レアな奴らに会うために
7/26 前話の追加にともなって改稿しました
陽彩に憑りついたまま、再び始まり森の小道を歩いている。めちゃめちゃ道草を食いながら。
キバさんが前回言った『楽しいこと』とは始まりの森のレアモンスター狩りのことだった。キバさんは私に「レアな奴は出現エリアが限られている」となんて言うもんだから、前回のときには足を踏み入れなかった、新たな探索ポイントや絶景スポットなんかを教えてもらいつつ、森の深部をフラフラしていたのです。
確かに森の深部だからスライムだの、ファングだのの出現頻度はかなり高かったが、陽彩の力でほぼワンパンで倒せたし、防御面では秘技『おっぱいパリィ』があるおかげでほぼノーダメで進んで行くことができた。
「さあ、着いたぞ。この森で一番いいところに」
「わぁ……。すっご」
私の目の前に広がっていたのは、とうの昔に放棄され、長年の風雨に晒されて緩やかに朽ちたお堂エリア。お堂の屋根は半壊し、壁は抜け、散らばる木材。瓦礫や残ったお堂の骨組み、境内や狛犬は一面苔むして、緑の絨毯を敷き詰めたかのよう。
なんかのイベントが起こりそうな、神秘的で霊的な何かを感じるような光景に、私は圧倒されただ息を呑むしかなかった。
キバさんが居なきゃ絶対にわからないような場所だったけど、道も覚えたしまた来ようかな。
確かに物凄く神秘的でなんかのイベントが起こりそうな場所であったが、キバさんの言う「レアな奴ら」はいなかった。
そんなこんなで私たちは「出直しかな」なんて言い合い、神秘的なエリアの出口に向かって歩いている。
「さっきのエリア凄かったですね! なんというか、その……。すごいなって思いました」
「ボキャ貧か」
キバさんの的を射た指摘に、私はへらへら笑うことしかできない。
そんなとき、
「……おーい!」
突如、声が聞こえてきた。
今まで人の気配が全くしなかった森の奥から。それも、私たちがさっき通ってきた方から。
私はとりあえず、陽彩に憑依したままで状況をうかがう。
「人……?」
「そんな遠くなさそうだな」
「そんな人、いました?」
キバさんはかぶりを振る。
私たちは声のした方に目を向けてみる。
「おーい! 誰かいるんだろう?」
またしても、呼び声。
声はさっきよりもはっきりと聞こえてくるが、人影はまだ見えない。
「私たちを、呼んでる?」
「みたいだな。とりあえず行くか」
そう言って、キバさんは声のした方へと道を戻ってゆく。その方へと進もうとする彼は、一瞬だけニヤリと口角を上げ、「見つけた」と言ったような気がした。もっとも、顔を見直したときにはそんな表情ではなく、まさに真剣そのもの。だから多分見間違いに聞き間違いだと思うけど。
キバさんの後を追いかけると、二人の男が言い争ってるのが見える。その様子を心配し、私たちは急いで駆け寄る。
近づいてみると、キバさんに似た背格好の男の人たちが口論している。二人ともかなりがっちりとした体型で、立派な赤マントを羽織って、ヒートテックみたいな肌着姿。そんな人たちが今まさに喧嘩寸前。だから、それを止めるべく、慌てて会話に割って入る。
「ったく、お前のせいでとんだ災難だ」
「文句言わないって言ってたろうが!!」
「あ、あの。とりあえず落ち着きましょ?」
「そうだ、とりあえず落ち着け。んで、あんたらか? 人を呼んでたのは」
「そうですそうです! よかったぁ! な、言ったろ? 誰か来てくれるって。いやー、助かりました!! すっかり迷ってしまって、あなた方が来てくれなかったら、どうなってたことやら。お二人はどうしてここに?」
本当は三人なんです。ややこしいから黙っとくけど。
「まぁ、おじさんのクエストを終わらせて、改めて探索ってとこですよ」
「そのおじさんって、あの酔っ払いの?」
「そうそう」
男の人は軽く驚いた様子でキバさんの言葉に続けた。
「ということはあなた方も、初心者なんですね?」
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