憑依覚醒! 変身! ギャルモード!
8/13 【変身】のスキル効果、及び性癖力に関する項目を追記しました! ルナのステータスに関する項目を追加しました。
3/31 性癖力に関する修正をしました
森中にこだまする私とブーの声。
力を込めて拳を握り、歯を食いしばる。奥歯がギリギリと音を立てる。
互いに相手を殴るべく、一歩踏み出す。出した左脚に体重がかかり、太腿にのしかかる負荷。
「はぁああああ!!!!」
「うりゃぁあああ!!!」
私とブーは同時に殴りこむ。
と見せかけて、私は向こうの拳の先に胸を突き出す。
ブーのパンチが胸にヒットする。
肌の表面には血管が浮き出、汗が光る。太く、固く、引き締まっている、立派な筋肉を付けた彼の腕。
その腕を陽彩のたわわなおっぱいがバインと弾く。
弾かれ、完全に無防備になった彼の腹に向けて、腕を思い切り振りぬく。
殴った感触はとてつもなく堅かった。岩でも殴ったかのように、固く、ビクともしない。拳が物凄く痛む。
「極限まで磨き上げた筋肉は鋼鉄の鎧にも匹敵する。そんなチンケなパンチじゃビクともしない!」
驚いている暇もなく、頬と腹を続けざまに殴られる。
「かっ……」
肺の空気が無理やり押しだされて声が漏れ、だらしなく空いた口から涎が垂れる。
うっぐ……。
【ブレザー】の【性癖】でダメージを軽減しても、こんなに痛いのか……。気持ち悪い、吐きそう……。
でも、立たなきゃ。立ってアイツを……!
目の前には、ブーが腕を振り上げ立っていた。
また攻撃が来る。ワンパターンで代わり映えのない攻撃が。
しかし、私は彼の構えに違和感を感じた。振り上げた拳が開いている。そしてその手は、ほのかに黄色ともオレンジともいえない色に光っている気がする。
何かが違う。どっかで見たような、あの感じ。
でも、まあいい。胸を張れ。胸を張りさえすれば、攻撃を弾ける。
「うらぁ!!」
攻撃がくる。
それに胸を合わせて腕を弾き、生じた隙に反撃を叩きこむ――はずだった。
「なっ!?」
私は、おっぱいを掴まれた。
確かにタイミングはバッチリ合っていたはず。なのにどうして!
ブーのゴツゴツとした大きな手が陽彩の胸をブレザー越しに鷲掴み、張りのある胸に指が食い込んでゆく。柔らかな胸に強く深く。力の加減も知らないで。
「どうだ? 胸を揉まれると感じるだろ?」
痛い、痛い、痛い、痛い!!!! そんな優しさの欠片ない、握り潰すようなのが気持ちいいわけねーだろ!!!!
「痛っ! ど、どうして……弾けない!」
「【手フェチ】はなぁ、手を用いた攻撃の威力が上がる。そして、弾かれずに相手を掴めるんだよ!」
何だって!? パリィ無効!? ってことは……!
「だから言ったろう。そんなマイナー戦略は強スキルに潰されるんだよ!!」
「うわっ!!!」
私は胸を掴まれたまま振り回され、ぶん投げられる。雑に放られた私は落ち葉まみれだし、顔も泥だらけ。
掴まれていた左胸がヒリヒリと痛む。
今のでおっぱい千切れてない?
確認のため自分で揉んでみる。確認のため。よかった、まだついてる。
しかし、指の感触が胸に沁みついて、まだ掴まれているようで気持ちが悪い。
「癖になって自分で揉んじゃってる感じ? だったらもう一発くれてやるよ」
顔を上げれば、目の前にブーが迫っている。
身構える間もなく私の胸は鷲掴みにされ、彼は胸を掴んだまま腕を振るう。
両脚が地面から離れる。内臓が浮くような感覚が身体を襲い、背中を地面に押しつけられる。
「……ッ!」
背骨が、肩が、腰が、悲鳴を上げる。後頭部に激しい痛みが走り、頭を揺すられる感覚が止まらない。
ブーにそのまま馬乗りにされて動けない。筋肉だらけで重い!
「いつまで掴んでんだこの変態!!!」
左胸に乗せられてる腕を掴み、身体の捻りを加えて馬乗りにしてる奴をぶん投げる。
はぁ……、はぁ……。キッツイ。
アオとキバさんの方を見ると、バッドの足技を鎌で防御しつつ反撃。
アオが一瞬、右腕を抑えたように見えるも、そこにキバさんがカバーに入り一、二撃喰らわせていて、向こうの方はまったくもって問題なさそうだ。
問題はこっち。ヤツが繰り出すあの弾けない掴み攻撃。
通常攻撃と掴み、予備動作が似てて判断がつかない。見てから判断するしかない。
ヤツが向かってくる。
「ほらほら! どうしたどうした!!」
殴るフリをしつつ、ゆっくりと、そして確実に距離を詰めてくる。
通常攻撃? 掴み? どっちだ……!
私は向こうの攻撃を必死に考える。
彼が大きく踏み込む。手は……閉じていない!
掴みと判断し、バックステップ。
後方に下がり行く身体。その最中、ヤツの中指がブレザーの胸元に触れる。
しかし、私の移動の方が早く、ブーの腕は間一髪のところでこのおっぱいを掴み損ねる。
ヨシ!
私は心の中でガッツポーズ。
反撃すべくグーを構えた。
――そのとき、不思議なことが起こった。
ブーは私の胸を掴み損ねた瞬間、虚空を掴んだ。ちょうど、思春期の男の子がおっぱいを揉む妄想をするときのように。
すると私の身体は彼の方に吸い寄せられて、片胸がすっぽりと虚空を掴んでいた手に収まったのだ。
「何で!? 避けたじゃん!!!!」
「これはラッキー。デカい胸は判定もデカいらしいな!!」
いや、絶対触ってないだろ今の!! 見た目よりデカい判定ってなんじゃああ! せめて見た目と同じにしろや!!
巨乳の意外なデメリットが分かった。がしかし、笑い事ではない。
胸を掴まれた私は、そのままお腹に全力でパンチを見舞われ、よろけたところをぶん殴られた。その勢いに、二、三メートルほど飛ばされた。
ヤバい、動けない。というか、動かない。
身体動かそうとすると、それを拒否するように各部位が激しく痛む。
殴られたせいで、息も上手にできない。
苦しい。
その感情に心を支配される。
「もうお終いか?」
近寄ってくる向こうは、まだまだ余裕そう。
「ったく、マイナーは環境に屈してろってんだ。無駄な手間かけさせやがって」
悔しい。
こんなヤツに負けるのは。
「お前が入ってこなきゃ、あのキモイのもすぐ倒せたってのに」
嫌だ。
ここで負けるのは。他人の性癖っを傷つけ侮辱するヤツに負けるのは。
でも、動けないんじゃ、負けるしか……。
「じゃあな!」
ブーが私に拳を振り下ろす。
反射的に目を瞑る私。
――ドンッ
重く鈍い音が静かな森に響く。
しかし、何も感じなかった。だから私は、ゲームオーバーになるときは安からかに死ぬ仕様だと思った。
でも、何かがおかしい。そうだ、死んだときに出るインフォメーションウインドウ的なものが無いんだ。
私は恐る恐る目を開く。
そこには背中でブーの攻撃を受け止めるキバさんがいた。
私は負けていなかった。
キバさんは私への攻撃を受け止めながら、力強く言った。
「ルナ君……、君の性癖はそんなもんじゃないだろう!」
「私の性癖……? でも、私はここでもう……」
半ば諦めている私にキバさんは、優しく諭すように言う。
「君はこんなところでダメになるような存在じゃ、性癖じゃ……ない。もっと先へ行く、拗らせた性癖の持ち主だと俺は……信じている」
「どうして、そんなことが言えるんです?」
「君はこの世界で、一番したいことをまだしていないだろう?」
「一番したいこと?」
「君は言ったろ。憑依とはギャップに萌えるんだと。でも、俺は今の陽彩君にギャップを感じない。俺から見れば、君が憑りついている陽彩君は、まだただの清楚系女子高生だ」
キバさんの言葉で、ハッと目が覚める。
私の心に巣食っていた苦しみが、悔しみが、頭にかかっていたモヤモヤがぱぁっと晴れ、思考がスッキリとまとまる。
私の意思に関係なく、身体が立ち上がる。誰かに動かされているように。
――そうだ、私はまだやりたいことやってない。それをするまで、終われない!!
「邪魔だ!」
そう思っているとき、ブーはキバさんを押しのけた。
「キバさん!」
「俺のことは気にするな!! 君は自分の興奮することだけ考えろ!」
「キバさん! ありがとうございます……!」
そういうことなら、私が今考えなきゃいけないのは一つ。
『陽彩の身体を好き勝手に弄んで、どういう風に外見を変えてしまうか』
これだけ。
パーマとかブリーチとかしなくても、強くそう変身させたいと思い浮かべれば、多分はそういう姿になれるはず! だって、【性癖】ってそういうもんだし!
私が一番興奮する見た目。
憑りついただけでハイになって見失っていたけど、それは私の中でもうおおよそ決まっているじゃないか!
清楚系巨乳な優等生美少女の見た目をどう変えるかという方針は。
私にはこうしたいって、欲望がある。そうしたいから、この世界に来た。
だから、陽彩を選んだんだ!
陽彩をどんな姿にしたいか思い描け。細かい部分を精密にはっきりと。具体的な髪色、髪型、メイクの仕方に、ブレザーの着こなし方とか。
それを思い描くにあたって、突き詰めるべき目標はただ一つ!
『彼女が自分の意識を取り戻したとき、どんな姿だったら一番恥じらうか!』
陽彩の気持ちになって考えろ。いくら私が人の気持ちを理解し辛いコミュ障だって、今なら分かるはず。
だって、今は私が陽彩なんだから!
陽彩の脳内情報が私になだれ込んでくる。彼女の嗜好、経験、感情、秘めた願望や欲望、その全てが私のもののように感じられる。そのおかげで、くっきりと完成系が見えた。
「【性癖】発動! 姿よ、変われ!!」
陽彩の身体が光を放つ! 身体の周囲に風が吹く!
風に吹かれて逆巻く髪は、次第に染まって色を変える。着ていた装備は粒子となって、新たな形へと変わりゆく。風が髪を結い、変わる髪形。私の身体に力が漲る!
やがて、纏う光と風が弾け、全ての準備が整った!
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【性癖】:【変身】発動
『アバターの外見を変え、〔状態:変身〕を付与』
『変身状態時に総合性癖力を上昇させる』
【性癖】効果発動
『性癖値を増加+2000』
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目の前に出てくるインフォメーションカットインに、私は心を躍らせる。
「変わった……!」
「別人、だな」
「な、何だ! お前!?」
インフォメーションカットインの隅に何かある。
何々……? 現在の装備を確認しますか? もちろん!
私は『はい』の項目を押す。すると、そのウィンドウに今の私の姿が映し出される。
艶やかな黒髪は桜のようなピンク色に染まり、長髪をツインテールに束ね、前髪にはポイントでグレーアッシュ。
制服は上下ともピンクのブレザースタイルで、ベージュのカーディガン。スカート丈は膝上十五センチ。シャツのボタンはカーディガンの首のラインまでだらしなく開いていて、露わになった胸の谷間の上に、首からやる気なく下がったリボンが乗っている。
まさに、私が思い描いていたそのままの姿! 優等生からギャルへの、華麗なる転身。私の理想のギャップ萌え!
そして、陽彩が自分の意識を取り戻したとき、一番恥じらうであろう恰好!
陽彩のギャルモード!!!
「ここまで【性癖】を使いこなせるとは。恐れ入ったよ……! 本当に好きなんだな、その癖が」
その通り! 私は、友達の数が減ろうとも、家族に避けられようとも、こういうのが好きなんだ!!
「あとはアイツを倒すだけ。今の君なら……、敵ではないだろう」
凄い! すっごく力が溢れてくる!
軽くスパーリングしてみる。おおっ、身のこなしも格段に良くなってる! 流石【性癖】!
『ルナさん! ルナ!!』
あれッ!? 陽彩!? 彼女の意識が戻った!?
変身は想定内だけど、それは完全に想定外!
どこからか陽彩の声がするが、見回しても声の出どころは分からない。
「陽彩? どこ?」
『やあっと気づいた!! ルナさんの頭の中』
「頭の中?」
意識の共存か……。でも、それも悪くないね!
『ってか、ルナさんが勝手に私の身体に入り込んできたんでしょう! もう、私の身体で好き放題してくれちゃって!! 意識は残ってるのに身体は勝手に動くし。たまに制御が帰ってきたと思えば、すぐ奪われて……。ていうか、ルナさんは動きも生ぬるいし、判断も甘い!』
「じゃあ、今私が立てたのは」
『さあね。……って、何ですかこの姿は!!!』
陽彩から聞いたことのない驚き声が出る。
「陽彩のギャルモードってとこ? いいでしょ?」
『よくない! 髪はピンクだし、スカート短いし、こんなに胸元空いてるし! 元に戻してください!』
「嫌だ」
『恥ずかしくて……、死んじゃいそうです……!』
あー、半泣きの声が堪らない。キュンキュンしっぱなし!!
「誰と話してるんだよ……。やべー奴じゃん」
ブーがなんか言ってる。そういえばその最中だったな。
「ねぇ、元に戻す件はアイツを倒してからってことでいい?」
『……わかりました! とりあえず、話は目の前の脅威を排除してからです』
「何だ! 何なんだ、お前は!!」
ブーが怯え気味に聞いてくるから言ってやる。
内なる陽彩と声をそろえて。
「私たちは、お前をぶっ倒す者だ!!」
『私たちは、あなたを倒す者だ!!』
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プレイヤー名『ルナ』
状態:憑依(陽彩)・変身
【性癖】:性癖力
【巨乳フェチ】:500
【ブレザー服】:500
【憑依】:2000
【変身】:2000
【性癖】補正値:2000
『総合性癖力』:7000
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お読みくださり、ありがとうございました!
主人公の変態ここに極まれり!
余談ですが、筆者はピンクのツインテも黒髪ロングも好きです。
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