95話:試験
《蒼天の覇者の剱》が手元で蒼白く輝く。
「おいおい、そりゃ、ねぇぞ!」
深紅さんは、右手を前に突き出す。
「ちょっと、深紅!家を焼くつもり?」
紅紗さんが怒鳴る。
「家が焼けない程度に加減する!|《火竜の業火》《ドラゴニック・ブレイズ》!!」
右籠手から大きな炎が上がる。
――《Blaze》!
籠手からの音と共に威力が増す。
「吹き払え、――蒼天の風!」
俺は、風で炎を吹き飛ばす。
「風には風だ!|《風竜の剣舞》《ドラゴニック・ハリケーン》!」
深紅さんは左足を蹴り上げる。それと共に生まれた嵐のような風が蒼天の風とぶつかり部屋中に風が吹き荒れ、ドアや窓も開き放たれる。
――《Hurricane》!
風がさらに強まり、蒼天の風が押し巻ける。
「なら……っ!」
俺は、足に力を込め、深紅さんに接近する!
「来るか!|《雷竜の雷霆》《ドラゴニック・サンダー》!」
胴体部分が帯電し、一気に電撃が放たれる。
――《Thunder》!
「蒼天雷切!」
俺は、その雷を切った。
「これが、龍の雷?いや、違うな!」
そう、俺は、白羅によって来たえられた際、龍神の《記憶再生》とか言う力で、過去にいた雷の第六龍人種の雷を再現してもらった。そのときに剱で雷を斬ることを学んだのだ。長く帯電させると、電気が剱を伝い体に流れ込んでしまう。だから素早く、振って、流しださなくてはいけない。受けて、切って、流しだす。それが雷切。
「何っ?!」
「蒼天の風よ!」
風と共に、剱を深紅さんの喉元に突き出す。
「参った、降参だ」




