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全力女王!~気高き幼女は死神に見捨てられたのか?~  作者: XI


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第166話 結成、遊撃隊。

       ◆◆◆


 今日は黒いロングドレスである。

 ヒールの色も黒。

 黒髪もアップに結ってみた。


 私室から出る。

 ヨシュアはいつも通り、すでに玉座のかたわらに立っていた。


 ヒトの気配くらいは余裕で察知するヨシュアである。

 振り返り、「陛下、おはようございますと」言い、深々とお辞儀をした。

 そして、顔を上げてから、彼は「おや?」と目を丸くしたのだった。


「これはまた、本日の陛下はセクシーでございますね」


 スフィーダは「ふはははは」と笑う。

 続いて「そうであろう、そうであろう」と自慢げに発しつつ、胸を張った。


「しかし、特別な予定は入っておりませんが?」

「わかっておる。ブラック・スフィーダも売り出していこうという話じゃ」

「ブラック・スフィーダでございますか。なるほど。殺し屋のように美しくあらせられます」

「ん、んん? 殺し屋のように美しい? なんだかアクロバティックな褒め方じゃな」


 そんな感じで始まった一日。

 やはり黒いスフィーダの認知度はまだまだ低いらしく、謁見者は彼女のことを珍しそうに見た。

 かわいいですねと言う者もいれば、お綺麗ですと述べた者もいた。

 褒められて悪い気などするはずもなく、だからご機嫌で仕事を終えたのだった。




       ◆◆◆


 ディナーの時間。


 アップの髪を解いてから、椅子に座った。

 すると、向かいの席に腰を下ろしたヨシュアに言われた。


「やはり、最近の陛下は色っぽくなられたように感じます」

「ふはははは。二千年以上生きてきて、ようやくわしにも色気が宿ったか」

「そのお姿の肖像画を量産すれば、世の男らはみなはあはあし――」

「や、やめよ、ヨシュア。はあはあはやめよ」

「そうでした。これからディナーでしたね」

「いや。やめよ。食事中以外でも下ネタはやめよ」

「フォトンの話をしましょう」

「お、おまえはいつもすぐに話題を変えるのじゃな」


 ヨシュアは目を閉じ、唇を優雅に緩めたのである。

 一般的なおなが見たら、多分、狂って死ぬ。


「厳密には、彼の部隊のことについてです」

「先の魔物との戦役にて、フォトンとヴァレリアを除いた全員が戦死してしまったのじゃったな」

「はい」

「今はどういった段階なのじゃ? ヒトを募っておるのか?」

「そうです。厳しく吟味しているところだそうでございます」

「部隊に迎え入れるか否かは、フォトンに一任しておるのか?」

「フォトンと、あとヴァレリア大尉に任せています。本音を言うと急がせたいところですが、こればかりはそうもいきません」

「ま、そうじゃろうの」


 当然のことだ。

 フォトンとヴァレリアに買われるような兵でなければ意味がないし、役割を果たすこともできないだろうから。



「彼の部隊が再編成された折には、どこか特定の場所に配置することはしないでおこうと考えています」

「ん? どういうことじゃ?」

「遊撃隊として機能してもらいます」

「むっ。それは名案やもしれんの」

「ピンチの際にはフォトンありでございます」

「じゃが、退屈せんかのぅ」

「フォトンがですか?」

「うむ。奴は根っからの戦士じゃからな。暇をするのは嫌じゃろう」

「ですが、彼に育成に加わってもらえれば、戦力を底上げできます」

「この先のことを考えると、そうした役割を担ってもらったほうがよいということか」

「さようでございます」

「はてさて、次はどの事案に火がついてしまうのやら」

「なにもなければ、最もハッピーなのですが」

「ハッピー?」


 ヨシュアは「ハッピーですよ」と歌うように言った。




       ◆◆◆


 数日後の日中。


 フォトンとヴァレリアが玉座の間を訪れた。

 二人は片膝をつき、こうべを垂れると、顔を上げた。


「大尉、隊の編成、その進捗具合はいかがですか?」

「おおむね、かたちは整いました」

「それはよい知らせです」

「主に剣を取る者は少佐が、魔法使いについては、僭越ながら、私が選抜いたしました。すると、隊員の内訳は非常にわかりやすいものとなりました」

「どうなったんですか?」

「剣士は男ばかり、魔法使いは全員が女です」

「大胆な採用ですね」

「いえ。なにより現在の力量と伸びしろを優先した結果でございますから、現実的な編成と言えます」

「以前のフォトン・メルドー隊を超越してほしいと考えています」

「筋肉質な組織にしていくのは、まだこれからです」

「完成を楽しみにしています」

「ありがとうございます」


 スフィーダはフォトンに目を向け、「おまえからはなにもないのか?」と訊いた。

 深く頷いてみせた彼である。

 伝達事項はないらしい。


「相変わらず、愛想なしじゃのぅ」


 苦笑を浮かべたスフィーダ。


「遊撃隊、わしも期待しておるからの?」


 フォトンとヴァレリアは立ち上がり、揃ってビシッと敬礼した。

 匂い立つのは凛々しさと清廉さ、漂っているのはやる気と勇猛さである。


 本当に、頼もしさを感じさせてくれる二人だ。

 プサルム最強の部隊。

 その名はやはり、彼らにこそふさわしい。


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