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書籍化【完結】私だけが知らない  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
本編

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78/145

78.一度に裁ききれないので分割しました

 罪が多過ぎて、この場で一度に裁けない。それが女王陛下の決断だった。王宮内の幽閉用の塔へ入れ、回復したら次の罪を裁く。それを繰り返すと宣言した。この場で反対する貴族はいない。一歩間違えば国が消滅する危機だったのだから。


「婚約者への暴行や婚約破棄に伴う毒殺未遂は、ロベルディ王族への侮辱と暗殺に該当する。これは死罪だったな。先に他の罪を償ってもらおう。子爵令嬢を襲撃するよう指示した件は、この者が愛する女に対して罰を与えよう」


 まだ痛みに呻いて何も言えないフリアンを気にする様子は、クラリーチェ様にない。ブエノ子爵が一歩進み出て、静かに頭を下げた。娘を殺された怒りと悲しみを乗り越えようとする彼に対し、最大限の配慮を見せた形だろう。この男の命を奪うのは最後、それまで悲しみを抱えて生きよと命じたのだ。


 生き甲斐があれば、ブエノ子爵も立ち直れる。そう考えたのかしら。


「まだ横領やライサネン王国への干渉の罰もある」


 ライサネン王国は砂漠の国だ。あちらでは神に人を生贄として捧げる風習が残っていた。人の眼球や心臓は、生贄の儀式が残る国にとって価値が高い。それが罪人でも同じだった。いずれはバラバラにして売られ、賠償金になるかもしれない。そう気づいても、一切の同情はなかった。


 横領されたお金は民が必死に働いて納めた税よ。それを正当に振り分けられた目的に使わず、自分の享楽のために掠め取るだなんて、最低の執政者だった。いいえ、執政者ではなくただの泥棒だわ。


「これは下げよ」


 人扱いしない女王陛下の指示で、フリアンは幽閉の塔へ連れていかれる。かつての整った顔は見る影もない。そのくらいしか取り柄がないのに。


「次はどれだ?」


「オレガリオ、にいたしましょうか」


 フェルナン卿がお伺いを立て、女王の顔で伯母様が頷く。引きずられて来た元国王は、破れた服を纏う酷い状態だった。運んできた騎士達の制服に皺があるのは、格闘した証みたい。引っ張って皺を伸ばし、姿勢を正して女王陛下に挨拶をする。その足元に転がるのは、両手両足を縛られた芋虫だった。


 蓄えた立派な髭は絡まり、やや白髪まじりの金髪は艶もない。ぼさぼさの髪に真っ赤な顔、高価そうな服は破れてボロ布だ。これを見て、元国王だと思う人はいないでしょうね。猿轡を噛みしめ唸る姿は、野良犬のようだった。


「ふむ、これは罪を自覚させたら持ち帰ろう」


 思わぬ発言に、貴族派が首を傾げる。しかしお父様は眉を寄せ、声をかけた。


「先王陛下への土産、でしょうか?」


「近いが、少し違うぞ。これは父上への褒美だ。私に出し抜かれたとはいえ、大人しく国を守ってくれている。あの父上がだぞ? 褒美のひとつも用意せねば、どこかの国が滅ぼされかねん」


 思ったより切実な理由でした。お父様は納得した様子で大きく頷いています。覚えておりませんが、お祖父様はそんなに危険な方なのでしょうか。


「私が帰国すれば、もう止められない。すぐにアリーチェの元へ向かうだろう。それを遅らせるための生贄とも言えるが」


 クラリーチェ様は苦笑いして、繋いだ手にもう片方の手を重ねた。私の手の甲を撫でながら、そっと秘策をひとつ。


「父上はアリッシアの涙に弱かった。危険を感じたら泣き落としが効くぞ」


 ふっと笑う伯母様に、私は破顔した。


「ええ、ぜひ使わせていただきますわ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「国王→お土産→生物?」 ヾ(≧∀≦*)ノ〃お土産きゃ どう調理されるか先代国王様の腕に期待値大( ・`ω・´) [一言] スライムは再生するから食べ放題きゅ。 ちなみにマスカット味…
[良い点]  暴れるジジイなんぞ一発ぶん殴れば大人しくなるだろうに女王陛下の裁きでもないのにかすり傷ひとつ負わせないという姿勢で連れてくる騎士達に本物の忠誠を見た。 [一言]  元王子をたらしこんだク…
[一言] >「ふむ、これは罪を自覚させたら持ち帰ろう」 自覚しますかね~? このクソ元国王は。 これから受ける痛みに対してだけなら自覚するでしょうけどねσ(^_^;
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