115話:魔剱―現れた襲撃者―
俺は、夏休みももうじき終わるこの時期の夜中、アーサーにたたき起こされた。
「おい、セイジ!起きろ!」
「なんだよ?」
俺は、まどろむ思考の中で、何とか言葉を紡ぐ。
「寝惚けてる場合じゃねぇ!聖王教会が潰された!」
潰された。潰されたね~。……潰された?!
「おい、どうゆうことだ!」
「魔堂王会の奴等が、潰しに来た!だが、俺らは三人。向こうは四人で攻めてきやがった」
三人、トリスタン、ガウェイン、ゲオルギウスの三人だろう。
「それで奴等は、今、日本に向かっているらしい。狙いは、聖剱使い。つまりオレとお前だ」
な、何?
「どうするんだよ!」
「とりあえず、奴等を迎えぅ……」
その「迎え撃つ」と言う言葉は、発せられなかった。
「はじめまして」
その声は、窓の方からした。
「我々は、魔堂王会。そして私は、魔堂王会筆頭騎士、バライド・ルークだ」
そう、そして、奴の手中にある剱。圧倒的な怒気を見せるあれは、
「《怒りの剱》……グラムか」
俺の声に、バライドは、笑う。
「ほう、俺の剱を知るか。貴様は、何だ」
俺は、名乗る気はない。
「通称、歩く図書館だよ」
「ほう、その博識具合、なるほど、言えて妙だ。よろしく、歩く図書館君」
本気で受け取られてしまった。冗談のつもりだったんだが。
「そちらは、アーサー・ペンドラゴンで間違いないか?君の持つ三本の聖剣を渡して欲しい」
「渡すか、ヴァーカ!」
聖剱は、渡せない。
「やるぞ、セイジ」
「へいへい」
俺は、デュランダルを抜き放ち、そのまま、バライドとは逆の方を凪いだ。




