88話:だらける
あの不死鳥の一件から、もう、数週間になるだろうか。時期は、夏真っ盛り……とまでは言わないが、十分に暑い。もう、あと二週間で長期休暇に入る。
「あ~あ、夏ねぇ~」
会長がだらしない姿で、生徒会長と言う地位に相応しくない状況で、そう言った。現在仕事の真っ最中だ。
「会長、仕事中ですよ」
俺の言葉に、会長は、
「だって、だるいんだもん」
「とても一般生徒にお見せできるものではありませんね」
たゆんと会長の胸が揺れた。
「暑すぎよ……。クーラーは?」
「この調子で、ガンガンかけてます」
設定温度は、節電のため、少し高めだが、決して低くは無い。
「地球の温度を5℃くらい下げないとダメなんじゃないの?」
無茶なことを言う。
「ああ、もう!」
そう言って、会長は、背中に手をまわし、パチッと言う音と共に、最後のお召し物を外した。
「ちょっと何やってんですか!ブラくらいつけておいてくださいよ!」
一応、制服を着てはいるが、汗で濡れ、透けている服の向こうは、肌色となっていた。ちなみに、俺はワイシャツと制服のズボンで、ブレザーとネクタイは取ってしまっている。いや、正確には、会長が「暑苦しいから」と言って取ったのだが。
「大丈夫よ、見えないから。透けたりしないわよ」
「いえ、別に俺は、見えても興味ないからいいですけど……。まあ、学校をでるときには、きちんとつけて置いてくださいよ」
「はいはい」
俺は、仕事に戻る。しかし、時々視界に入る、肌色に目を奪われることもあった。まあ、巨乳なことを除けば、とても美少女である会長に目を奪われるのは、男子としては、割と必然なのだが。
「ちょっと、さっきからチラチラこっち見てるけど、やっぱりきょ、興味あるの?」
少し、言いよどみながら(恥ずかしがりながらとも言うが、)俺に聞いた。
「いえ、まあ。会長も美少女ですからね。目は惹かれますよ」
俺は、本音をそのまま言った。嘘ではない。しかし、いつもの俺ならば、言わなかっただろう。おそらく、暑さで頭がいかれてたに違いない。
「そ、そうなんだ。へぇ~」
興味ないふりをしながら、会長は、うれしそうにしていた。その後会長は、鼻歌交じりに仕事をやったという。ちなみに、今更ながらの説明だが、副会長は、家の用事で欠席。篠宮は、ファンの娘たちからの誘いを断りきれず、映画に(先ほどメールが送られてきた)行った。アーサーは今頃、俺の家で寝てるだろうし、白羅も同様。エリナは、部活の助っ人でもしているだろう。




