大神ゼウスであったとされる。そのため、ポリュデウケースは不死であった。メッセーネー王アパレウスの双子の息子イーダースとリュンケウスとの争いでカストールが死ぬと、ポリュデウケースはゼウスに二人で不死を分かち合いたいと願った。ゼウスはその願いを受け入れ、二人を天に上げて星座とした。この2つの星は、ギリシャだけではなく、バビロニア、エジプト、フェニキア、日本でも兄弟として扱われている。かに座は、ゼウスの子勇者ヘラクレスは、誤って自分の子を殺した罪を償うため、12の冒険を行うことになった。そのうちの1つがヒュドラーの退治である。化け蟹カルキノスは、最初はヘラクレスとヒュドラの戦いを見ていた。次第に同じ沼に住んでいる友人であるヒュドラが形勢不利になったため、飛び出してヘラクレスの足を挟んだ。しかし、ヘラクレスは振り払い踏みつぶした。一部始終を見ていた女神ヘラは、勇敢なるカルキノスを哀れに思って、天に上げて星にした。なお、別のパターンとして以下のような説もある。ゼウスの妻である女神ヘラは、ゼウスの愛人の子であるヘラクレスを快く思っておらず、巨大な化け蟹を使いに出した。化け蟹ははさみでヘラクレスの脚を切ろうとした。しかし、ヒュドラとの格闘中のヘラクレスは、全く気付かずに化け蟹を踏み潰して殺した。この捨て身の勇気を認められ、化け蟹は天に昇りかに座となった。しし座は、12の冒険を行うことになった勇者ヘラクレスの最初の冒険は、ネメアの谷の化け物ライオンの退治であった。ヘラクレスは最初弓を使ったが利かず、棍棒で叩いたのちに首を絞めて殺した。おとめ座は、古代メソポタミアに由来する。そこでは FurrowとFrondの2つの星座があり、2人の女性が描かれていた。「畝」は隣のしし座の尾と鞭、または麦穂を持ち、「葉」は「エルアの葉」と呼ばれるナツメヤシの葉を持っていた。のちのヨーロッパではこれらが統合され1人の女性になり、それぞれの手に麦穂と葉を持つようになった。
なお古代には南東ヨーロッパに広くライオンが生息していた。
コロンが春と夏の星座を復活すると、
「出でよ、てんびん座、さそり座、いて座、やぎ座、みずがめ座、うお座!」
説明しよう。てんびん座は、ギリシャ神話では、正義と天文の女神アストライアーが手に持っている、正義を計る天秤だとされる。隣にあるおとめ座がアストライアーをかたどったものとする説もある。さそり座は、英雄オリオンの傲慢さに怒った女神ヘラは、さそりを地上に送り、その毒針でオリオンを殺した。この功を讃えられ、さそりは天に昇り星座になった。 一方、殺されたオリオンを憐れんだ女神アルテミスはゼウスに頼み、オリオンも天に上がり星座となった。 ただ今でもオリオンはさそりを恐れて、東の空からさそり座が現れるとオリオン座は西の地平線に逃げ隠れ、さそり座が西の地平線に沈むとオリオン座は安心して東の空へ昇ってくるという。このほかに次のような神話がある。アポロンの息子パエトーンが天をかける太陽の馬車を強引に運転したときに、さそりが馬の足を尻尾の毒針で刺した。そのとたん、馬たちが制御不能になり、天と地を焼きつくしそうになったため雷神ゼウスが馬車に雷を落とし、落ちた先がエリダヌス川であった。中国人は青龍に例えた。この想像上の生物は、強力だが慈悲深く、天に現れることによって春を予告する。星との対応はさそり座のサソリとほぼ同じであり、頭部に房宿、心臓部に心宿、尾部に尾宿の3星宿を置いたが、青龍の二本のツノの一つはうしかい座のアークトゥルス、もう一つはおとめ座のスピカまで延びるとされた。ハワイ神話では、いたずら者のマウイが持っている魔法の釣り針を、さそり座の釣り針に似た形に見ることができるとされた。いて座は、アルテミスから狩猟を学んだケンタウロスであるケイローンが弓を引く姿で親しまれている。ヘラクレスが誤って放った毒矢が当たり、苦痛のためゼウスに死を願って聞き入れられ、彼の死を悼んで天に上げられて星座となったとする話が定説となっている。ヘレニズム期の解釈で語った偽エラトステネスは著書 『カタステリスモイ』において、この星座をケンタウロスと見る多数派とそうでない少数派がいると記している。ケンタウロスではないと主張する人たちの根拠として、ケンタウロス族は弓を使わないこと、星座の下半身が見えないことを挙げ、ケンタウロスではなくサテュロスとしている。偽エラトステネスは、アレキサンドリア派プレヤード詩人のひとりソシテオスの伝える話として、このサテュロスを、弓を発明したクロトスと同定し、ケンタウロス説を否定している。クロトスは、ムーサイの乳母だったエウペーメーの息子である。クロトスがサテュロスなのは、ヒュギーヌスによると、彼の父がパーンであるからだという。彼はしばしば、自分が発明した弓を持ち、馬に乗って狩りに出かけたという。クロトスは、ヘリコン山で共に暮らしたムーサたちの、彼の弓の技量を空で顕彰してほしいとの願いによって、ゼウスに頼んで星座にされたという。やぎ座は、英語では、冬至点をやぎ座の名で呼ぶが、現代の冬至点はいて座にあり、やぎ座にはない。これは、古代バビロニア時代、冬至点がこの星座の中にあった名残だとされる。地球の歳差運動のために、冬至点は年とともに西に移動する。そのため、冬至点がやぎ座にあった時代は、ちょうどバビロニア時代ごろになる。このころに黄道12宮が制定されたため、冬至点をThe Tropic of Capricornと呼ぶようになった。極めて古い星座であることが分かっているもののうちの1つである。みずがめ座は、メソポタミアではアッカドの英雄とエンキが結びついた一杯になった瓶を抱えた姿と共に記述されるグラが原型と考えられている。バビロニア人は定期的に発生する洪水と関連したみずがめ座には、あまり良いイメージを持っていなかった。また、エジプト天文学でも、ナイル川の洪水と関連付けられ、春になって水を汲む為に瓶を川に投げ入れ洪水が起きるとされた。ギリシャ神話の洪水を乗り切ったデウカリオーンとも関連付けされる。ギリシャ神話では、不死の酒ネクタールを給仕するガニュメーデースの持つ水がめであるとされる。星図には、水を流す水がめとそれを持つ男性の姿として描かれ、流れ出した水はみなみのうお座の口に注ぎ込んでいる。うお座は、星図では、紐で結ばれた2匹の魚として描かれる。そのため、ラテン語や英語などの名称は複数形、アラビア語名では al-Samakatānと双数形をとっている。現代中国名でも双魚座と呼ばれる。
チララが秋と冬の星座を復活した。
「さあ、今だ」
「うん」
プリンセスドールズは魔女の浄化に挑む。
ミラクルレインボーは、アレキサンドライトのマジカルストーンをピュアロイヤルメイクドレッサーにセットする。
「ピュアロイヤルメイクドレッサー、ハートフル・スイート・チャージ!」
すると、プリンセスドールズの周りが光輝き、
「暗くて深い 闇の向こうに」
「一人さびしく たたずんでいた」
「だけどもう 怖がらないで」
「それは迷いを 断ち切ったしるし」
「春風に向かって 旅立っていく」
「さあ 夢の扉を開こう」
「輝く未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」
「愛を守るため みんなを守るために」
「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」
「あなたのそばにいる それがプリンセスなんだから」
「砂漠の街に 住んでいても」
「氷で覆われた 場所にいても」
「心はいつだって 一つだから」
「それは つながっているしるし」
「桜が舞う空 勇気を出して」
「さあ 一歩前へと踏み出そう」
「輝く今へと響く みんながつなぐメロディ」
「世界を守るため 宇宙を守るために」
「きらめく夢を目指して 一つになったハーモニー」
「みんなのためにいる それがプリンセスなんだから」
「人はみんなときめいている」
「だから ずっと忘れないで」
「心の輝きを信じて」
「輝く未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」
「愛を守るため みんなを守るために」
「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」
「あなたのそばにいる」
「みんなのためにいる」
「それがプリンセスなんだから」
プリンセスハーモニーを歌い終えた途端、
「ロイヤルドレス・ハートフルフォーム、ここにて見参!」
シャイニングフォームからハートフルフォームにフォームチェンジしたプリンセスドールズが現れた。
「今こそ、みんなの力を一つにするとき」
プリンセスドールズは、ピュアロイヤルメイクドレッサーのタッチペンから変化したマイクを手に取り、ミラクルハープアローをハープ状に構えると、
「プリンセスステージ、ライブスタート!」
ピュアロイヤルメイクドレッサーでロイヤルドレスアップしたプリンセスドールズによる魔女の浄化がはじまった。
「どうして」
「夢の終わりを祈るのは」
「荒れた大地にも」
「光は射すのに」
「白き光と」
「黒い暗闇」
「輝きは世界に」
「満ち溢れるのに」
「間違ったことを終わらせて」
「愛の意味と希望を」
「私に」
「新しい夢を描こう」
「君と一緒に」
「虹色の光を授けて」
「優しく 安らかに」
「生きたいという希望がある」
「さあ」
「心のメロディー」
「最後の歌を今」
「強き者だけの」
「世の中じゃないから」
「Brand New World」
「愛のメッセージ」
「今こそ、力を一つにするとき!プリンセス・ハートフル・シンフォニー!」
プリンセスドールズが反時計回りにぐるぐる回ってフォーメーションを形成して、魔女にマイクを向ける。すると、プリンセスドールズが、
「アンコールはお断り」
と言って、魔女は光でできた立方体に包まれる。その輝きで魔女は消えていった。
「それではまた次回、輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」
プリンセスドールズが勝利宣言をすると、
「プリンセスドールズ、覚えておくでざます!」
アクシアはこう嘆いてどこかへと去っていった。
すると、
「これは…。星のプリンセスハート!紫に輝くプリンセスハートだ!」
チララはプリンセスハートの回収に成功する。
「さあ、今こそ、心の扉を!」
「開け、星の城!」
つぼみとチララが呪文を唱えると、星の城が闇の力から解放された。
すると、星の城のプリンセスが現れた。
「私を助けていただきありがとうございます。プリンセスドールズ、あなたに伝えたいことがあります」
星の城のプリンセスは、つぼみたちにある事実を告げる。
「実は私、チララとコロンの生みの親でございます」
説明しよう。チララとコロンの母親は、星の城のプリンセスである。
「ボクたちは、プリンセスドールズと仲間たちと協力して、すべてのプリンセスハートを集める。そう約束するよ」
「闇の力から世界を救うためにね」
「ありがとうございます。では、頼みましたよ」
チララとコロンは、星のプリンセスにこう誓った。
「さあ、流星群の魔法をかけましょう」
説明しよう。流星は、明るさが強く、昼間でも目視できる流星もまれにある。原因としては流星物質と呼ばれる太陽の周りを公転する小天体が、地球の大気に衝突、突入して発光したものである。流星の元になる小天体は、0.1mm以下のごく小さな宇宙塵から、数cm以上ある小石のようなものまで様々な大きさがある。こうした天体が地球の大気に秒速数kmから数十kmという猛スピードで突入し、上層大気の分子と衝突してプラズマ化したガスが発光する。これが地上から流星として観測される。通常、流星は地上より150kmから100km程度の高さの下部熱圏で光り始め、70kmから50kmの高さの中間圏で消滅する。しかし、元の小天体が特に大きい場合などには、燃え尽きずに隕石として地上に達することがある。なお、見た目に消滅する場合にも流星塵として地球に降り注いでいる。-3等から-4等程度よりも明るい流星は、火球と呼ばれる。中には満月より明るい光を放ち、夜空全体を一瞬閃光のように明るくするものもある。流星を観測する方法としては、流星電波観測、流星眼視観測、流星写真観測、流星TV観測がある。
こうして、星の城のプリンセスによって、夜空に星が戻ってきた。
一方その頃、タビビトは星の城のはずれにある天の川を渡っていた。説明しよう。天の川は、夜空を横切るように存在する雲状の光の帯のことを指す。東アジアの神話では夜空の光の帯を、川と見ている。一方、ギリシャ神話では、これを乳と見ている。それが継承され英語圏でもMilky Wayと言うようになった。この光の帯は天球を一周しており、恒星とともに日周運動を行っている。日本では、夏と冬に天の川が南北に頭の上を越える位置に来る。これをまたいで夏には夏の大三角が、冬には冬の大三角が見える。他の星も天の川の周辺に多いので、夏と冬の夜空はにぎやかになる。現在では「天の川」や「Milky Way」という言葉で、天球上の帯だけでなく、地球を含む星の集団、つまり天の川銀河を指すこともある。
「水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星が連なっている。つまり、水金地火木土天海ということか」
説明しよう。水星は、太陽系の惑星の中では最も小さい。例えば赤道面での直径4,879.4kmは、地球の38%に過ぎない。木星のガニメデと土星のタイタンは、水星よりも大きな衛星である。衛星や環はない。天球上での見かけの明るさは−0.4等から5.5等まで変化する。水星は太陽に非常に近いため、日の出前と日没直後のわずかな時間しか観察できず、時期によっては望遠鏡でも見ることが難しい。これは太陽との最大離角が28.3度に過ぎないためである。アメリカの探査機マリナー10号が初めて水星へ接近し、地表の約40から45%の地図が作られた。撮影された映像から、水星には多数のクレーターがあり、月と非常によく似た環境だと考えられた。依然として分からないことが多い惑星であるが、探査の進展が期待されている。金星は、地球型惑星であり、太陽系内で大きさと平均密度が最も地球に似た惑星であるため、「地球の姉妹惑星」と表現されることがある。また、太陽系の惑星の中で最も真円に近い公転軌道を持っている。地球から見ると、金星は明け方と夕方にのみ観測でき、太陽、月に次いで明るく見える星であることから、明け方に見えるものを「明けの明星」、夕方に見えるものを「宵の明星」という。火星は地球型惑星に分類される、いわゆる硬い岩石の地表を持った惑星である。火星が赤く見えるのは、その表面に地球のような水の海が無く、地表に酸化鉄が大量に含まれているためである。直径は地球の半分ほどで、質量は地球の約 10分の1に過ぎないため、火星の地表での重力の強さは地球の40パーセントほどしかない。火星の表面積は、地球の表面積の約4分の1であるが、これは地球の陸地の面積とほぼ等しい。火星の自転周期は地球のそれと非常に近く、火星の1日は、24時間39分35.244秒である。また、地球と同じように太陽に対して自転軸を傾けたまま公転しているため、火星には季節が存在する。木星は、内側から5番目の公転軌道を周回している第5惑星である。太陽系の中で大きさ、質量ともに最大の惑星である。木星及びそれと同様のガスを主成分とする惑星である土星のことを木星型惑星と呼ぶ。かつては天王星、海王星も木星型惑星に含まれていたが、現在ではこれらの二惑星は天王星型惑星に分類されている。木星は古代から知られ観測されてきた。そして多くの文明で神話や信仰の対象となった。英語Jupiterは古代ローマ神話の神ユーピテルを語源とする。土星は、巨大ガス惑星に属する土星の平均半径は地球の約9倍に当る。平均密度は地球の1/8に過ぎないため、巨大な体積のわりに、質量は地球の95倍程度である。そのため、木星型惑星の一種と分類されている。土星の内部には鉄やニッケル及びシリコンと酸素の化合物である岩石から成る中心核があり、そのまわりを金属水素が厚く覆っていると考えられ、中間層には液体の水素とヘリウムが、その外側はガスが取り巻いている。惑星表面は、最上部にあるアンモニアの結晶に由来する白や黄色の縞が見られる。金属水素層で生じる電流が作り出す土星の固有磁場は地球磁場よりも若干弱く、木星磁場の1/12程度である。外側の大気は変化が少なく色彩の差異も無いが、長く持続する特徴が現れる事もある。風速は木星を上回る1800km/hに達するが、海王星程ではない。土星は恒常的な環を持ち、9つが主要なリング状、3つが不定的な円弧である。これらはほとんどが氷の小片であり、岩石のデブリや宇宙塵も含まれる。知られている限り82個の衛星を持ち、うち53個には固有名詞がついている。これにはリングの中に存在する何百という小衛星は含まれない。タイタンは土星最大で太陽系全体でも2番目に大きな衛星であり、水星よりも大きく、衛星としては太陽系でただひとつ有意な大気を纏っている。日本語で当該太陽系第六惑星を「土星」と呼ぶ由来は、古代中国において五惑星が五行説に当てはめて考えられた際、この星に土徳が配当されたからである。英語名サターンはローマ神話の農耕神サートゥルヌスに由来する。天王星は、最大等級+5.6等のため、地球最接近時は肉眼で見えることもある。のちにハーシェル以前に恒星として20回以上の観測記録があることが判明した。海王星は、肉眼で観望することは出来ず、太陽系において唯一、経験的観測でなく数学的予測によって発見された惑星である。フランスの天文学者アレクシス・ブヴァールは、天王星の軌道の予期せぬ変化から、天王星の軌道が未知の惑星の重力による摂動のために生じているという推論を導いた。その後、ユルバン・ルヴェリエによって予測された範囲内の位置で1846年9月23日にヨハン・ゴットフリート・ガレが望遠鏡を用いて発見した。海王星の衛星では最大のトリトンは、その後間もなく発見された。現在では他に13個の衛星が知られているものの、地球から海王星までの距離が大きく地上からの観測が困難なため、それらの存在が明らかとなったのは20世紀以降のことである。1989年8月25日、宇宙探査機ボイジャー2号が海王星を訪れ、フライバイを行った。ハッブル宇宙望遠鏡や補償光学機能を備えた大型の地上望遠鏡の登場によって、近年は遠方からの更なる観測が可能になっている。水やメタン、アンモニアなどの「氷」の割合は大きいものの、木星や土星と同様に海王星の大気は主に水素やヘリウム、そして微量の炭化水素と窒素で構成されている。しかし、天王星と同様にその内部は氷と岩石で構成されている。そのため通常は、天王星と海王星は木星、土星との違いを強調して天王星型惑星とみなされる。海王星の青い外観は、最も外側の領域に存在している微量のメタンによって作り出されているとされている。霞んだ、比較的特徴を欠いている天王星の大気とは対照的に、海王星の大気は活発で、明確な変化が見られる気候を持つ。例えば、1989年にボイジャー2号がフライバイを行った時点では、南半球に木星の大赤斑に類似した大暗斑と呼ばれる模様が存在していた。これらの気象パターンは、太陽系のどの惑星よりも強い持続的な風によって引き起こされ、観測された風速は2100 km/hにもなる。太陽からの距離が遠いため、海王星の外側の大気は太陽系で最も温度の低い場所の1つで、雲頂での温度は55 Kに近いのに対して、惑星の中心部の温度は約5400 Kになっていると考えられている。海王星は微かで断片的な環を持っている。この環は1984年に発見され、後にボイジャー2号の観測でも確認された。
これらをまとめて、太陽系と呼ばれる。太陽系とは、主に、現在確認されている8個の惑星、5個の準惑星、それらを公転する衛星、そして多数の太陽系小天体などからなる。間接的に太陽を公転している天体のうち衛星2つは、惑星ではもっとも小さい水星よりも直径が大きい。太陽系は約46億年前、星間分子雲の重力崩壊によって形成されたとされている。総質量のうち、ほとんどは太陽が占めており、残りの質量も大部分は木星が占めている。内側を公転している小型な水星・金星・地球・火星は、おもに岩石からなる地球型惑星で、木星と土星は、おもに水素とヘリウムからなる木星型惑星で、天王星と海王星は、メタンやアンモニア、氷などの揮発性物質といった、水素やヘリウムよりも融点の高い物質からなる天王星型惑星である。8個の惑星はほぼ同一平面上にあり、この平面を黄道面と呼ぶ。他にも、太陽系には多数の小天体を含んでいる。火星と木星の間にある小惑星帯は、地球型惑星と同様に岩石や金属などから構成されている小天体が多い。それに対して、海王星の軌道の外側に広がる、主に氷からなる太陽系外縁天体が密集している、エッジワース・カイパーベルトや散乱円盤天体がある。そして、そのさらに外側にはセドノイドと呼ばれる、新たな小惑星の集団も発見されてきている。これらの小天体のうち、数十個から数千個は自身の重力で、球体の形状をしているものもある。そのような天体は準惑星に分類されることがある。現在、準惑星には小惑星帯のケレスと、太陽系外縁天体の冥王星、ハウメア、マケマケ、エリスが分類されている。これらの2つの分類以外にも、彗星、ケンタウルス族、惑星間塵など、さまざまな小天体が太陽系内を往来している。惑星のうち6個が、準惑星では4個が自然に形成された衛星を持っており、慣用的に「月」と表現されることがある。木星以遠の惑星には、周囲を公転する小天体からなる環を持っている。太陽から外部に向かって放出されている太陽風は、太陽圏と呼ばれる星間物質中に泡状の構造を形成している。境界であるヘリオポーズでは太陽風による圧力と星間物質による圧力が釣り合っている。長周期彗星の源と考えられているオールトの雲は太陽圏の1,000倍離れた位置にあるとされている。銀河系の中心から約26,000光年離れており、オリオン腕に位置している。
すると、プリズムパレスからやってきたバニラとココアがタビビトの目の前に現れた。
「やあやあ、プリンセスハートは順調に集まっているかい?」
「プリンセスドールズからの話によると、すでに5つ回収したと聞いている。花の城、水の城、木の城、雷の城、そしてここ、星の城だ」
「ほう、それはそれでよかった。実はね、残っているプリンセスハートは11個あるんだよ。知らなかったの?」
「そう…」
バニラとココアは、タビビトに衝撃の事実を告げた。
すると、冥王星が見えてきた。説明しよう。冥王星は、太陽系外縁天体内のサブグループの代表例とされる、準惑星に区分される天体である。1930年にクライド・トンボーによって発見され、2006年までは太陽系第9惑星とされていた。離心率が大きな楕円形の軌道を持ち、黄道面から大きく傾いている。直径は2,370キロであり、地球の衛星である月の直径よりも小さい。冥王星の最大の衛星カロンは直径が冥王星の半分以上あり、それを理由に二重天体とみなされることもある。
「幻の惑星、冥王星だ」
「小さくはかなく感じるよ」
タビビトは、バニラとココアとともに冥王星を見つめていたのであった。




