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第10話:歴史とおり

うん、予定通りなので満足満足ですわ♡(あのお方談)


「アノード、【神の加護】」


「足止めします! はぁッ!!」


「アノード! 援護するわ!!」



 今、勇者たちは最後の敵である魔人と戦っている。

 周りには勇者たちが倒した悪魔たちの屍が転がっていた。

 そして勇者たちの戦いを見守る連合軍たちの姿もあった。 


 そんな中、あたしはその様子を見ながらイライラしていた。


 レイムのやつ、ちゃんとアノードたちを導けと言っておいたのに!!

 何こいつら?

 弱すぎ!!

 これではユカ・コバヤシ辺りを勇者にした方がずっといいんじゃないだろうか?


 と言うか、マーヤなんかお腹に子供がいるから動き鈍いし!

 アノードはアノードで相変わらず無駄な攻撃ばかり。

 唯一ユカ・コバヤシが召喚時のギフトである分身のスキルを使って足止めしているから何とかなっているけど、レイムのやつはサポートばかりで全然魔人を弱らせていない!



 ああぁ、もうまどろっこしい!



 あたしは思わず手をかざし、魔人の片足を消し去った。

 消しゴムでごしごし消すかのようにあっさりと!


 すると完全に体制を崩した魔人が膝をつく。



 ぐらっ!


「はぁッ!!」



 そこへユカ・コバヤシが切り込んで、魔人が倒れ込む体を押さえていた腕を切りつける。

 たまらず魔人は魔剣を持つもう片方の手で体を支えると……



「アノード、チャンスです! 魔人の剣を奪いなさい!! 【断罪の加護】!!!!」



 レイムがここぞとばかりにアノードに指示をする。

 アノードは持っているボロボロになった剣を投げ捨て、魔人の持っていた剣を奪い取る。

 それと同時にレイムの加護が剣に宿りまがまがしい輝きを放つ。


「「はぁッ!!」」


 二人に分身をして左右から魔人を攻撃してさらに動きを止めさせるユカ・コバヤシ。

 そこへ魔剣を持ったアノードが切り込む。



「どりゃあーっ!!!!」


 斬っ!!



 その一撃は女神の加護と、もともとの魔剣の切れ味で容易に魔人の首を切り落とす。



 どさっ!



「うっしゃーっ!! 魔人を倒したぞ!!」



 剣を振り切ったアノードはその剣を地面に突き立て、肩で息をしながら勝ち鬨をあげる。

 仲間たちもそれに応じて大喜びをするけど、あの剣にこちらの女神の加護を与えたら……


 まぁ、いいでしょう。

 あたしが刻んだ歴史通りになっている。

 まぁ、今回はそこそこ楽しめたし、予定通りになっている。



 あたしはにっこりと笑って、こちらに気づいているレイムにだけ手を振って姿を消すのだった。



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