153/159
152話:《第五階層:魔王君臨》
Scene真琴
僕は「蒼」に塗り替えられた世界を見て、何故だか涙が溢れてきた。懐かしみがこみ上げる。
――神の力……
そう、そのフレーズが頭から離れない。僕の中の何かが、ずっと、あの「蒼」を見たがっている。「蒼」を夢見ていた。
――ああ、懐かしい。この息吹、生命を感じる波動が
そう、感じる。僕の中の魔王が疼く。
|《魔王の審判》《サタン・ルール》
これが、《魔王の力》、《魔王の襲来》と段階を分けて封じられていた本来の力。それが分かる。分かってしまう。青葉君のオーラを受けて、僕の中にいた、魔王、篠宮初妃が喜びを大いに表す。
僕の姿は、もはや、先ほどまでと変わってしまっている。金色の髪は、茶色く染まり、蒼い眼は、黒くなっていた。篠宮の特徴的な姿だ。どこにでも居るような髪色と瞳色。
僕の手には武器は無い。僕の手に在るのは、きまりだけ。
さあ、魔王となろう、彼のために……




