47話:氷千帝華
「龍神に言われた通り、貴方を鍛えるわ」
龍神……?娘なのに父のことを龍神と呼ぶのか?
「ん?ああ、私は、龍神の娘と言っても、実の娘じゃないのよ」
え?そうなのか?
「私は、呪われていたと言っても過言ではないわ。過ぎた力、御せ無い力は、呪い。その呪いを制御して、私の中に押さえ込むために。龍神は、私を娘として引き取ったの」
「の、呪い……」
「第六、或る種族。呼び方は色々あるけれど、そう、強いていうなれば、私の体には、生まれつき、或る力が、或るモノが宿っていたの」
或る力。それが、呪われた力。
「まあ、その力のおかげで、貴方の修行の相手ができるのだけど……」
俺の相手をできる、それほどまでに強力な力。それを生まれながらにして持ってしまったなんて、苦労したのだろう。
「それじゃ、修行を始めましょうか」
白羅は、まるで、武術を使う武道師の様な構えをとる。
「《殺戮の剱》!」
白羅の姿が掻き消えると同時に、予兆を掴み、古具を呼んだ。しかし、死角をつく形で、背後に、気配が現れた。それも、《殺戮の剱》を持っているのとは、逆方向に。俺は、咄嗟に、足元にあるゴルフバッグをリフティングの要領で蹴り上げた。
「グッ……」
白羅は、ゴルフバッグに蹴りを叩き付けた。その衝撃で、|《切断の剱》《デュランダル》が姿を現す。
――リィインン!
「デュランダル!」
俺は、二刀流の要領で、構えを取る。しかし、一本の重量が重量だけに、手首に負担がかかる。だが、これなら、どちらの方向から来ても、どうにか対応できる。
「いい反応するわね。……ッ!」
再び掻き消える。来るのは、どこからだ!
――ザッ、ザクッ
微かな音を耳が拾った。これは、雪を踏む音。どこから聞こえてくる?……右か!
「風を!」
素早く《殺戮の剱》から突風を生み出す。
「なっ?!」
白羅は、ギリギリで、俺の生み出す突風に気がつき、躱した。
「切り裂けぇ!デュランダル!!」
俺の反撃。右腕を全力で振り上げる。左足を引いて、腰を落とし、態勢を整える。
「クッ、氷千帝華!」
デュランダルの上に片腕で逆立ち状態になり、ほぼ、指二本で、俺が全力で振り上げたデュランダルを止めている。そして、その二本の指を起点に、デュランダルが、――凍りだした。
「な、なんだよ、これ……」
「これが、呪いの力。私の中にある銀の呪い」




