108話:生徒会
その後。臨時生徒会にて。
「おはようございま~す」
「おはよう、青葉君」
篠宮が声をかけてきた。他の二人は見当たらない。
「会長と副会長は?」
「二人ともまだだね」
「そうか」
俺は、篠宮と一緒に資料整理をして時間を潰した。
三十分ほどして、
「オハヨ~」
会長が入ってきた。
「随分と遅かったッスね」
「すみません、遅れました」
会長が入ってきてから間もなく副会長も入ってきた。
「会長、遅れた理由は?」
「秋世が『清二さんは、いつ家に来てくださるの?』って連日連夜しつこいせい」
秋世は、随分と俺を気に入っているようだ。子供に好かれるのだろうか?
「み、副会長は?」
危うく、昨日の(日付で言う今日だが)ノリで思わず美園と呼びそうになってしまった。
「ホテルの盗聴器とカメラの回収を手伝ってたから、遅れてしまったわ」
あっけらかんと告げた。しかもいつもと異なる口調で。
「え“、美園?盗聴器、カメラ?」
「そう言ったものを父が昨日ホテルに仕掛けていまして、回収していました」
いつもの口調で告げる。
「ちょっ!それって犯罪じゃ」
「みてみますか?」
ゴクリと息を呑む会長。
「ちょっと、流してみて」
「え、ちょっと」
俺が制止する前に再生を押す。
『流石に、その格好ででてくるのは止めろよ』
『いいじゃない。この後どうせ、』
『美園。今日はやめにしよう』
『あら、何で?』
『少し、疲れてるんだ。こんなんじゃ、楽しめないだろ?』
『そう、残念』
そう言った音声が流れる。そして、副会長が俺のほうを向いて「てへぺろ」ってする。可愛い。無駄に可愛い。だが、
「ちょっ、何再生してるんですか?!」
「美園って、自分の実体験のビデオじゃない!……てあれ、今の声聞いたことあるような。映像をもっちょと拡大できない?」
会長が無駄に食いつく。どうやら普段の口調のせいで、俺とは簡単に特定できなかったようだ。
「今の声って、青葉君、じゃないよね?」
篠宮が無駄に鋭いことを言ってくる。
「ええ~、そんなわけないじゃない。ねえ、清二君」
「え、エエ、ソウデスネ」
無駄に棒読みになってしまった。
「では、もう一度、」
副会長が再生を押す。
『流石に、その格好ででてくるのは止めろよ』
『いいじゃない。この後どうせ、』
『美園。今日はやめにしよう』
『あら、何で?』
『少し、疲れてるんだ。こんなんじゃ、楽しめないだろ?』
『そう、残念』
シーンとする室内。
「ねえ、清二君?」
「いえ、あのですね、会長、」
「清二君?嘘はダメよ」
「いえ、ですから、」
俺がどうにか誤魔化そうとするも
「つまりは、昨日、私と彼は、一晩を共にしたということです」
頭の中に、ゲームオーバーと言う文字が流れる。
「なっ、ちょっ、不純異性交遊は、ダメって夏休みのしおりに書いてあるでしょ!」
「はい、そうですね」
そうですねって、まあ、
「ですが、私は一晩を共にしたと言っただけで、不純異性交遊などは、していませんが?」
「はい?」
会長が驚いたような声を上げた。
「私は、確かに、青葉君と一晩を過ごしましたが、ただ、それだけですよ?それが何か問題ですか?」
「え、いや、その」
「まあ、その事情を説明します」
そうして、数分の副会長の説明が終わり、
「だったら、そうと、早く言いなさいよ!」
と言う会長の叫び声が響いたのだった。
「いえ、会長をからかうのも楽しいんじゃないかなぁと、思いまして」
「み~その!」
「と青葉君が」
「は?」
突如、矛先が俺に向けられる。
「清二君!」
「いや、だから、俺は言ってませんって」
「嘘つかないの!」
結局、何の罪もない俺が怒られた。




