74話:火の鳥
吸血鬼騒動を解決。その後、まだ俺は、青森に居た。
「ラクシア、終わったぞ」
男が逃げ去った後、俺は、微笑みながら、ラクシアに告げた。
「い、今のって、一体なんですか……?まるで何かに乗り移られたかのような、凄まじさでしたが」
「あ?何のことだ?」
「ま、まあ。深くは問いません」
よく分からないが、まあ良いだろう。
「吸血鬼って言うのは不死身なのか?」
俺の問いに、ラクシアはこくりと頷いた。
「不死身です、いえ、正確には、不滅、ですかね」
一度死に生き返る。吸血鬼の不死性。それは、不死と言うより不滅、蘇生。
「第五鬼人種の中でも《吸血鬼族》は、特殊ですから」
「でも、どうやって不死性なんて手に入れたんだ?」
「第五鬼人種の中には、先天的に、不死として生まれてくる者が大半です。私もそのうちの一人で、」
不老不死……いや、この場合は、不老ではないか。ラクシアの外観年齢は俺と同年代だ。口調や態度からも、年齢がさほど違わないように思える。まあ、恭しさがあるせいで分かりづらいが……。
「吸血鬼は、体の最も動かしやすい時期、主に二十歳前後で成長が停止します。それが主に不老と呼ばれる現象ですね」
「そうなのか?俺とお前は、大差ないように思えるが?」
「わ、私は、まだ成長中でございます」
なんだ、まだ成長中だったのか。
「しっかし、元を辿っていけば、原点の不老不死になった理由ってのがあるだろ?」
「それに関しては、古の武神が、《火の鳥》から血を貰い、それを飲んだからといわれています」
火の鳥だ?不死鳥伝説だとでも言うのか。
「さ、そろそろ、聖慈様も戻らなくてはなりませんね。お帰しします」




