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ネガティブ錬金術師の二重生活(改訂版)  作者: 八(八月八)
第一章 ネガティブ錬金術師、女商人になる

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レシピ10 ネガティブ錬金術師と錬金道具屋

 なぜかギルドマスター2人と冒険者と共に歩くアスノヴノーイの街散策。

 さすがこの町で育った冒険者と町の顔ギルドマスターと言うべきか、彼らは確かにこの町に詳しく、長けていた。安くて新鮮な露店、種類の豊富なスパイス店、店主の人柄の良い肉屋。オレが小さくて痩せてるからと肉をサービスしてくれた。

 マジックバッグのおかげで、鮮度や重さで順番を気にして買い物しなきゃいけない事も無く、実に快適なショッピングであった。

時折勃発する赤毛の暴走とイーサンさんの冷徹な物言い、そして多数の町人からの挨拶などが無ければ。


 大体の買い物も終わり、気疲れに息を吐いて視線を上げた時、ふと、ある店が目に入った。

情景的には海外の絵ハガキなんかにありそうだったが、その店だけ何だか異質な感じがした。

小さな店で、ひっそりとしているのに、何故か気になる。手作りっぽい木の看板が掛かっているが、読めない。


「あの店が、気になるか?」

 いつの間にか背後に立っていたイーサンさんがポツリと尋ねてきた。

 気になるかと聞かれれば、確かに気になる。何を売っているのだろう?

「そうか……行くぞ」

 そう言うなり、イーサンさんはオレの返事も待たずに腕を掴んで店に入った。後ろから赤毛とお肉サマの慌てた声が聞こえる。


 店内は薄暗く散らかっていた。

 いや、商品が多すぎてそう見えるだけかもしれない。

 所狭しと置かれ、積み上げられた謎のアイテム達。すごく既視感を感じる。

そうだ、ここは”あの家”にとても似ている。


「おや、お客さんかね?」

 謎の箱の後ろから顔を出したのは、よぼよぼの小さなおばあさんだった。

「ここは錬金術の為の道具や素材の店だよ。あんた達に必要な物があるかねぇ?」

 やっぱりそうか。どうりで見覚えがある物が多くて、落ち着くと思った。


「おう、カラばぁ。久しぶりだな!」

「おや、アガト坊やじゃないかい!

 相変わらず大きな声と体だこと。あんたはすぐ物を壊すから店にはあまり入らないどくれ」

 お肉サマとは知り合いらしい。と言うか、お肉サマは町中の人と知り合いな気がする。ここに来るまでも話しかけられたのは8割お肉サマだ。

 お肉サマと店のばあさんの世間話は置いておいて、店内を見渡す。

 そうだ、家の秤の紐が切れそうだったんだ。新しいのを買おう。あと、回復薬作らなきゃいけないなら、その素材の薬草もいくつか……。

「買うのか」

 人の内面まで見通すような視線で、イーサンさんが問いかけてくる。その目に見つめられると、なぜかソワソワしてしまう。あれかな。蛇に睨まれてる気分になるからかな。

イーサンさんの目、本当に蛇に似てるし。


「あ、た、頼まれてたの。錬金術師に。思い出して……」

「錬金術師の奴、本当に外に出ないんだなー」

 空気を読まない赤毛が感心しているのに適当に頷いて、イーサンさんの目から逃げる様に店のおばあちゃんの所に会計に行った。


「おやまぁ。あんたみたいな女の子がこんな高価な秤を使うのかい!」

 使うのはオレでは無いと否定しつつ、代金を払う。

 ちなみに、秤が銀貨7枚、薬草10束が銅貨8枚だった。錬金術の道具って高い。

 おばあちゃんからお釣りを受け取るときに視線を上げると、おばあちゃんの後ろにある“眼”と目が合ってギョッとして、お釣りを取りこぼしそうになった。


「――あぁ、アレは”真実の眼”の模倣アイテムさ」

 おばあちゃんの背後の壁に吊るされた、一対の目玉。

目玉だけが宙に浮いてるのを想像してみてほしい。しかも薄暗い部屋で。めちゃくちゃ怖いから。

「―――しんじつの、め……?」

「嘘を見透かす特別な眼の事さ。正確には、【スキル】だね」

 スキル。聞いた事があるぞ。

 魔法とかとは違う、特技みたいなやつだ確か。

「”真実の眼”は真実を見透かす稀少固有スキルだがね、コレは3回だけ嘘に反応するアイテムさ。買うかい?」

 嘘を見破れるアイテムかー……。

 うーん…………

「いらない」


「いらないのか?」

 イーサンさんが訊く。この人すごく質問が多い。オレに対して何か疑いがあるのかな。そんなに欲しいなら自分で買えばいいのに。

「いらない、です」

 とりあえず、イーサンさんにも答えておく。

人の嘘など見破った所で、何も良い事など無いじゃないか。

 嘘を吐くという事は、それ相応の理由がある訳で。そちらを知る事によって、もっと酷い事になったり、心が傷付く可能性もある。それを考えれば考える程、オレは怖い。

だから世界は嘘でまみれていると思っているし、それで成り立っていると思う様にしてる。隠している事を暴くと、どうせろくでもない事が起こるのだ。

特にオレみたいなダメ人間は、すぐに墓穴を掘るからな。極力人の事情には突っ込まない様にしなければ。


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