121話:魔剱―真なる《蒼刻》―
Scene清二
俺は、《聖覇にして殺戮切断の剱》で《無限伸縮の剱》を破壊した。しかし、マルクスは、
「|《浸蝕の大地》《アース・イロージョン》!」
古具を使った。地面が歪む。いや、崩壊する。
「沈め、大地の果てに!」
面白い。
「ハハハハハハハッハハ!」
笑いながら、地面を切断する。奴が、地面から手を離した瞬間、地面は元に戻る。つまり、奴を伝って、地面を浸蝕する能力……いや、奴が手に持っている球体が地面に触れている間、か。
「《蒼き力》よ!」
俺は、《蒼天の覇者の剱》を生み出す。
「切り裂け!」
奴の前の地面を斬る。そして、奴の喉元に切っ先を向ける。
「地面ががら空きだぜ!!!」
マルクスの反撃。そして、俺の脚が地面に挟まれる。妙な感覚がする。
「コイツは、テメェそのものも浸蝕していくぜ!!」
なるほど、これは、まずい。だが、俺の昂揚は、今、最高潮に達している。そして、それをも越えた。そのとき、俺は、静けさを取り戻す。
「ハッ、浸蝕されて、何も言えなくなったか?」
身体の奥底にある、《蒼い力》が目醒める。そう、《蒼き力》は、風や剱に付与するだけじゃない。本来の力がある。それは、
「な、何だ。何だよ、そりゃ!髪も目も、青く染まってやがる!それに、オーラ……。オーラが見える?!」
そう、それは、《蒼刻》。己の魂にある《蒼き力》を全身に纏う。その影響で、髪と瞳も《蒼色》に染まる。これが、本来の《蒼刻》だ。
「消えろ」
俺は、地面に埋まった足を力だけで引き抜き、力任せにマルクスを殴る。
――ベゴン!ベキッ!
マルクスは、吹っ飛んだ先にあった木ごとぶっ飛ぶ。まったく長い戦いだった。




