84話:紅き夜―《紅き紋様》、罪深き体に刻まれる―
俺が、目を覚ますと、隣に、寝ているエリナは、酷く発熱したようだった。
「お、おい、エリナ!大丈夫か?」
「だ、だいじょばないよぉ~」
お、おい、これは、エリナの口調のせいで、妙に和む感じがあるが、実際の状況は酷い。エリナの体に、「フェネクス」の召喚陣の紋様が紅色に刻まれている。十字架のようなものや、英語のようなものが刻まれた円陣。もしかして、と思っていたが、やはり、こいつが、不死鳥に命を奪われる対象か。
「お前は寝てろ。俺がどうにかしてやっから」
俺は、ゴルフバッグを抱え、死霊探しに出る。
――ザシュッ!
そんな歪な音と共に、本日六体目の死霊を屠った。
「ハァ、ハァ……ッ。ハァ」
息が切れる。エリナの家を出てから五時間。ずっと休むことなく、死霊を探しては斬り屠っていた。
「後、七体、か?」
昨日までで七。今日の六を足して十三。後七体だ。
「チッ、なかなか多いぜ。きついな」
肩が痛む。腰も痛む。全身擦り傷だらけだ。
「服もボロボロか……。でも、まあ、どうにかすっか」
ここに来て、俺の、死霊を察知する感覚は、鋭敏になっている。ボロボロの制服のブレザーを脱ぎ捨て学校の方角へ走る。三体ほど、学校の方で騒いでいるのがよく分かる。
学校の校庭に三体の死霊を確認した。そして、生徒会が囲ってる。
「《緋色の衣》!」
会長の古具が、悪霊を掴もうとする。しかし、往なされる。
「《聖覇にして殺戮切断の剱》!」
俺は、真デュランダルを生み出すと、俊足で切り込む。
瞬間、三体は散り散りになった。




