135話:ダリオス
煉巫は、言った。「《朱の》回復力」と。篠宮は、告げた。「《絆》の魔法」と。俺は、知っている。「《蒼き》力」を。それらは、全て、神なる力。《朱》、《絆》、《蒼》。それらは、神を象徴するもの。これは、終わりと始まりの概念の話。
「《蒼刻》」
「《朱天》」
「《絆》」
これらは特殊な力。ある時神になった三人の力。それが子孫に受け継がれ、そして、再び、輪廻の概念にまつわる《終焉》と戦うこととなる。
「篠宮が出会った爺さんは、一回殺されたと言ったんだな」
「うん、アーティファクトに一度殺された、と」
一度殺された。そして、神を殺す槍を持つ。それは、
「そいつは、まさか、」
「ダリオス・ヘンミー。魔堂王会会長。魔剱を集め、聖王教会を滅ぼし、今、世界を壊そうとしているやつらだ」
アーサーが告げた。いま、ここに居るのは、俺とアーサーと篠宮だ。
「世界を滅ぼすだぁ?」
流石に悪い冗談としか思えない。
「魔剱で今行方知れずは《炎を纏う剱》レヴァンティンだけ」
「もしかして紅色の剱かい?先ほどの話のダリオスと言う男が持っていたんだけど」
確かにレヴァンティンは紅色だった。
「そうか。魔堂王会の手に渡っている、か。これで魔剱、死古具、そして、聖剱が奴の元に揃うことになってしまった」
聖剱も?
「どういうことだよ、聖剱もって」
「聖王教会が襲われた際に、《慈悲の剱》は破壊され、|《龍滅の剱》《アスカロン》は奪われたんだ」
アスカロン、だと?あの龍滅の力を持った剱までも奪われたということは、
「ダリオスは今どこに居るんだ?」
「日本だ。日本のどこかにいることは分かっている。この日本のどこかで、何かを起こすつもりなんだ」
日本で行動を起こすつもりなのか。何てことだ。まあ、どこで起こそうが、世界が滅びるなら関係ないし、むしろ、日本で起こしてくれたら止めに行くのに時間がかからずありがたいのだが、その分、こちらの身が危険になるということでもある。




