52話:黄金の剱
何だ?
「今のは、一体なんでしょう」
美園さんは、誰に向けたわけでもない疑問を口に出していた。
「今のは、おそらく、《殺戮の剱》の少年だろう」
しかし、回答が返ってくる。頭上から。そう、
「龍神様」
「うむ、アーサー・ペンドラゴン。剱の修復が終わった」
アーサーのもとに、黄金に輝く一本の剣が落ちる。アレは、
「これが、カリバーン?」
前に見た彼の持っていた《選定の剱》とは、形が違う。それに力も。神々しさを増している。あの剱は、一体……。
「鍛えなおしてやったのだ。その剱は、新たに生まれ変わったのだ。名を、――|《黄金の剱》《コールブランド》」
コールブランド。聞いたことがある。カリバーンの別名だとか。詳細は、あまり知らない。やはり、こういうのは、青葉君の方が詳しいのだ。
「いい剱だ。重量、長さ、全てがオレのために造られたかのような」
「ふん、それも仕事のうちだからな。さて、先ほどの音だが」
龍神様は、先ほどの爆音について語りだした。
「あの音は、おそらく、空間を斬った音だ。小僧は至ったのだ。最高の剱に……」
どうやら、青葉君も成功したらしい。流石だよ。
「最高の剱ですか……?」
美園さんの問い。
「そう。あの、デュランダルに至ったのだろう。神と終わりの混じりし所に、一日で至るとは、まさに《蒼刃》、か」
青葉?青葉と言う名前に、何かあるのだろうか。僕の名前にも何かあるらしいように、彼の名前にも。




