154話:《第五階層:氷龍仙華》
Scene白羅
私の力で、彼を救う。そう決意してからどれだけの時が流れたか。現実の時間としては、高々数ヶ月。しかし、私の体感では、もう数年、七年近くになる。
氷龍、あんた、少し、力かしなさい。そう念じ続けた。
(呪い、などと揶揄し、我が力を嫌い続けたのはお前だろ?)
うっさい!私は今、力がいる。真なる氷龍の力が、
(アイツの様な、か?)
ええ、まったくもってその通り。彼のように、自由に使える真なる氷龍の力が欲しい。
(ならば、貴様は、心を凍てつかせる覚悟はあるか。既に、年齢、時と言う概念は、凍てついているだろう。しかし、感情まで凍りついて、お前は生きていけるのか?)
感情が凍る?それは無感情になるということかしら。
(ああ、感情をなくした男をお前は見てきただろう。あの男のように、お前は、)
違う。それは違うわ。彼は、感情が表に出ずとも温かい男だった。兄のような男だった。
(ふっ、そうだったな。では、力を貸してやろう。代償に心をいただこうかと思ったが、止めて置こう)
じゃあ、貸してくれるの?
(いいだろう、受け取れ)
《氷龍仙華》
氷の龍を身に宿し、仙人の如き強靭な精神と、華のような美しさを持ち合わせる。
そんな私。
さあ、加勢の時は来た。今助けるわ、清二……




