表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/103

その89.計られて

「へー……じ?」

 しつこい生徒会の奴等を薙ぎ倒して、ボロボロになってやっとこそ辿り着いた先に居たのは。

 俺よりもボロボロのへーじだった。

 顔中の晴れ上がった打撲の跡。

 左手の指が幾つかおかしな方向を向いている。

 そして、右腕が背中の方に伸び、有り得ない位置で止まっていた。

 呆然としまま俺はその場で膝を付いてしまった。

 コイツが何したんだよ。

 憎まれ口は叩くけどよ。

 ここまで……ここまでする事ネーじゃねーか……!

 コイツは……何だかんだで人の事でしか動かねー奴だよ。

 その一つで一直線に動く、ある意味俺よりもバカヤロウで……。


 目に無意識に涙が溜まる。


 へーじをまた守れなかった悔しさと、ボロボロのへーじが可哀想で仕方なくて……。



 ……駄目だ! 今は悲しんでる場合じゃない! へーじを速く病院に!!


 慌ててへーじを抱き上げる。

 ダラン、とした腕にゾッとしてしまう。


 抱きかかえて走り出した時、廊下の曲がり角から大勢の人の気配を感じた。


 誰だ? 生徒会の奴等か? もしそうだとしてもこの状況は流石に手を出さない筈。


 だが、俺の予想とは違った。


 曲がった先に現れたのは大勢の大人達だった。

 突然の教師達の出現に俺は固まる。

 誰かが知らせたのか? 何はともあれこれでへーじを助けてくれる!

 険悪な表情の大人達が俺に近づいてくる。


「先生! へーじが!」


 俺がへーじの事を言おうとする前に、教師から鋭い声が放たれた。


「その子を離せ!!」


 え? な、何なんだよ!?

 んな事をしている場合じゃネーだろ! 

 だが、明らかに教師達の様子はおかしい。

 言われるがままにへーじをそっと床に置いた。


 その途端、突然教師達が俺に次々と飛びついてきた。

 わけもわからず床に羽交い絞めにされる。

 大の大人達羽に押えられれば流石に動けない。


「お、おい、こんな事してる場合じゃネーよ! 速くへーじを!!」


「黙れ! 無差別に生徒を襲いやがって!!」


「は!? 何の話だよ!?」

 全く覚えが無い。

 ってもしかして生徒会の奴等ボコった事言ってんのかよ!?


「しかもここまでするなんて……」

 そう言いながら倒れているへーじに哀れみの視線を向けていた。


「!?」

 お、俺がへーじを襲ったと思ってんのカ!?

 そんな事……するはずがネーだろ!!


「待てよ! 俺はへーじには何もやってない!!」


「誰がキサマのそんな話信じるか!!」

 押えられた俺に教師の一人が強い言葉を吐き捨てる。

 

「キサマが中学の時に酷く荒れていたのは知っている! とうとう本性を表したな!!」


 た、確かに中学の時は良く騒がれてたよ! でも違うんだ!

 今は違う!! 俺が親友に手を出すかよ!!


 だが俺の心の言葉は出す事も出来ずに大人達の罵声と大勢の力強い腕で抑えられた。

 クソ、クソ! 勝手な事ばっかり言いやがって!!]


「クソ! 離せ!! 離せよ!!」

 必死で動いても教師達は更に力を入れるだけで抵抗は出来ない。


 何なんだよクソ、クソ!

 今は何を言われてもいい……へーじを速く助けてくれ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ