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112話:お気に入り
パーティーにて、俺と副会長と会長の三人で食事をしていた。
「それにしても、俺が呼ばれても本当場違いって感じッスね」
「そんなことないですよ」
「うん、そんなことないよ」
俺の言葉に二人ともすぐに言葉を返す。
「青葉君。私の母と顔見知りのようですがそれについては?」
副会長からの質問。
「ええ、こないだ、拉致されました」
普通の口調でありのままを告げる。
「ら、拉致?」
「ああ、拉致ですか。母ならやりかねませんね」
娘にすらこう思われている舞子氏って。
「なるほど、つまりは、母に、私との関係を聞かれましたね」
「ええ」
俺の答えに会長が、
「え、あれって、芝居だったんでしょ?」
「ええ、ですから、それを告げました」
俺が魚料理を食べながら言う。
「え、私はてっきり話をあわせて誤魔化したものかと」
舞子氏から話を聞いてないのか。
「今頃、嘘とばれていたら、社会的に抹殺されていてもおかしくないはずですから」
おいおい、マジで。やっぱり、あの人そんなことするんだ。
「おそらく気に入られたのでしょう。あの気難しい母がきに言った人間は、一握りしかいないのに、流石は青葉君ですね」




