68話:救い
俺の中の何かが、言葉にするたびに強くなる。剱を握れと急かす。この昂揚感は、昨日、ドラゴンを斬ったときと同じ昂揚感。
「貴様ぁあああああああああ!」
男は、ダインスレイフを大きく振りかぶり、俺にめがけて振り下ろした。
「その程度か?」
俺は、手早く生成した《殺戮の剱》で受け流す。
「剣製?そう言った類の古具使いかぁあ?!」
「剣製、違うな。これは、換装」
さて、足を後ろに蹴り上げ、肩にかけたゴルフバッグから、鏡色の愛剱を抜き出す。
「む、それは?!」
「来い、《聖覇にして殺戮切断の剱》!!」
顕れる、我が真のデュランダル。
「デュ、デュランダル?!ま、まさか!貴様、ローランか?」
「ローラン?違うな!俺は、」
一泊空け、叫ぶ。
「青葉清二!!テメェをぶちのめす奴の名だ!」
俺の心は、完全に狂気に取り付かれた者のソレになっていた。
「消えろ」
切り上げる。
「おいおい、こんなモンかァ!弱ェ!弱ェエよ!」
「ば、馬鹿な」
は?馬鹿は、お前だろ。
「潰すぜェ!その駄剣!!」
――断罪殺戮!!
そして、剱は、根元から完全に分断された。
「ぼ、僕のダインスレイフが?!」
「失せろ」
――こうして、吸血鬼の里は救われた。




