表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/47

45・そんな簡単な話じゃないと言われた件

 さっそく話を翔へと持って行ったのだが、専門外を含むからと弦能へと回された。


 その後、弦能からの回答が数日後にようやく届けられた。


「階丹の貨車部門とも話し合いました結果、無蓋貨車にそのまま載せての発砲は難しいとの結論に至りました」


 と言われてしまった。


 そう言えば、列車砲って何も80センチ列車砲やパリ砲の様な特殊車両でなくとも、既存の貨車にポン乗せしている訳ではないんだっけ?

 列車砲というモノの存在やウンチクは見聞しているが、何分テツではないので詳しくは知らない。いわゆるシッタカという奴である。え?弦能や翔に言えばどうにかなると思ったんだけど・・・・・・


「それはそうか。アレか、専用の転車台が要るとか、専用線が必要とか」


 などと、意味不明なウンチクを披露してみた。


 が、そういう問題ではないらしい。


「いえ、それはまだ良く分からない部分ではありますが、28センチ砲を輸送した貨車自体が専用車でして、砲架一式を備え、運用状態として載せるならば、積載用貨車ではなく、新たに専用列車の開発から行う必要があります」


 というのである。


 転車台だとか専用線だとかいう話は、専用貨車の仕様が決まらなければ話が出来ず、そもそも、列車に搭載してどの様な運用が可能かという「そもそもの運用法」から研究が必要といった気の長い話であるらしい。


 そこで、列車砲ではないが、自走砲の話について説明しておいた。


 列車砲がそうかどうかは分からないが、軽量車体に榴弾砲を載せるトラック型や軽装甲車型の場合、発砲の反動を車体のみで吸収できない。その為、牽引式同様に脚を地面に突き立てて保持する形をとっている。

 他にも小型トラックに120ミリ迫撃砲を搭載した試作車やソ連の240ミリ自走迫撃砲などは、底盤をそのまま利用して、地面に砲を降ろして運用したりする構造のものまで存在している。


 それらを説明すると、弦能も腕組みして考えている。


 そうしてまず完成したのは、いわゆる装甲列車の類であった。


 狙撃砲であるとか、それを大型化した8センチ級の野砲といったあたりを搭載し、同時に兵員を輸送できる編成列車だ。さらに10センチ級や12センチ級野砲を輸送して現地で降ろして展開させるための列車が開発されていった。


 列車砲の様な支援火力というよりは、兵員と火砲の輸送をメインとして、臨時の要塞線として機能させるという考えであるらしく、列車というよりは、例えに出した機械化歩兵部隊を実現しようとしていると言った方が良い。


 ただ、それでも無いよりはマシだし、12センチ砲を積んだまま撃てるように考慮されている。といっても、降ろして撃つ方が操砲は容易だという話だ。


 実物を見た時にはコレジャナイ感が半端なかった。


 確かに、装輪自走砲の話をしたので、自重のある貨車に乗せれば支柱や脚を展開せずとも12センチ砲程度は発砲可能らしいが、本当に単に載せただけなので、射撃を行うと装填や操砲スペースすらない。軌間が1450ミリと標準軌より気持ち広いモノになっているが、貨車上に専用の設備がなさ過ぎて本当に「撃とうと思えば撃てます」といった惨状だった。


「これではさすがに使えないのではないか?」


 そう、弦能に尋ねると、その通りらしい。


「はい、これは列車上での操砲がどの様なものか、検証している途上にあります」


 との事だった。


 それはまあ、仕方がないのかもしれない。


 艦上は確かに制限は受けるが、甲板上下の空間を利用することで、二階建て構造として甲板下に弾薬庫を設け弾薬の揚弾が可能になる。

 その為、砲架さえ据えてしまえば、周囲は旋回時に邪魔なものを置く必要がなくなる。


 地上であれば砲座を据え、近場に弾薬置き場を設営すれば事足りる。


 それに対し、列車上ではそのような空間的余裕も面積的余裕も存在しない。


 艦船のように縦に空間を用意できないので、弾薬を砲の側まで運び出す余地がない。


 地上のように固定した砲台ではないので、砲と弾薬の移動をセットで考えなければいけない。


 12センチ列車砲ではそれらの様々な課題の洗い出しが行われ、砲に随伴する弾薬列車やそれを警護する歩兵などを組織すると、勝手に装甲列車という回答が出て来たという話であるらしい。


 しかし、それは12センチという野戦砲として運用できるサイズでの話。


 まず提案した屋島最大の火砲である28センチ砲を搭載できないのかと聞いてみたが、首を横に振るばかり。


「資村さまたってのお望みといえど、駐退機の備わる以前に開発された要塞砲の搭載は無理でございます」


 というのだ。


 28センチ砲は見た目からして日露戦争に投入された榴弾砲を彷彿とさせる代物で、射程も10キロ近い、屋島ではとても優れた要塞砲である。

 ただ、弦能の言う通り、駐退機の完成以前に開発を始めた砲である為、列車への搭載は色々無理があるという。


「では、駐退機を備えた砲はないのか?」


 小型の狙撃砲への採用とともに、その有用性から蒸気シリンダー技術を応用して大型砲への取り付けも模索され、12センチ、15センチ、18センチが完成し、戦艦砲である20センチ砲が最新砲だ。


「現在、28センチ砲と同等の射程を有し、より取り扱いが容易な24センチ砲を開発しております」


 よし、それを載せよう!

 


  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ