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猫恋 ~銀河帝国出身の私が異世界の猫たらしに命令されて恋に落ちました~  作者: ひろの
第4章 未来へ

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第33話 光と黒炎の激突

地面が震える。

イグラートが握る魔剣ヴァル=ネクス――黒炎を宿す剣が、空気ごと赤黒く歪む。

アレンの光刃と交わるたび、火花が閃き、轟音が辺りを震わせる。


「くっ……!!」


アレンの腕に、振るわれた魔剣の衝撃が跳ね返る。

光刃はその度に揺らぎ、火花を散らす。


「さすが……魔将……!」


アレンの胸が高鳴る。

一流の剣士としてのイグラートの動きは、予測不能。

一歩踏み込めば斬られ、一瞬の油断が命取りになる。


――その戦いを、リュミナは息を呑んで見つめていた。


「アレン……すごい……」


心臓の音が耳の奥で跳ねる。

光刃と魔剣が交錯するたび、火花と音で視界が揺れ、胸が締めつけられる。

手に汗を握り、思わず唇を噛む。


アレンが踏み込み、縦斬り。

ヴァル=ネクスは軽く弾かれ、黒炎が空中に舞う。


「くっ……!」


イグラートは笑みを浮かべたまま、即座に反撃。

地面を蹴り、斜め上へ回転しながら、剣を振るう。

アレンは光刃で防ぐ。火花と衝撃波が吹き荒れ、二人の体が

互いの重力と魔力でぶつかり合う。


「アレン……負けないで……!」


リュミナの声にならない声が、胸を締めつける。

彼が、命をかけて戦っている――その事実だけで胸が熱くなる。


イグラートが剣を振るうたび、黒炎が空気を焼く。

しかしアレンも光刃を自在に操り、打ち消し、受け止め、反撃を返す。


一進一退。

一瞬の油断も許されない。

二人の剣が交わるたび、地面に深い傷が刻まれ、空気は切り裂かれる。


リュミナは自然と息を止めていた。

彼の腕が、力強く、しかし美しく剣を振るうたび、胸の奥が高鳴る。

恐怖と期待が混ざり合い、心臓が早鐘を打つ。


「まだ……まだ終わらない……!」


アレンは目の前の敵を見据え、全身の力を込める。

光刃の輝きが、イグラートの黒炎を押し返す。


「くっ……人間のくせに……!!」


イグラートの声が、怒りに歪む。

しかしその目には、ほんのわずかだが驚きと警戒の色も浮かんでいた。


火花が散る。衝撃で小石が跳ね、空気が裂ける。

アレンの光刃が黒炎の刃に押され、押し返され――しかし、再び踏み込む。


「行くぞッ!!」


全力で踏み込むアレン。

リュミナは思わず手を握りしめ、祈るように目を閉じた。


――激突。


剣と剣がぶつかり合い、火花が舞う。

爆風がリュミナを押し、髪が乱れる。

しかし、アレンは立ち止まらない。光刃の輝きが溢れ、黒炎を押し返す。


「……アレン……!」


リュミナは目を見開く。


彼の目には、恐怖は一切なく、勝利への確固たる意志が宿っていた。


イグラートが一瞬ためらう。

魔剣の力をもってしても、光刃の威力を押し返せない――。

その隙に、アレンが左から回り込み、斬撃を放つ。


「これで……終わらせる!!」


黒炎の剣でまともに受けながらも、光刃がイグラートに向けて突き刺さる。

イグラートは驚きと怒りで顔を歪ませるが、足を踏ん張り、魔剣で押し戻した。


アレンの一撃――黒炎と光の交差点。

火花と煙が舞い、二人は共に相手の剣圧に押されて両手を広げるように後ろに倒れた。


双方身体を回転させると受け身を取り、すぐに立ち上がって剣を構える。


リュミナの胸は、張り裂けそうに高鳴る。


イグラートが荒い息を吐く。

黒炎の魔剣を握り直すも、力が明らかに削がれている。


「アレン……!」


アレンが視線を動かさずに手で制止する。


アレンは光刃を構えたまま、黒炎の剣を握るイグラートを見据える。

戦いは――まだ終わってはいない。


そのアレンも息が荒い。100匹斬りの後の、この激戦。

彼の体力の限界も近い。


黒炎と光の剣撃が空気を引き裂き、火花が舞う。

アレンは光刃を振り続ける。

だが、体力の限界が、確実にその動きに影を落としていた。


「……くっ……まだ、行け……!」


アレンは荒い息を吐きながら、力を振り絞る。

光刃でイグラートの魔剣を受け止め、押し返す。

しかし、一撃一撃に以前のような鋭さはなく、腕がわずかに震える。


リュミナの胸が締めつけられる。


(アレン……もう限界……!?)


恐怖と焦りで、手に力が入り、光翼が小刻みに震える。

彼の顔には汗が光り、必死に踏ん張るその姿は、どんな戦士よりも輝いて見える。


「ふ……ふははは……!」


イグラートの笑みは容赦ない。

黒炎を帯びた魔剣を振りかぶり、全身の力を込めて突き出す。


アレンは光刃で応戦するが、力負けし、膝をついた。


「ぐっ……!」


膝が砂利に擦れ、痛みが全身に走る。

鍔迫り合いが続いたが、アレンの腕に明らかに疲労が出てきた。

黒炎の魔剣がじわじわと押し込む。


「ア……アレン……!」


リュミナの心臓が跳ねる。

胸の奥が締めつけられ、思わず光翼を震わせて声を上げそうになる。

しかし目の前の光景に、目を逸らすことはできない。


「まだ、諦めるわけには……!」


アレンの声が、震えながらも力強く響く。

黒炎の魔剣に押され、片膝をついたまま、全力で剣を押し返す。

汗と血が混ざり、光刃がわずかに揺れる。


イグラートが力を込める。

黒炎の剣圧がさらに増し、アレンの手首や肩に容赦なく重さをかけていく。


「ほう……まだ踏ん張るか……!」


冷笑まじりに圧力をかけるイグラート。


アレンは足を滑らせ、地面を蹴りながら反撃を試みる。

だが、黒炎の魔剣を止められず、じわじわと押し込まれていく。


リュミナの胸が痛む。


(アレン……こんな……)


思わず手を握りしめ、目を閉じたくなる。

でも、彼の背中を見ていると、諦めるわけにはいかない。

彼は、限界を超えて、まだ戦っているのだから。


「……ここで、負けるわけには……いかない!」


アレンは渾身の力を込め、鍔迫り合いの体勢を維持する。

黒炎と光の刃が押し合い、火花が周囲に散る。


しかし、ジワジワと重さが増し、アレンの体勢は微妙に傾く。

肩が落ち、膝の角度が変わり、ついには片膝が地面に擦れる音が響く。


「は……はあ……!」


荒い呼吸。汗で光る額。

それでも光刃を握る手は緩めない。

アレンは目をギラリと光らせ、必死に踏ん張る。


イグラートは押し勝ち、じわじわとアレンを追い詰める。


「くく……どうした、人間……まだ抵抗するのか……!」


黒炎の剣を力いっぱい押し込み、黒炎がアレンの顔の傍まで近づく。


リュミナは思わず体を前に乗り出す。


(もう……ダメ……?)


胸が締め付けられる。恐怖と焦り、そして心臓が破れそうなほど高鳴る。

でも、目を離すことはできない――彼がここで倒れたら、この戦いは終わってしまう。


アレンは押されながらも、光刃を振り上げ、力を込める。


「……まだ……終わらせるわけには……いかない……ッ!!」


黒炎の重圧に耐えながら、片膝をついたまま必死で剣を押し戻すアレン。

その姿勢で、火花と光が交錯し、鍔迫り合いは最高潮に達する。


押されるアレン、追い詰めるイグラート。

リュミナの胸は、鼓動が破裂しそうなほど高鳴り続けていた。


イグラートの魔剣がアレンに届こうとしていた。

クライマックス!



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