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《覇》の古具使い  作者: 桃姫
美園編―間話―
109/159

108話:生徒会

 その後。臨時生徒会にて。


「おはようございま~す」

「おはよう、青葉君」

篠宮が声をかけてきた。他の二人は見当たらない。

「会長と副会長は?」

「二人ともまだだね」

「そうか」

俺は、篠宮と一緒に資料整理をして時間を潰した。


 三十分ほどして、

「オハヨ~」

会長が入ってきた。

「随分と遅かったッスね」

「すみません、遅れました」

会長が入ってきてから間もなく副会長も入ってきた。

「会長、遅れた理由は?」

「秋世が『清二さんは、いつ家に来てくださるの?』って連日連夜しつこいせい」

秋世は、随分と俺を気に入っているようだ。子供に好かれるのだろうか?

「み、副会長は?」

危うく、昨日の(日付で言う今日だが)ノリで思わず美園と呼びそうになってしまった。

「ホテルの盗聴器とカメラの回収を手伝ってたから、遅れてしまったわ」

あっけらかんと告げた。しかもいつもと異なる口調で。

「え“、美園?盗聴器、カメラ?」

「そう言ったものを父が昨日ホテルに仕掛けていまして、回収していました」

いつもの口調で告げる。

「ちょっ!それって犯罪じゃ」

「みてみますか?」

ゴクリと息を呑む会長。

「ちょっと、流してみて」

「え、ちょっと」

俺が制止する前に再生を押す。

『流石に、その格好ででてくるのは止めろよ』

『いいじゃない。この後どうせ、』

『美園。今日はやめにしよう』

『あら、何で?』

『少し、疲れてるんだ。こんなんじゃ、楽しめないだろ?』

『そう、残念』

そう言った音声が流れる。そして、副会長が俺のほうを向いて「てへぺろ」ってする。可愛い。無駄に可愛い。だが、

「ちょっ、何再生してるんですか?!」

「美園って、自分の実体験のビデオじゃない!……てあれ、今の声聞いたことあるような。映像をもっちょと拡大できない?」

会長が無駄に食いつく。どうやら普段の口調のせいで、俺とは簡単に特定できなかったようだ。

「今の声って、青葉君、じゃないよね?」

篠宮が無駄に鋭いことを言ってくる。

「ええ~、そんなわけないじゃない。ねえ、清二君」

「え、エエ、ソウデスネ」

無駄に棒読みになってしまった。

「では、もう一度、」

副会長が再生を押す。

『流石に、その格好ででてくるのは止めろよ』

『いいじゃない。この後どうせ、』

『美園。今日はやめにしよう』

『あら、何で?』

『少し、疲れてるんだ。こんなんじゃ、楽しめないだろ?』

『そう、残念』

シーンとする室内。

「ねえ、清二君?」

「いえ、あのですね、会長、」

「清二君?嘘はダメよ」

「いえ、ですから、」

俺がどうにか誤魔化そうとするも

「つまりは、昨日、私と彼は、一晩を共にしたということです」

頭の中に、ゲームオーバーと言う文字が流れる。

「なっ、ちょっ、不純異性交遊は、ダメって夏休みのしおりに書いてあるでしょ!」

「はい、そうですね」

そうですねって、まあ、

「ですが、私は一晩を共にしたと言っただけで、不純異性交遊などは、していませんが?」

「はい?」

会長が驚いたような声を上げた。

「私は、確かに、青葉君と一晩を過ごしましたが、ただ、それだけですよ?それが何か問題ですか?」

「え、いや、その」

「まあ、その事情を説明します」


 そうして、数分の副会長の説明が終わり、

「だったら、そうと、早く言いなさいよ!」

と言う会長の叫び声が響いたのだった。

「いえ、会長をからかうのも楽しいんじゃないかなぁと、思いまして」

「み~その!」

「と青葉君が」

「は?」

突如、矛先が俺に向けられる。

「清二君!」

「いや、だから、俺は言ってませんって」

「嘘つかないの!」

結局、何の罪もない俺が怒られた。


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