表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/103

その90.敵討ち





 大勢の生徒会に終われ道を塞がれ、進むのを苦戦していた。

 すると、突然生徒会達は合図を受けたように去っていった。

 ワケが解らなかったが取り合えず先を急いだ。

 先に居たのは。

 アタシには理解に苦しむ光景だった。


 抑えられている兄貴。


 運び出されているアレは、へーじ?

 遠くからだと言う事と人が多くて良く見えない。

 でもあまりへーじだとは考えたくないな。

 チラッと見えただけなのだが、顔中が腫れ上がり、酷くボロボロだ。

 正直腫れが酷くてへーじだと特定は出来ない。


 でも、多分へーじ。



「退けよ! 退けェェェェェェェェ!!!」 

 大勢の大人達に抑えられながらも激しく叫び声を挙げている兄貴。


 その様子はまるで、兄貴がへーじに手を掛け、それを大人達が止めたように見える。


 本当に? あの兄貴が? へーじに絶大の信頼を寄せていた兄貴が?


 兄貴はバカだけど、友達やアタシ以外の女性に手を挙げるような人間ではない。

 しかし。

 血走った瞳で怒りの声を挙げる兄貴の姿は誰が見ても悪い方にしか捉えられないだろう。


 『作られたかのような現状』





 取り合えずアタシはロザリオの事も忘れ、運ばれていくへーじの方に進んだ。

 教師達が止める事も無くすんなりとへーじの近くまで来れた。

  


「……」


 そのボロボロの姿はやはりへーじで。

 だけど、やっぱりへーじだと思いたくなかった。


 目に映ったのはその表情。

 銀行の時も、へーじはこんな風にボロボロだった。

 だけど、こんな表情はしていなかった。

 アタシの知っているへーじは。

 どんな状況でも。

 絶対に心が折れる事は無い。

 何処までも愚痴ばっか溢しながら、一生懸命なんだ。

 気絶していても、こんな表情はしない。

 半開きになった目は死人の様な……。

 その表情にゾッとする。

 あまりにも生気の無い表情。





 隠してたのはコレか?

 生徒会の奴等がアタシを来させたくなかったのは、へーじを痛めつける為の時間稼ぎか?

 生徒会室の近くで。

 生徒会の奴等が止めて。

 それで? 誰がやった? そんなの解っている事だろう。


「生徒がこんな所で何をしている、この子の友達か?」


 教師の一人に声を掛けられた。

 大勢の教師の中に生徒が一人。

 突然現れたアタシを訝しく思っているのだろう。


「……はい、大切な、人、です」

 おぼろげに出る声は自分が思っているよりも枯れていた。


「そうか……辛いかもしれないが今救急車を手配している、君は教室に帰りなさい」

 そう優しく声を掛けられているけど、つまりココに居たらアタシは邪魔なんだろう。

 

「ハイ」

 素直に立ち上がると、フラフラとその場を離れる。



 後ろから聞こえる兄貴の声が耳に突く。



 図られたね兄貴。


 でも安心してよ。


 アンタの変わりにアタシが動いたあげるわよ。


 アタシタチの大切なモノを傷つけた罪は。


 重い!!!





 へーじの言葉通り待つつもりだったけど。

 流石にへーじがあそこまでやられて我慢出来るわけ無いじゃない。


 殺す。


 絶対に殺す。


 確実に殺す。


 全ての骨を粉々にしてやる。


 この感覚は冬のあの時以来。

 あの時は一気に暴走した。

 だけど今回は冷静にブチギレている。

 あの男に合うまでこの怒りの開放は置いておく。


 渾身の全力全開で葬り去って上げるわよ。


 絶対に。

 ブチ殺す!! 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ