116話:魔剱―双子の急襲者達―
剱同士がぶつかり、閃光が走る。
「グオッ」
そして、バライドによく似た青年は、吹き飛んだ。
「テメェ、どうして、俺がここに居ると分かった?!」
バライドに似た青年が吠える。
「ただ予め察知していただけだ」
俺は、死の風を放ち、敵の位置と数を先に割り出していたのだ。
「マリクス、大丈夫か?」
バライドが青年に呼びかけた。マリクスと呼ばれた青年は、
「大丈夫だ、アニキ」
どうやら、二人は兄弟らしい。一卵性双生児と言うやつだろう。マリクスの持つ剱は、おそらく、俺のデュランダルを受けたときと今で形状が少し変化したりしていることから、自由に伸び縮みするといわれる《カラドボルグ》じゃないかと思われる。アルスター伝説の英雄が持っていたとされる剱、《カラドボルグ》。その意味は、「硬い稲妻」を示し、その意味どおり、稲妻の如くどこまでも伸縮し、とても硬質な剱である。
「貫け、デュランダル!」
俺は、剱を前に突き出す。それをその場から剱を伸ばしてマリクスは凌いだ。間違いない。あれは、《カラドボルグ》!
「《カラドボルグ》。《無限伸縮の剱》ってとこか?」
「へぇ、歩く図書館君は、まさに図書館。知識が湧いてでやがるな」
バライドが俺をほめる。
「行くぜ、アーサー、遅れを取るなよ!」
「分かってるよ!」
俺もアーサーも二刀流の構えを取る。アーサーはなれているのだろうが、俺は、最近、二本の剱を手に戦うことをあまりしなかったから少し手に負担を感じる。しかし、白羅との訓練のおかげで慣れた感覚があるので大分平気だ。
「おい、アーサー!白羅の奴は?」
「今、いったん帰郷中だ。だが、もう戻ってくるだろう!」
「チッ、二対二かよ」
これは、厳しいかもしれない。今から生徒会メンバーを呼んでも招集できないだろう。ここは、俺とアーサーで乗り切るしかないのか?




