134話:再会と謎
俺は、古具と死古具の違いについて考察したその日、商店街で偶然にも、鏡ヶ丘亞璃栖と再会した。新学期が始まった初日に休んだ彼女と会うとは思わなかった。彼女は休んでいる時もこうして商店街にいたのだろうか?
「オッス、アリス」
「ん?ああ、えっと、うちのクラスの青葉君、だったよね?」
彼女は、しどろもどろ俺の名を口にした。
「ああ、そうだ。つーか今日はどうしたんだ?」
俺は今日学校に来なかった理由を問うた。
「あはは、今日はちょっと」
笑って誤魔化そうとする彼女に、俺は、ただ一言。
「|《姫神来光》《プリンセス・オブ・ラクスヴァ》」
「?!」
彼女の反応は目に見て明らかだった。
「どこでそれを知ったの?」
低い声でそれを告げた。どうやら不死鳥の悪霊に操られた時の記憶は無いようだ。
「偶然な。俺には、それがどういった力かは詳しく知らない。ただ、名前は知っている状態だ」
「《ラクスヴァの姫神》、と言う意味の言葉。まあ、所詮、この世界には関係の無い話ですよ」
この世界には?そんな話をしていると、突如、黒い服の護衛と思われる男が現れた。
「アリス様。公務の時間でございます」
「あら、もうそんな時間かしら。ごめんなさいね、青葉君。また、会いましょう」
そして亞璃栖は、消えた。まるで、その場からかき消えるかのように。やはり謎の多い女だ。鏡ヶ丘亞璃栖、次に会ったらもう少し詳しい話が聞きたいのだが……




