59話:帰還
龍神の城で、長期間(一ヶ月を超える)の修行を終えた俺は、一緒に行くことになった白羅を引き連れ、生徒会室へと転移(どうやらこれは、古具等の力ではなく、龍神自身の力らしい)をしてきた……のだが、どうしたことだろう。クラッカーが鳴る。
「えっと、何事ですか、会長?」
俺の問いに会長は、笑みで返す。
「いや~、清二君が来てから二つの事件を素早く解決しちゃったから。そのお祝い」
な、なるほど……。
「それじゃあ、ついでにコイツの歓迎会も、と言うことで」
俺は、俺の後ろで陰になっていた白羅を前へ突き出した。
それまでの喧騒が嘘のように静まる。
「えっと、貴方は?」
「私は、白羅。龍神の娘よ」
白羅の簡潔な自己紹介。
「龍神様の娘さん?もしかして青葉君の修行相手って」
「そう、コイツと修行してたんだ」
篠宮の問いに俺は、苦笑い気味に答える。だって、見た目、完全幼女だもの。どんな修行だよ!ってなる。
「どの位強くなったんだい?」
「ドン位って言ってもなぁ~。ドラゴンを一撃でぶち殺せるくらい?」
俺の言葉に、何故か、皆が唖然とする中、アーサーだけは、真面目に聞き返してきた。
「デュランダルって龍滅の力があったっけか?」
「いや、アスカロンとかグラムくらいだろう」
グラム。魔剱グラム。その昔、シグルズが使った剱で元は、オーディンが気に突き刺し、抜いた者に与えるとされたもの。彼の父が、オーディンの刺した剱を抜き、彼のモノとなるが、オーディンの槍・グングニルに破壊され、父は死ぬ間際、妻に鍛えなおすように言い、生涯を終える。そのときに「グラム」の名がつけられた。その後、シグルズの手に渡り、レギンが鍛え、ついに、復活を果たした。そして、その剱で財宝を護る龍・ファフニールを殺したとされる。よって、グラムも龍滅の力があると思われるが、神が造った七本の剱に入っていないの存在しないかもしれない。
「グラム。あのグラムも龍滅の力があるのか?」
「グラムって実在するのか?」
俺は、アーサーの問いに問いで返した。
「ああ、存在している。魔堂王会が持っているはずだ」
何だ、存在しているのか。神が造った剱以外もあるのか。
「さ、そんな話より、パーティーを楽しみましょう」
副会長の言葉によりパーティーが再開される。




