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書籍化【完結】私だけが知らない  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
本編

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95/145

95.無条件で肯定され安心したかった

「扉を守っております」


 お父様ではなく、フェルナン卿が口を開いた。状況が理解できない私に説明したのは、お父様だ。


「フェルナン卿は、俺の義兄上に当たる」


「……え?」


 驚き過ぎて言葉が喉に詰まった。だってフェルナン卿って若く見えるわ。伯母様も同じだけど……でも。


「立ち聞きをするような性質の悪い奴がいるのか」


「いないと思いたいですが、ここはまだ併合したばかりで他国も同然ですから」


 お祖父様とフェルナン卿はそのまま会話を続け、私は置き去りにされた。苦笑いしたクラリーチェ様の説明によれば、年齢差は八歳だとか。お祖父様の戦の後始末をしている間に婚期を逃し、慌てて結婚したのが彼だった。惚れたのはフェルナン卿で、口説いて断られ四回目にして許可を頂いたと。


「情熱的でしたのね」


「今でも情熱的なつもりです」


 くすくす笑うクラリーチェ様とフェルナン卿。仲睦まじい様子に、そういえば主従の距離感ではなかったと思い至る。親しげな口の利き方や、クラリーチェ様に向ける優しい眼差しも。夫婦だと知れば納得できた。


 お父様とお母様の年齢差が十歳だから……そう考えると、ロベルディの王族は歳の差夫婦が多いのかしら。ちらりと視線を向けた先で、お祖父様は察した様子で首を縦に振った。


「わしと妻は十二ほど離れておった」


 後妻にもらうくらいの年齢差だわ。戦場を駆け巡り、ふと我に返った。そこから跡取り問題に取り組んだので、結婚が遅かったらしい。同年代のご令嬢がおらず、年下から探したと聞いて納得した。貴族令嬢の適齢期は短いから、同年代は既婚だったのね。


「それよりアリーの問題だ。裁きはすべて終わったのか?」


 尋ねられ、私は父の顔を見つめる。まだ残っているけれど、口にしていいか。判断がつかない。お祖父様がどんな行動に出るか、記憶がない私には想像できなかった。


「まだ数名残っております」


 お父様は丁寧な口調で答える。ドゥラン侯爵家を始めとして、私やフロレンティーノ公爵家に敵対した貴族がまだ残っていた。


「なるほど、小物であっても取りこぼせば後の禍となる。きっちり討ち取ってやろう」


 大仰な言い回しに、きょとんとした。獅子は仔兎どころか、蟻を踏み潰すにも全力なの? フェリノス王家という後ろ盾を失い、貴族の大半を敵に回した。その上ロベルディの女王である伯母様に睨まれ……最後は征服王の侵略を受けるなんて。


 ふふっと笑う。漏れた笑みに、お祖父様の表情が和らいだ。


「それでよい。アリーは笑っておれ。アリッシア以上に幸せになってもらわねば、次の世で顔向けできん」


 伸ばした指先が、千切れた銀髪に触れる。それから頬へ指背を這わせた。その優しさと温かさに、意図せず涙が落ちる。頬を滑った感触に、自分で驚いた。


「よい。それでよい」


 頭を引き寄せ、優しく包まれる。お父様のような体格ではないのに、不思議と大きく感じた。淑女らしくないけれど、数滴の涙が乾くまで、お祖父様の胸を借りる。優しく穏やかな時間だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  わーおそっちかい。  そりゃ色々と‥‥‥こう、何か‥‥‥。  ノーコメントでw [一言]  だって迂闊なこと言うと知らない内に不幸な状況になってそうなのだものw  おー怖い怖い。
[一言] えっ、アリーチェ的にはそれでOKなんですか? 雑に裁かれそうなんですけど……。
[良い点] フェルナン様、まさかの王の伴侶だったきゅヾ(≧∀≦*)ノ〃 男装の女王様、女装のフェルナン様を想像しました(*≧ω≦) 美男美女は服を変えてもオッケーヾ(≧∀≦*)ノ〃 [一言] 小人も猫…
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