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55話:散髪
Scene清二
六週間。それが、俺が、剣術と筋トレを繰り返した期間だ。大分髪が伸びてきてしまった。
「そろそろ、髪、切った方がいいわね」
白羅に言われる。
「私が切ってあげるから、そこに座りなさい」
「お、おう」
俺は、椅子に座った。すると、チョキン、チョキンと、鋏を動かす白羅。
「前くらいの長さで良いわよね」
「おう、いいぜ」
チョキン、チョキンと不規則に鋏がリズムを刻む。無言の空間。それを俺は、心地よく感じた。聖と居たときのような、そんな安堵感。そして、心地よく、俺の意識は、薄れていった。
「終わったわよ」
耳元で囁かれた。耳に息がかかり、くすぐったく、飛び起きる。どうやら寝てしまったらしい。
「アリガトな、白羅」
俺の礼に、彼女は、頬を染めた。その愛らしい顔を見て、俺は……
「きょ、今日もいい天気だな」
ヘタレだった。
「え、ええそうね」




