第15話 カレンとプラチナのプレゼント
ある日、カレンはファンシーな雰囲気がする建物を訪れている。
「いらっしゃいませ」
そこには、いろいろなおもちゃが売られている。そう、ここはつぼみとチララが初めて出会った場所なのだ。
「わー、可愛いぬいぐるみがいっぱい！」
カレンが行きついたのは、ぬいぐるみ売り場。
「お兄ちゃんにあげるプレゼント、どれにしようかな…」
今日は、プラチナの誕生日。そのプレゼントを買うために、カレンはおつかいへ行くことになった。
その頃、デルタもおもちゃ屋さんに潜入している。
「ここで俺の正体がばれちまうと、ミッションは即失敗となってしまう。さあ、開始！」
人間に気付かれぬようにデルタがぬいぐるみのふりをしていると、カレンに見つかってしまう。
「誰だ？」
「カレンだよ」
「あ、あいつめ…」
「か、可愛い！」
「に、逃げるぞ！」
びっくりしたデルタは、その場から去っていった。
しかし、何かを思いつく。
「よし、ぬいぐるみを何かに生かそうじゃないか！」
デルタは早速、魔獣の生成に取り掛かる。
「どれにしようかな…。迷っちゃうよ」
まだカレンがプレゼント選び中の中、突然大きなぬいぐるみが出てきた。
「あ、魔獣だ！」
「その通りだぜ！」
おもちゃ屋さんの外に出たカレンが見たのは、デルタと魔獣だった。
「待たせたな！では、本日の魔獣はこちら！じゃじゃーん！ぬいぐるみの魔獣だ！」
デルタの合図で、クマのぬいぐるみをイメージしたぬいぐるみの魔獣が現れた。
「行くよ！」
カレンはミラクルポルテパレットでドールプリンセスに変身する。
「カラフル・ワンダー・ユニバース！ドレスアップ！」
虹色の光がカレンを包む。
「虹の光のプリンセス・ミラクルレインボー、見参！プリンセスステージ、レッツスタート！」
ミラクルレインボーが現れると、
「ある日 森の中」
「クマさんに 出会った」
「花咲く 森の道」
「クマさんに 出会った」
「クマさんの いうことにゃ」
「お嬢さん お逃げなさい」
「スタコラ サッササノサ
「スタコラ サッササノサ」
「ところが クマさんが」
「あとから ついてくる」
「トコトコ トコトコと」
「トコトコ トコトコと」
「お嬢さん お待ちなさい」
「ちょっと 落とし物」
「白い 貝がらの」
「小さな イヤリング」
「あら クマさん ありがとう」
「お礼に 歌いましょう」
「ラララ ラララララ」
「ラララ ラララララ」
魔獣が「森のくまさん」のメロディーに乗せて、手下だと思われる小さいぬいぐるみが現れた。
その時だった。突然、チャミィが何かを持ってきてミラクルレインボーの元へ現れた。
「ぶんぶんぶん はちが 飛ぶ」
「お池の 周りに」
「野ばらが 咲いたよ」
「ぶんぶんぶん はちが 飛ぶ」
「ぶんぶんぶん はちが 飛ぶ」
「朝露 きらきら」
「野ばらが 揺れるよ」
「ぶんぶんぶん はちが 飛ぶ」
正体は、はちみつだった。
「これで、魔獣が攻撃することはもうないだろう。今がチャンスだ」
「うん！」
魔獣がはちみつを食べている隙をついて、ミラクルレインボーが浄化に挑む。
「見ててね」
ミラクルレインボーはミラクルハープアローを構えると、
「プリンセスステージ、ライブスタート！」
ミラクルレインボーによる魔獣の浄化が始まった。
「Dash! Dash! Jumpingしよう！」
「心に翼がある」
「その先は」
「未来」
「Boys & Girls Don’t Think Feel!」
「ウインクだけはなぜか」
「うまくできない」
「笑顔のまま 毎日を」
「過ごしてる」
「選挙の日などはなんか」
「出かけたくなる」
「正午まで数えると」
「眠ってしまう」
「抱きしめて」
「悲しくなったときは」
「抱きしめて」
「今は」
「もう大丈夫だよ」
「Yeah! Yeah! Lucky Every Day!」
「無限の可能性」
「みんなみんな」
「同じ」
「ひとりぼっちじゃない」
「Dash! Dash! Jumpingしよう！」
「心に翼がある」
「その先は」
「未来」
「Boys & Girls Don’t Think Feel!」
「好きな人といると」
「とても幸せ」
「もし魔法を使えるなら」
「時間止めたい」
「抱きしめて」
「友達同士だから」
「抱きしめて」
「もしも」
「さみしいなら」
「Yeah! Yeah! Lucky Every Day!」
「無限の可能性」
「空はいつも青く」
「晴れ渡るから」
「Dash! Dash! Jumpingしよう！」
「心の翼広げたら」
「指切りの儀式」
「Boys & Girls Don’t Think Feel!」
「Dash! Dash! Jumpingしよう！」
「心に翼がある」
「その先は」
「未来」
「Boys & Girls Don’t Think Feel!」
「Yeah! Yeah! Lucky Every Day!」
「無限の可能性」
「空はいつも青く」
「晴れ渡るから」
「Dash! Dash! Jumpingしよう！」
「心の翼広げたら」
「指切りの儀式」
「Boys & Girls Don’t Think Feel!」
「乙女の希望！レインボー・スペクタクル・ファンタジー！」
ミラクルハープアローの形状がハープから弓へと変わり、ミラクルレインボーはターゲットに向けて矢を放つ。すると、魔獣は跡形もなく消えていった。
「ちゃ、ちゃ、ちゃみぃー！」
とチャミィはマジカルストーンの気配を察知した。マジカルストーンが落ちていく方に行くと、
「キャッチ！」
とチャミィがマジカルストーンを回収することに成功した。それをミラクルポルテパレットに認識して、
「シェル。貝殻でできたマジカルストーンだ」
「それではまた次回、輝く世界でお会いしましょう！プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ！」
ミラクルレインボーが勝利宣言する一方で、
「覚えとけよ！」
デルタはこう嘆いて、どこかへと去っていった。
夕暮れ時、プラチナの家ではプラチナの誕生日パーティーに向けて着々と準備を進めていた。
「王子さまはどんな表情をするのかな？楽しみだね」
「お兄ちゃん、きっと喜んでくれると思うよ」
つぼみたちがプラチナの帰りを待っていると、
「あっ、来た！」
「ただいま」
「おかえり」
「待ってたよ！」
プラチナが帰ってきて、誕生日パーティーの幕が上がる。
「Happy birthday to you,」
「Happy birthday to you,」
「Happy birthday, dear 王子さま」
「Happy birthday to you.」
「お誕生日おめでとう」
「みんな、ありがとう」
プラチナは、つぼみたちから祝福された。
「バスク風チーズケーキ、私が作ってきたよ。ベイクドチーズケーキでもレアチーズケーキでもない全く新しいチーズケーキを食べてみて」
「私は、ピンクのカーネーションを持ってきました。赤いカーネーションと白いカーネーションを交配してできたものなんですよ」
説明しよう。バスクとは、バスク人とバスク語の歴史的な故国を指す概念である。ピレネー山脈の両麓に位置してビスケー湾に面し、フランスとスペインの両国にまたがっている。
スペイン側にはバスク州の3県とナバーラ州の計4領域があり、フランス側にはフランス領バスクの3領域がある。バスク・ナショナリズム運動の中で「サスピアク・バット」というスローガンが掲げられ、7領域からなるバスク地方の地理的範囲が示された。バスク地方全体の旗としてイクリニャが、バスク地方のシンボルとしてラウブルがある。次々とつぼみたちからのサプライズを受けるプラチナ。すると、カレンが誕生日プレゼントを持ってきた。
「これ、私からのプレゼントだよ」
プラチナがプレゼントの袋を開けてみると、
「真っ白なテディベア！これ、本当に僕のでいいのか？」
「もちろん！」
「ありがとう。ずっと大切にするからね」
「サプライズは大成功！」
選挙権を取得できる年齢の十八歳になったプラチナは、誕生日にカレンからの愛を感じるのであった。
一方その頃、2120年のロシア連邦に、ネメシス財団専用のプライベートジェットでオメガが現れた。説明しよう。ロシア連邦とは、地理的にロシアの国境は、北西から南東へ、ノルウェー、フィンランド、エストニア、ラトビア、リトアニア及びポーランド、ベラルーシ、ウクライナ、ジョージア、アゼルバイジャン、カザフスタン、中華人民共和国、モンゴル国、朝鮮民主主義人民共和国と接する。海上境界線としては、日本とはオホーツク海・宗谷海峡・根室海峡・珸瑤瑁水道、アメリカ合衆国とはベーリング海峡でアラスカ州と接する。ロシアの面積は1,707万5,400km2で世界最大であり、地球上の居住地域の8分の1を占める。2012年時点で、ロシアの人口は1億4,300万人で世界第9位である。国土は北アジア全体および東ヨーロッパの大部分に広がることに伴い、ロシアは11の標準時を有し、広範な環境及び地形を包含する。ロシアの歴史は、3世紀から8世紀までの間にヨーロッパで認識され始めた東スラブ人の歴史に始まる。9世紀、ヴァリャーグの戦士の精鋭及びその子孫により設立・統治され、キエフ大公国の中世国家が誕生した。988年、東ローマ帝国から正教会を導入し、次の千年紀のロシア文化を特徴づける東ローマ帝国及びスラブ人の文化の統合が始まった。キエフ大公国は最終的には多くの国に分裂し、キエフ大公国の領土の大部分はモンゴルに制圧され、遊牧国家ジョチ・ウルスの属国になった。モスクワ大公国は次第に周辺のロシアの公国を再統合し、ジョチ・ウルスからの独立を獲得し、キエフ大公国の文化的・政治的な遺産を支配するようになった。18世紀までにモスクワ大公国は、王朝による征服・併合、シェレホフ提督による探検を通じ、史上第3位の大帝国であるロシア帝国となり、版図がポーランドから北米のアラスカまで広がった。しかし、帝国は国土に見合う開発資金を国内で捻出することができなかった。サンクトペテルブルクの貿易為替銀行にドイツ銀行を参加させたが、露仏同盟を結んで以来、国際金融市場から外資がなだれ込むようになった。ロシア革命後、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国がソビエト連邦最大かつ指導的な構成国となった。世界初の憲法上の社会主義国及び広く認められた超大国となり、第二次世界大戦において連合国の勝利に決定的な役割を果たした。ソビエト時代には、世界初の人工衛星および世界初の有人宇宙飛行を含む20世紀のもっとも重要な複数の技術的偉業を経験した。1991年のソ連崩壊後、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国は自らをロシア連邦として再構成し、連邦国家の継続的な法人格として認識されている。ソ連政府は国民にあまねく賃貸住宅を配分していたが、それらを建設するだけで巨額の財政負担となっており、財政再建中のロシア連邦がリフォームすることなど叶わず、無償で住民が物件を取得できるようにしてしまい急激な私有化を進めた。私有化されていないものは地方自治体への譲渡が進み、人口減少社会となるなか、若者向けに低家賃で貸し出されている。1996年11月、ロシアは第一回だけで10億ドルのユーロ債を起債した。それまでの累積ユーロ債発行額は160億ドルほどに達した。1997年、第1回サンクトペテルブルク国際経済会議が開かれた。1998年、ロシア財政危機が発生した。
「ここが、世界で一番広い国・ロシア連邦か…。まだソビエト連邦の名残がある」
説明しよう。ソビエト連邦は、ロシア帝国を倒した1917年のロシア革命を起源とする。ロシア社会民主労働党の多数派であるボリシェヴィキは、臨時政府を転覆させ、ロシア社会主義連邦ソビエト共和国を設立した。この十月革命を皮切りに、革命派の赤軍と反革命派の白軍との間にロシア内戦が始まった。赤軍は複数の旧ロシア帝国領に侵攻し、名目上労働者及び小作農の代表として振る舞ったソビエトを通じ、現地の共産主義者の権力掌握を支援した。1922年、共産主義者が勝利し、ロシア、ザカフカース、ウクライナ、白ロシアなどの各共和国を統合し、ソビエト連邦を形成した。1924年にウラジーミル・レーニンが死去、トロイカの集団指導や短期間の権力闘争が起こった。その後、1920年代中頃にヨシフ・スターリンが政権を握った。スターリンは自らに対する政治的敵対勢力を抑圧し、自らが創造したマルクス・レーニン主義を国家イデオロギーとし、計画経済を中心に始めた。結果として、同国は急速な工業化および集団農場化の期間を経験した。スターリンは世界革命を目指したレーニンの方針を転換し、秘密警察と密告を活用した大規模で恣意的な逮捕を導入した。当局は、軍事指導者、共産党員、一般市民のような大勢の人を矯正労働収容所へと移送、または死刑を科した。ネップで氾濫した政府紙幣をゴスバンクの兌換銀行券で駆逐したが、兌換銀行券を導入した一人であるグリゴリー・ソコリニコフも大粛清の犠牲者となった。1929年、貯蓄事務局という国民的金融機関が大蔵省の管轄となった。国民の預金額と五ヵ年計画は相互に補完する関係となった。第二次世界大戦勃発前、国家社会主義ドイツ労働者党のアドルフ・ヒトラー率いるドイツ国に対してイギリスとフランスがソビエト連邦との同盟を拒否すると、ソ連はドイツとの独ソ不可侵条約に署名した。同条約は両国間に束の間の蜜月をもたらし、多くの人々を驚愕させたが、1941年にドイツ軍に侵攻され、ウクライナの綿作利権を争い独ソ戦が開戦された。ソ連は勝利してすぐ自然改造計画による増産を実行した。一方、スターリングラードのような激戦での枢軸国に対する優勢確保のための犠牲において、ソ連の戦争死傷者数は同大戦の最大割合を占めた。最終的には、1945年にソ連軍は東ヨーロッパのドイツ軍を破り、ベルリンを占領した。ソ連は中央及び東ヨーロッパにおけるドイツ軍に制圧された領土を占領し、同領土は東側諸国の衛星国になってヨーロッパに鉄のカーテンを築いた。また1945年8月には日ソ中立条約を破り日本に対して攻撃を開始し、日本軍に制圧されていた中国東北部と内モンゴル、北方領土や朝鮮半島北部を占領し、アジアに竹のカーテンを築いた。第二次世界大戦ではともに戦ったものの、アメリカ合衆国やイギリスなどの西側諸国とのイデオロギー及び戦後処理をめぐる政治的意見の相違により、経済及び軍事協定の形成に至り、最終的に核戦争と隣り合わせの冷戦へと発展した。1953年のスターリン死後、東側諸国のユーロダラーが英仏のような西側諸国で運用されるようになった。ニキータ・フルシチョフ政権の下、「非スターリン化」として知られる穏健な社会的および経済的自由化が生じたのである。その後、ソ連は20世紀の重要な技術的偉業を成し続け、史上初の人工衛星打上げ及び、世界初の有人宇宙飛行を行い、宇宙開発競争をもたらした。1962年のキューバ危機は米ソ両超大国間で極度に緊張した期間であり、核戦争寸前だと考えられた。1970年代、緊張緩和が生じたが、1979年の新たな社会主義政府の要請により、ソ連がアフガニスタンで軍事支援を始めた際に緊張は再度生じた。同軍事作戦は軍備拡張競争とともに経済資源を消耗させ、有意義な政治的結果を成し遂げられずに長引いた。以前のロシア・ソビエト連邦社会主義共和国であるロシア連邦は、ソビエト連邦の権利および義務を引き継ぎ、同国の継続する各種条約・法律上の国家として認識されている。ユーロ債による対外債務はロシア財政危機のリスケジュールで一層ロシア経済を圧迫するようになった。やがて、ロシアはソ連崩壊から25年を経て旧体制から引き継いだ対外債務をようやく完済する見込みとなった。債務の大半は1985-91年に生じていた。オメガがロシア連邦にやってきた理由。それは、イノセントワールド化しているか否かを一目で確かめるためだ。
「では、移動しよう」
オメガは、タクシーを手配して、首都・モスクワを視察する。
そこは、街中が黒い茨で覆われ、空が灰色の雲に包まれている。
「ブラジェンヌイ大聖堂、赤の広場も支配しており、ロシアのイノセントワールド化は大成功したと言っても過言ではない。しかも、マトリョーシカまで真っ黒に染まっている。つめり、計画は思い通りに進んでいるようだ」
喜ぶオメガだったが、突然白いクマが現れる。
「何か、用でもあるのか？」
オメガが白いクマにこう尋ねると、白いクマは思わず一筋の涙を流した。
「どれ…。『輝きを絶やさないでほしい。それは生きていくために大切なものだから』と言っている。頭にきてしまった、これに…」
オメガはこのメッセージに憤りを感じた。そう、この白いクマの正体は、プラチナのクマのぬいぐるみとほぼ同一であるのであった。
「さあ、行こうか」
オメガはこう言い残して、次の目的地に飛び立っていった。
