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全力女王!~気高き幼女は死神に見捨てられたのか?~  作者: XI


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第514話 サービス・デイ。

       ◆◆◆


 所定の位置で片膝をついてみせたヨシュアは、スフィーダのゆるしを得て立ち上がった。


「例のPМCの一件ですが」

「おぉっ。結果が出たのか? シュンレイ・コンスじゃったか」

「殲滅できませんでした」

「へっ、そうなのか?」

「とある地域にて待ったなしの状況まで追い詰めたようなのですが、最後の最後で、迂闊にも、数名に移送法陣を使って逃げられたと。ヴァレリア大尉からの報告です」


 スフィーダは考え込むようにして、右手を顎にやった。


「フォトンとヴァレリアでうまくできなかったということは、誰にもうまくできなかったということではないのか?」

「その通りでございます。陛下。そちらに伺っても?」

「今さら阿呆を抜かすな。わしの隣がおまえの絶対的な定位置じゃ」

「では、失礼いたします」


 ヨシュアは歩み、スフィーダの左隣に立ち、くるりと身を翻すと前を向いた。


「厄介だとまでは言いませんが、シュンレイ・コンス、少々、手ごわいかもしれません」

「当該組織がグスタフにルーツを持つというのは、本当なのか?」

「そう考えています」

「しかし、グスタフはもはや亡国と言ってよいはずじゃ。ビーンシィとハインドが鎮めるために介入しておるのじゃろう? 我がプサルムだって支援しておるのじゃろう?」


 肩をすくめてみせたヨシュア。


「だからこそ投げやりになり、やけっぱちになり、我が国を乱そうという者はいるんです。宿命です。それはわかり切っていることです。だからこそ、被害は最小限としなければならない」

「ヨシュアよ、本当にいつでも言ってくれ。わしは国のためなら死する覚悟じゃ」

「ニンゲンの相手はニンゲンがいたします。何度言わせるのですか」

「それは、わかっているのじゃが……」


 美しすぎる銀色の髪、その長い前髪を掻き上げたヨシュア。

 ついでにとでも言わんばかりに、左目の片眼鏡を押し上げた。


「問題なく()れるということか?」

「次に我が国の領土を侵したときが、連中の最期になります」


 ヨシュアの言葉には遊びの部分がまるでなく、重々しく、なにより説得力がある。


 それにしても……。


「フォトンを遊ばせておくのはなんじゃが、それでものぅ……」

「気が気ではありませんか?」

「悪いか?」

「望みさえすれば世界を破壊することができる存在、すなわち、ダイン。我々と彼との戦いは、そう遠くない未来に必ず訪れます」

「そうなったら、わしが出るぞ。奴だって人外なのじゃからの」


 ヨシュアにぐしぐしと頭を撫でられてしまった。


「陛下はとっておきでございますよ」

「ずっととっておかれても困るのじゃ」


 スフィーダは苦笑した。


「じゃが、そうもいかんか。わしにはヒトを見守るという大事な仕事があるからのぅ……」


 ヨシュアが唐突に、「陛下、お立ちください」と言ってきて。


「んむ? なんじゃ?」

「立ってくださいませ」

「玉座の上でも、よいか?」

「お好きなように」

「じゃったら立つが、ひゃぁっ」


 いきなりお姫様抱っこをされてしまったので、それはもう驚いた。


「ヨ、ヨシュアよ、侍女らが見ておるぞ」

「本日はサービス・デイでございます」


 ヨシュアはスフィーダのことを横抱きにしたまま、駒みたいにくるくると回転したのだった。


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