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《覇》の古具使い  作者: 桃姫
終焉編
141/159

140話:地獄の塔

Scene清二

 塔の前にいる少女、いや、女性に見覚えがあった。頭にティアラをつけて、耳にはピアス、衣服はまるで姫のよう。だが、顔は間違いなく、鏡ヶ丘亞璃栖。

「待っていたわよ、青葉清二君」

「やあ、アリス。お前も来たのか」

俺の言葉にアリスは遠い目をしながら、

「私は、昔の約束を果たしに来ただけだよ。あの塔を破壊し、《夢見櫓》の効果を切る。それが私と無双、雪美との約束」

無双……。どこかで聞いた名前だ。そういえば、深紅さんと紅紗さんがその名前を出していた気がする。

「まさか、そこにいるのは、姫神か?」

車から声がする。いつもの派手な車に乗った深紅さんだった。

(ミー)ちゃん。何で……」

「お前がこんなところにいるなんて、まさか、あの人との約束を?」

ミーちゃんと言う呼び名に戸惑ったが、どうやら深紅さんとアリスは知り合いらしい。

「ああ、三ちゃんにあって気がついたわ。彼方会長は、貴方の姪なのね?そっちの金髪君は、無双の子孫?それに青葉君が《蒼天》の馬鹿の子孫ね?」

俺の先祖だけ馬鹿にしすぎだ。どんな人だったんだよ。

「まあ、《蒼天》の子孫だが、頭が切れる。まるであの人を思い起こすほどに。頭脳明晰でありながら、最強無敵。まさしく生き写しだ」

何だ?俺が無双って人に似ている?

「プッ、ククッ、ヤバイ。似すぎだ。思い出しただけでも笑えてきた。あいつの口癖を」

「口癖?それって、《これで、終わりよ》のこと」

何だ、普通の台詞じゃないか。

「そう、それだ。コイツが、白城をぶったおした時、まんま被ってさ」

え?俺そんなこと言ってたっけ?

「まあ、いいわ。そうね、無双の子孫。貴方には、《琥珀白狐》を貸してあげるわ。そっちの紅い娘は《緋王朱雀》を」

そう言って、アリスはどこからとも無く出した刀を二人に渡す。

「待ってください。それは、天月神社に収められていたはずですが?」

副会長が言う。まさか、辰祓が持っていたという刀なのか?

「ああ、あなた辰祓の娘?大丈夫よ。許可は取ってあるから。副会長の癖にお堅いわね」

アリスは、ブツブツいいながら、鎌を生み出す。

「さて、ここから先は、地獄よ。まあ、本来は天国の塔だったんだけど」

そして、地獄の塔への扉は開かれた。


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