128話:突然の襲撃者
僕は、二人とは別行動で事件現場周辺を当たっていた。
「ここにも目ぼしいものはない、か」
しかし、どれだけ探しても手がかりらしいものは見当たらない。
「何かないかな?」
誰にとも言えない問いかけ。
「え、あれって、」
僕は見てしまった。初老の男が、紅色の禍々しい剱を持っていくのを。あれは、何故か、直感的に、《魔剱》であることが分かる。何故なら、それは、
「ほぉう、アーティファクターか」
男が僕を見て告げた。見ただけで、分かるのか?
「|《刻天滅具》《ジ・エンド》」
男の手に禍々しい《槍》が現れる。あれは、死古具。青葉君と同じ、覇の古具だ。
「危険きわまりないな、アーティファクターは。何せ、ワシを一度殺しているのだから……」
一度殺している?
「死んでもらおう」
いつの間にか槍が眼前まで近づいている。
「|《魔王の襲来》《サタン・ドライブ》!」
咄嗟に鎧を出して身体を庇う。が、槍は、鎧をすり抜けて、僕の左肩を貫く。
「この槍は、神を殺すためのもの。つまり、神の力であるアーティファクトはこの力の前では、何の効果も示さない」
「そんなことが、」
神の力である古具が何の効果も示さない、だって?
「蒼き神の力以外を持っていたらよかったのにな、東方のアーティファクターよ」
そして、再び槍が迫った。その刹那、時が止まった。僕の身体も動かない。ただ、思考はできる。そして、声が聞こえた。
――はぁ、ったく、それでもあんたは、《シノミヤ》の血を継ぐものなの?
またか。龍神の時の「『――』を名に持つもの以外この本を読むことを禁ずる」のとき読めたということは、消えて読めなかったのは《シノミヤ》だというのが分かる。だから、また、この篠宮と言う名前に何かあるのか?そして、昔の伝記を書き記したのは、一体。
――あんたは、《蒼天》の馬鹿の力しか使わないからあんな屑槍に苦戦するのよ
屑槍って、まるで青葉君のような物言いだが、声は女性だ。
――教えてやるわよ、篠宮と言うのがなんなのか。そして、記憶の因果へと招待するわ!




