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82話:紅き夜―蒼い力の持ち主―
Scene真琴
僕は、青葉君の圧倒的な威圧感に、狂気に、とても驚いていた。
「ハッ!面白ぇ!来いよ、駄犬!」
そう言いながら彼が、剱を振ったときの寒気は、生半可なものではなかった。
「カナタさん。青葉君は、一体」
「分からないわよっ!何、あれ……。本当に清二君?」
「どうでしょう?でも、おそらく、彼は、彼でしょう」
美園さんがそう言った瞬間、
「潰れな!」
「ヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィッヴィイッヴィヴィヴィ!!!」
怪物と青葉君の声が重なった。そして、怪物は引き裂かれているが、青葉君に突進している。その威力は、地割れや衝撃波からよく分かる。
だが、僕が驚いたのは、そこじゃない。僕が心底驚いたのは、その衝撃を手で殴りつけて、跳ね返したということだ。あの衝撃が、トラックが最高時速で突っ込んできたときくらいの威力があったとしたら、その倍以上の力で潰して押し返さなくてはならないのだ。つまりは、人間の腕力では、ありえないほどの威力だ。
彼は、何者なのだろうか。




