144話:《第二階層:蒼天慈悲》
|《蒼刻―燦天》《ブルー・スカイ》。かつて、大空を羽ばたいた|《天馬》《ペガサス》のごとく、俺の空を羽ばたくこともできるだろう。《蒼き力》は、オーラとなり形を形成する。それは、羽。それは、蹄。その移動、まるで天を駆けるかのように縦横無尽。その動き、まるで全てを見下し上からの重圧を受けず飛翔するかのように飛揚跋扈。蹄で空を踏みしめ宙を走る。その速度は、何より速い。
「清二、その姿は?!」
白羅が何かを言ったようだが、俺は、もう、既に動いていた。
――ザッ
床の大理石にヒビが入るほどの力で地面を蹴り、精霊の後ろに翔ける。精霊も反応できていない速度らしい。
「《全力解放》」
そして、《蒼天の覇者の剱》の中にある《殺戮の剱》を《全力解放》する。それによって、《蒼天の覇者の剱》が、振動し、対象を分子レベルに破壊しながら斬る剱となる。
「wh difine dark」
精霊が何かよく分からないことを呟いた。俺は、何かが起こる前に、奴の首を切り刎ねる。そして、精霊の首は落ちる、はずだった。
――キィイン!
それを止めたのは、闇色の何か。しかし、俺は、それをも突き斬る。
「ウオォラ!」
ズブッと言う鈍い音とともに、だくだくと紅い血が出る。相当深く刺したが、樋があるので、抜けなくなることは無い。そして、俺は、剱を抜く。すると、血だったものが、黒く固まりだす。そして、終いに、それは、龍の形となった。
「おいおい、ラスボスの外郭倒して中から本体って言うのは、俺はあんまり好きな設定じゃねェんだけど……」
「案ずるな。こちらは戦う気はない。ふん、自分が利用した者に腹を切られるとは、」
どうやら、俺の中の聖に気づいているらしい。
「本来なら、一撃で、貴様ごと屠るつもりだった。しかし、貴様は、今までのどの利用者とも違った。慈悲の塊だった。だから、刺されてやったのだ」
要するに聖の寛大さに負けたから、刺されてやったといっているのか。まあ、どうにか勝てたな。
「おい、利用者の兄よ。貴様は何と言う」
「青葉、清二」
俺の名乗りに、「なるほど」と言う。
「慈悲の塊は貴様もか。蒼き刃を持つ聖人は慈悲を持つ、か」
そう言って、龍の姿は黒い塵となって消えた。
さあ、階段を登ろう。




