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39話:編入生
そして、翌日だ。朝食時には、アーサーの姿が無かった。
「アーサーは?」
「用があるからって、出かけて行ったわよ」
何か怪しい笑い方をしている母。まあ、良いだろ。
そして、登校して、クラスがざわついていた。ああ、そっか。編入生がいるんだっけか。情報通の高木たちだ。もう、クラス中に、情報が回っていてもおかしくない。
「おう、青葉。今日編入生が来るってよ」
「知ってる」
俺の適当な答え。
「あ~、お前、生徒会だもんな。はぁ~ずりぃな」
高木は、うらやましそうな表情をしたのも束の間、別の登校者がくると、すっとんで行って情報を撒いた。
そうして、訪れてしまった。運命のとき。この時、俺が、朝の母の怪しい笑みの理由、もっと言えば、昨日、母が出かけていた理由。それに気づいていれば、阻止できたのかも知れない。この、二人の刺客が、俺のすぐ近くに現れることを。




