表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《覇》の古具使い  作者: 桃姫
彼方編
101/159

100話:人を見定める

Scene秋世

 私は、人を見る目と言うものを人並以上に持っていると思っています。それは、嘘ではないはず。何故ならば、私を含めて、秋文君もあの姉さんも、人並み以上にパーティーに参加させられ、いやと言うほど、色んな人を見ていたからです。私たちを利用する人、私に惹かれてくる人。様々な人を見たけれど、全てが、心に闇を、悪意を持っていた。しかし、一昨日出逢ったあの人は、眩いほどの善意しか持ち合わせていない人でした。私のことを美しいと感じている感情も悪意ではなく善意。見た目も格好いいと思う。でも、決してそれだけではなく、私の心を照らしてくれるあの人の、見た目にも中身にも心を奪われている。それが自分でも分かってしまっている。それがたまらなくもどかしい。


 そして、朝、登校すると、いつも、私は、孤高だった。誰からも話しかけられなかったのに、今日は、ある女子生徒が寄ってきた。

「ねえ、天龍寺さん!昨日のあの人って誰なの?」

その質問を皆が聞きたがっていたかのように、皆頷く。

「あの人は、私の護衛なの。名前は、青葉清二さん」

皆が「そうなんだ~」と返事をする。

「護衛ってさ、すごい人なんだよな」

男子生徒も話に雑じってくる。

「ええ、凄く強い人ですよ」

「マジか……。もしかしてフミのゆってたすげぇ人ってその人?」

フミとは秋文君のことだろう。秋文君もあの姉さんも社交性に長けていて、すぐに人と仲良くなれてしまう。私は、友達一人作ることが出来ないのだ。いや、作らないという方が正確かもしれません。友達などと言う、自分を裏切ることがある存在を近くに置きたくないのだ。でも、それが本心かどうか、それは、私がよく知っている。私は恐かったのだ。他人と言う、考えていることの分からない存在が。

「た、たぶん。そうです」

この日、私は、あの人のおかげで、多くのクラスメイトと会話した。それは、きっと、あの人と言う他人でも、考えていることが分からない他人でも、一緒にいたいと思うことがあると教えてもらったから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ