97話:朝
護衛生活一日目
俺は、会長と共に天龍寺邸宅を出た。
「眠いッスね」
「眠いとかそういう話じゃなくて、結局、まだ、何で清二君がうちに来たか説明してもらってないんだけど?」
俺は、会長から質問責めにあっていた。
「だから、他意はないって言ってるじゃないですか」
「全然説明になってないけど?!」
欠伸をしながら、後ろを振り向く。すると、丁度、秋文と秋世が出てきたところだった。
「あ、清二兄ちゃんだ!」
「あ、清二さん!」
二人がこちらに駆け寄ってくる。小学六年生だという二人。
秋文は、特徴のない雰囲気の美少年である。どことなく純真な少年っぽい。
秋世は、会長に似た黒い長髪を首元で二つに縛り、ツインテールにしている。ただ、会長とは違い、瞳の色が、少し赤みがかっている。叔母譲りなのだろうか?そして、何より注目すべきは、会長にはたっぷりあるものが、秋世には少量しかないものがある。胸だ。
「可愛ぇ~」
――ゴスッ
会長に肘打ちを入れられる。
「おい、姉貴!清二兄ちゃんに何やってるんだよ!」
「お姉さま!」
そして、二人が怒る。
「はぁ、二人とも遅刻しないようにね……清二君、行くわよ!」
「ちょっ、会長」
俺は、会長に引っ張られて学校まで連れて行かれた。




