126話:魔剱―新学期―
新学期。慌しかった夏休みがようやく終わり、学校が始まった。気がかりは、白羅とアーサーと俺で喧嘩している間に姿を晦ました朱野宮煉巫だ。彼女は、気がかりなことが多い。しかし、まあ、もう会うこともないだろう。そんなことを考えながら教室に入ると、ざわつきが支配していた。
「よお、青葉、久しぶりじゃねぇか」
高木が寄ってくる。
「おう、おはよう高木」
軽い挨拶をかわして、席につく。
「また転校生だってな。やっぱ多いよな~この学校」
また、編入生が来るのかよ。ああ、多いね。ソレよりも疲れてるんだよ。夏休みそうそうの天龍寺家の事件、立原家の一件、魔剱。そのぞれぞれが疲労を思い起こさせ気だるい。
「眠ぃ」
俺は、しばらく寝ることにした。
俺は、凄まじい声によって叩き起こされた。一体何事だと顔を上げる。いつものホームルームの風景だが、黒板の前にあう女性が立っていて俺は、目を完全に覚ました。
「はじめまして、私は、朱野宮煉巫と申しますわ」
スカートの裾を持ち上げて挨拶をする。まるで姫のように。
「そして、この再会を喜びたいと思いますわ。清二様」
俺のほうを向いて艶美に微笑む。二度三度と瞬きをするが、黒板の前にいる女性の姿は消えない。夢じゃない。頬が引きつる。
「よ、よう煉巫」
引きつった笑顔で返事をする。
「お、お~い青葉。青葉君。キミは一体何人女を作る気かな~」
高木の言葉に教室がざわつく。そして、若干二名、今にも襲い掛かってきそうだが。そういう意味での恐怖に身体が震える。
「そこのお二人さん。私の清二様に手を出すようなら消し屑にしますわよ」
煉巫が挑発紛いのことを言う。
「あ“?もういっぺん言ってみなさい、火達磨女」
「何度でも言いますわ。私の清二様に手を出すようなら消し屑にしますわよ」
もう一度煉巫が口にする。
「私の清二様?清二は私のもよ勘違い女」
白羅の言葉。
「私のものですわ。キスまでした仲ですもの。お分かりですか?氷娘さん」
煉巫の言葉に教室中がざわつく。
「何、やるの?」
「そちらこそやる気ですか?」
お互いに冷気と熱気を迸らせる。
嗚呼、何か面倒なことになりそうだ。




