表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《覇》の古具使い  作者: 桃姫
不死鳥編
87/159

86話:紅き夜―《蒼き夜》―

 俺は、俺の持つ力の全てを《蒼天の覇者の剱》に注ぎ込む。この中に組み込まれている《殺戮の剱》を《全力解放》し、力を全開にしている。剱は、蒼く光を放つ。

「行くぜェ!」

「こ、これは……っ!《死神の鎌》、迎え撃ちなさい!!」

鎌が、宙を舞い、剱と共に、俺に向かって飛んでくる。しかし、

――轟

ゴウと言う音と共に、全て粉砕した。

「そんな馬鹿なことがっ」

悪霊が呆然とする中、俺は、悪霊の元へ駆ける。

「なっ、このまま斬る気ですか、そんなことをしたら、この体は」

「魔を断ち、罪人を殺す。聖を切るものに、罰を与えることに戮力する。それすなわち、殺戮切断」

そう、殺戮切断は、咎人を殺す力。聖なるものに危害は与えない。

――ズシャァア!

そして、切り裂く。――悪霊のみを。蒼い斬撃が、幾十の光となって、陽の沈んだ空を蒼白く染めた。――《蒼き夜》。

「な、そんなヴァ、カ、……な、こと、が」

悪霊は消え去り、亞璃栖だけが残る。

「よっ、と」

倒れる亞璃栖を支える。そして、

「おい、不死鳥。テメェを、《見つけた》ぜ」

俺は、告げた。

「ええ、確かに、見つけられました。妾を、よく見つけることが出来ましたね、蒼刃の子よ」

不死鳥は、言った。

「妾の血を欲しいですか?」

「血の効能を教えろ」

俺は、問う。

「量しだいでは、不老不死になれます。少量飲めば、寿命が二十年程度延びる程度でしょうが、」

「じゃあ、少量でいい」

俺は告げた。

「なんとも、欲のない。いえ、貰うだけ、欲はあると言うことでしょうか」

「どういうことですか、青葉君」

副会長が、俺に問う。

「すみません、副会長。今回の件は、俺の私用でして」

「私用、ですか?」

副会長の問いに答える。

「ええ、この《火の鳥》の血とやらを賭けた対決です」

「青葉君?」

俺の様子から、何かがおかしいと思ったのだろう。

「清二君は、その血が欲しかったの?」

「いえ、最初は貰うつもりはありませんでしたが、今は」

会長の問いに答えた。

「なるほど、目的は、あの娘のためでしたか」

不死鳥は告げた。

「あの娘?」

会長の問い。

「今回、試合の都合上、ある少女の寿命を大幅に削ってしまいました。それを元に戻すつもりですね」

「……」

俺は、答えない。数拍の間を空けて、

「誰があんな奴のために」

とそっぽを向きながらいったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ