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《覇》の古具使い  作者: 桃姫
終焉編
139/159

138話:止まる世界

 朝、俺は目を覚ました。しかし、どうにも外が暗い。カーテンを開けるが、空は暗い。雲が空を覆っている。だが、きっとそれだけではない。まだ、太陽が出ていない。部屋の時計に目をやる。時刻は二時三十分。丑三つ時。不吉なっていうか、不気味な時間に目を覚ましちまったもんだ。そう思いながら、外を見ようとし、異変に気づく。時計が止まっている。時計が壊れているということは無いだろう。夏休みに部屋が半壊したために、新しくなっている。新品同然の時計が止まるなんていうことは無い、と思いたい。よく凝らして外を見ると、鳥が宙に止まっている。完全な静止。

「時が、止まっている?!」

それだけじゃない。外で他におかしなものがある。学校の辺りだろうか。ものすごく大きな塔が見える。あれは、一体?

「青葉君!」

篠宮の声だ。よく見ると、俺の家の前に、会長、副会長、篠宮がいる。俺は、アーサーと白羅の様子を確認してみる。

「アーサー、白羅!」

「清二?何?」

「セイジ、どうかしたの?」

二人とも止まっていないようだ。

「ついてこい、説明は後だ」

俺は、二人を連れて、外へ出た。

「やっぱ、これは、異常現象だよな」

いきなりながら篠宮に聞く。

「え、あ、うん。そうだね」

ところが篠宮はどこか別の方を見ているようだった。会長と副会長もどうやらそのようだ。

「どうした?」

「あ、いや、アーサー君って」

「あ?私がどうかした?」

半寝ぼけ状態でアーサーが対応する。

「いや、なんていうのかしら?女、だったのね」

会長が唖然として語る。そういえば、生徒会メンバーといるときって基本男口調だったな。未だに男だと思われてたのか。

「まあ、それは置いておくとして、アレ、何かやばそうッスね」

俺は、塔を指して言う。

「おそらくあの塔の時計が古具ですわね。そして、他にも何かしらの仕掛けがあると思いますわ」

背後から煉巫の声がした。

「様子を見たところ、古具使いと聖剱使い、第六龍人種、第五鬼人種は、時が止まっていないようですわ」

「調べてくれたのか?」

「ええ、清二様のために全身全霊を尽くしてまいりました」

さて、つまりは、特殊な力を持った人間は時が止まっていない。それはわざとか?いや、違うだろう。あの塔、それが鍵になっている気がする。

「どう動くかな」

「まずは、塔に行って見なくては話にならないかもしれませんね」

副会長の言葉に、俺たちは、塔へと向かうことにした。


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